それでは、代表的なペット亀をさらに掘り下げて解説します。それぞれの特徴、生態、具体的な飼育方法、注意点について詳しく見ていきます。
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1. ミドリガメ(アカミミガメ)
基本情報
学名: Trachemys scripta elegans
原産地: 北アメリカ(ミシシッピ川流域)
大きさ: 幼体は5~7cm程度だが、成体になるとオスで20cm前後、メスは最大30cmに達する。
寿命: 約20~30年。適切な飼育環境で長生きする。
生態と習性
日光浴: 変温動物であるため、紫外線(UVB)ランプや直射日光を浴びてカルシウム代謝を行う必要がある。
水性と陸性の両立: 水中での活動が主だが、陸に上がって日光浴をする時間も重要。
雑食性: 幼体は動物性のエサを好み、成体になると植物性のエサもよく食べる。
飼育環境
1. 水槽:
成体になると大型の水槽(最低でも90cm以上)が必要。
水深は亀が泳げる程度(甲長の1.5~2倍)。
陸地を設けて日光浴ができるスペースを用意。
2. 水質管理:
フィルターを設置して水を清潔に保つ。
週に1~2回の水換えが必要。水質が悪化すると病気にかかりやすい。
3. 温度管理:
水温は25~28℃が理想。冬場は水中ヒーターを使用。
陸地のバスキングスポット(甲羅干し用)は30~35℃に調整。
4. 照明:
紫外線(UVB)ランプを設置してビタミンD3を生成できる環境を整える。
光の照射時間は1日10~12時間が目安。
エサ
幼体: カメ用の人工飼料(高タンパク質)やミミズ、小魚などの動物性エサ。
成体: 植物(ホウレンソウ、レタス、ニンジン)や専用フードをバランス良く与える。
注意: エサの与えすぎは肥満の原因に。
注意点
日本では外来生物法により、販売・譲渡は禁止されている。ただし、すでに飼っている個体の飼育は可能だが、自然環境への放流は厳禁。
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2. クサガメ
基本情報
学名: Mauremys reevesii
原産地: 日本、中国、韓国など東アジア。
大きさ: オスで約12~15cm、メスで15~20cm。
寿命: 20~30年。
生態と習性
穏やかで人に馴れやすい: 長く飼うと顔や手に反応する個体も多い。
甲羅の模様: 黄色い線が入った甲羅が特徴で、成体になると模様が消えることも。
飼育環境
1. 水槽:
ミドリガメより小さめで良いが、十分な水量を確保。
陸地を用意し、甲羅干しができる環境を整える。
2. 水質管理:
クサガメは水質の悪化に比較的強いが、清潔を保つ方が健康的。
フィルターや定期的な水換えは必須。
3. 温度管理:
水温は20~28℃が理想。冬場は冬眠させる選択も可能。
冬眠を行う場合、水温を10℃以下に保つ必要がある。
エサ
幼体は動物性のエサ(カメ用フード、ミミズ、小エビ)を好む。
成体になると植物性エサも追加(野菜、果物)。
専用フードを与えると栄養バランスが良い。
注意点
日本の環境に適応しており、丈夫で飼育しやすい。初心者におすすめ。
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3. ニホンイシガメ
基本情報
学名: Mauremys japonica
原産地: 日本固有種。
大きさ: オスで12~15cm、メスで15~20cm。
寿命: 30年以上。
生態と習性
在来種として貴重: 国内での繁殖が進んでおり、ペットショップやブリーダーを通じて入手可能。
黒っぽい甲羅: 若干盛り上がった形状が特徴。
飼育環境
クサガメと似た環境が適している。
日本の気候に馴染みやすく、冬眠も可能。
注意点
野生個体の捕獲は法律で禁止されているため、ペットとして飼う場合は必ず飼育業者から購入する。
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4. リクガメ(例: ヘルマンリクガメ、ギリシャリクガメ)
特徴
完全に陸生で、水槽ではなく床材を敷いたケージが必要。
大きさ: 種類により異なるが、15~40cm程度。
寿命: 30~50年以上。
飼育環境
広いケージ: 床材にはヤシ殻や土を敷き、隠れ家を用意する。
温度管理: ケージ内を30℃前後に保つヒートランプが必須。
日光浴: 紫外線(UVB)ランプで光を補う。
エサ
草食性で、野菜や果物、リクガメ専用フードを与える。
注意点
飼育スペースが大きくなるため、事前に環境を整える必要がある。
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これらの亀を飼う際には、それぞれの習性に合った環境を整えることが大切です。また、寿命が長いので責任を持って飼い続ける覚悟が求められます。