毎年12月の初旬に、書道の条幅に「謹賀新年」と書くアルバイトをしています。
本年は「喪中につき新年のご挨拶はご遠慮させていただきます。」という立場なのですが、書いた作品をちょっとお披露目させてください♪
■行書と草書
書道で創作作品(自分なりの文字を書く)を書く場合、大きく分けると五体あります。
・篆書(てんしょ)
・隷書(れいしょ)
・楷書(かいしょ)
・行書(ぎょうしょ)
・草書(そうしょ)
上の写真の向かって左側が行書体。 右は、行書・草書をミックスした行草(ぎょうそう)体の「謹賀新年」です。
何が違うか? 行書と草書の違いを簡単に言ってしまえば「どれだけ崩すか?」になりますね。
とは言え、どう崩すか?は決まっているので、むやみやたらに崩して書けば良いというものでもありません。
書かなくてはいけない線を勝手に省くと「嘘字」になってしまいますから、一応「五体字類」という書道専門の辞書を使って自体を選ぶということをしています。
でも「五体字類」なんてお持ちの方は、そうそういらっしゃらないと思いますので。
そんなときはコレ! 年賀状の印刷見本がおすすめです。
そっくり真似ると「著作権侵害」になるのかもしれないですが、たぶん、同じになんて書けないと思うので大丈夫かな?と。
あまりちぐはぐにならないように、好みの字体を拾ってください。
楷書は楷書だけで書かないと変ですけど、行書と草書はバランス良ければ、両方使って大丈夫です!
■書道の条幅(半切)
条幅(じょうふく)とは、書道の作品用の大きな紙のサイズのひとつです。
畳一畳分くらいの大きな紙を「全紙(ぜんし)」と言いますが、全紙を縦に細長く、幅を半分に切ったものが条幅=半切サイズの紙になります。
ワタシが「謹賀新年」と書いている紙が「条幅(半切)」サイズになりますが、慣れないうちは「紙の天・地」の余白部分と、落款(日付や書いた人のサイン)を入れる場所、文字の大きさの目安に、折って線を入れておくと書きやすいと思います。
ポイントは……
★地 よりも 天を多く開けること。
★落款は、折線からはみ出ても気にしないこと。
★最終的には「大きな文字と小さな文字」で、文字に大小を付けること。
……の3つです。
謹賀新年を「行草」で書く場合、最初は文字数(4文字)で均等割りして線を付けますが、これはあくまで「文字サイズの目安」なので、一時的に入れる線であるということです。
何度か練習して書き慣れてきましたら、【謹は横に・年は縦に大きめに書き、賀は小さめに。 新は少し小さめに書く】と良いと思います。
■書道の条幅:練習用の紙と正書用の紙
書道の練習に高価な紙を使うのは勿体ないので、練習には、スーパーや文具店に売られている安い紙を使います。
ある程度、書く文字のスタイルが決まってきたら、本番用の「良い紙」に切り替えますが、紙が変わると墨色・にじみ・墨の吸い(はじき)も変わってくるので、正書の紙でもやっぱり練習は必要です。
金さご入りや紋入りといった豪華な紙の方が「うけ」が良いので、若い頃に買い貯めた古い全紙から見繕って、自分で半切に切って使っています。
今回は、ちょっと変わった「銭」みたいな柄の「紋入りの紙」を使いました。
すごいでしょ? よく見ないとわからないけど「鹿」の柄入り~!!
たぶん、結構お高い紙だった気がしますけど、もう筆をおいてしまった今となっては「無用の長物」ですからね。
毎年書き初めに使わせていただけるので、助かっています。
■弘法は筆を選ばず?!
「弘法は筆を選ばず」と言いますが、筆は選んだ方が、やっぱり文字が書きやすいです。
大きな文字には、太くて長い筆鋒の筆。 墨の含みも良く、線もしっかり・太く書けます。
慣れた人なら、落款も同じ太い筆の穂先を使って書きますが、無理があるなら中筆に持ち替えてしまても構わないと思います。
■裏技♪ 二本書き
ちょっと裏技的な書き方ですけど。 濃墨の筆と薄墨の筆、二本の筆を1本のように持って書くという「二本書き」の手法です。
二本で書いたとわからないように書くのがコツなので、書道に慣れた方向けですけど。
ポイントは……
・線の上側・左側に濃墨がくるように書くこと。
・始筆と終筆を割らないこと。
H28年度の書初めは、この二本書きの手法を使って書きました。
半分薄墨を使いますので、まるで仮名の作品のような仕上がりになりますが、ワタシはこの二本書きで書いた文字が好きだったりします♪
見せ場で濃墨が逆に出たりするとがっかりしますが、墨色を愉しみたい時などにおすすめです。
太い筆を用意する必要もありません。
■書き初めで「カッコよく見せる」ためのコツ
条幅を使った書き初めで、見栄えよく書くための秘訣を4つ!
・墨を文字の途中でつがない。
⇒1つの文字を書く途中で、筆は硯におきません。 できれば、1文字1文字墨を足さずに、2文字~3文字続けて書くようにしてください。
・連綿を大事にする。
⇒文字から文字へ移る際、終筆と始筆が繋がるように書くようにします。
「呼吸が大事」とも言いますが、紙から筆が離れても、連綿を意識することが大事です。
・見せ場を作る。
⇒始筆の墨はたっぷりと。 途中、かすれるところも作る。
・文字の大小を作る。
⇒全ての文字を同じ大きさで書くよりも、画数の多い字は大きく・少ない字は小さく書く方が見栄えします。
また、横に広い字・縦に長い字も意識して、余白を活かした構図にすると良いそうです。
逆に、絶対にNGなのは「書くべき線が書けてないこと」です。
上の青矢印部分は、本来切れていはいけない線なので、もっと太くしっかりつながることが望ましいです。
逆に、かすれてしまっていたとしても、しっかり線として繋がって書かれているのがわかれば、これはOK。 嘘字にはなりません。
……って、偉そうにうんちくたれているワタシの書いた作品も、こうしてみると突っ込みどころ満載ですけど~
とりあえずぱっと見は、なんだか「上手そう見える」作品が書けるはずですので、ぜひ試してみてください♪
※幼少の頃より40歳を超える頃まで、長く書道の勉強をしてきましたが、ここ数年はこのバイトだけ。
すっかり腕もなまっていますが、好きな紙に好きな字体で「謹賀新年」と書くだけという大変ありがたいお仕事をいただき大感謝です!
芸は身を助ける・・・って本当ですね~
今年も良いことが沢山ありますように
今年さそり座は、まれにみる大運気だそうなので、期待しています!
jollyさんにとっても、良い年になりますように!