ある日、突然。

昨日、「自分のことはもう忘れて欲しい」とおいらに言った人から
電話が来た。２２時をまわったあたりだろうか・・。

「今一人でカラオケで歌ってきた帰り。ちょっと寄っていい？」

U゜Д゜U ハァ?

自分の矛盾している行動を「気分屋に磨きがかかった」の一言で
済ませながら、勝手にもう家の前まできてる。

まぁ話をロクにしないまま「忘れろ」と言われたあとは呆然としてて
何もわからないまま話もしていない。この機会に少し話しておこうと
いう思いもあったので断らなかった俺も俺だが。

初心者マークをこれみよがしに貼った、DQNカー。
多分お似合いだ。どうして黒の軽にDQNは乗りたがるんだ。

そんなどうでもいいことを思いながら乗り込む。

車の中で話すということなのかと思っていた俺は部屋でいる格好だし
なによりも鍵もかけていなければ暖房も切っていない。

そのまま発進しそうだったので、わけを話して用意をしに俺は部屋にもどった。
部屋でうすいコートを羽織ながら
「一体、何の話なんだ？俺が買ってやったCDを車に置いていったことに
気づいてとりにきたとか？いや・・あれは結局俺のものになったわけだし・・
だったら、あれか・？」

なんて独り言。実にキモい。俺は我に帰り車へと再び乗り込む。

なんだかどこかに護送されそうな雰囲気だ。

「そのへんちょっと流そっか」みたいなことを言いながら車は発進。

途中何回かあぶなっかしい場面に遭遇、夜中に初心者マークの車に
乗って運転手が自動車学校でダメな意味で人気者となれば
自殺にいくのか？といわれてもしかたがないかもしれない・・

内心冷や汗をかきながらてきとーに標識の意味とかを答えたり
（それもどうかとおもうが）しつつ、海の見える公園につく。

この公園は車をとめて車の中から海を見るためにあるといっても差し支えはない。

まぁもちろん今は夜なので海はさっぱり見えない。漁火の白いライトが
ぽつぽつと暗闇を照らすしているだけだ。

ここで話していたことといえば仕事の愚痴、俺の仕事の心配
（余計なおせっかいといえばそうなるが）
騒動が勃発する原因なんだっけな　とかそんな話だったとおもう。

正直、俺は最初ほとんどしゃべる気はなかった。何を聞いてもいまさら感で
しらけていたからだ。
「悪いと思ったところを直した」とあのときいくら言っても
まるで信じていなかった人間が
「あの頃からだいぶ社会人になって変わった」なんて言っても
誰が信じるだろうか。信じるとしたらそいつはだいぶお人よしだ。

だが、途中から俺もぽつぽつとしゃべりだしていた。
理由としてはしゃべらないでいたら「以前より暗い」と評されたからだ。
これは心外だ。暗くなったのではなく対象に対して落ち着いて
見れるようになった言いたい。

なんというかこの件に関していい意味で落ち着いてきてるし
悪い意味でいうとなんか諦めというか収束というか終焉というか。

あの当時のようにもうムキになって言い合うなんてないな。多分。

正直何をしゃべりだすのかビビっていて喉がからからだったので
ジュースを買いに外にでようかとおもったが、話がそろそろ終わりに
近づいていたようなので俺は我慢することにした。

こういうとき、「結局なんなんだよ・・」と思ってしまうのが男だ。
結論として、ただ単に愚痴を吐きたかっただけのようだった。

職場のこわい先輩にいびられてへこんだが、考え直して今は頑張っている。
だからおまえもがんばれよ、みたいな変なまとめかたはあったけども。

オチのない話のまま車は俺の部屋まで。

結局到着まで仕事の先輩がきついひとであいつは頭がおかしいみたいなことを
言っていた気がする。

微妙な感覚のまま、じゃあな　なんていいつつ部屋に戻る。
車のドアをしめたあと部屋までの間俺は振り返らなかったし、
車が走り出すまで手を振ったりも、見送ったりもしなかった。

する必要もないなとおもった。もうなんでもない関係なんだしな。

変にバカ丁寧な態度をとるのは「らしくない」からな。

時計をみるともう１：００だった。
そりゃ話の途中でねむくなるわけだ。話がつまらなかったんじゃなく
単に眠かったんだろうか、いや両方かもしれない。

そんなことを思いながら寝ることにした。

今日はなんか疲れたよな、俺。