Kitten Heart BLOG -Yunaとザスパと時々放浪-

『きとぅん・はーと』でも、小説を公開している創作ファンタジー小説や、普段の日常などの話を書いているザスパサポーターです。

【小説】「パスク、あの場所で待っている」第24話

2016年02月22日 11時12分39秒 | 小説「パスク」(連載中)
 選考会での決着方法は、相手が降参するか、反撃不可に追い込むか。
 あと一歩で、追い込めたのに……。
「残念でしたわね」
 余裕そうな表情で取り返したロングソードを振り回すが、相当焦ってやったのだろう。肩の上下運動はごまかせず、だいぶ速くなっていた。
「でも。その方がわたくしも、やりがいがありますわ」
「だったら、二度と復讐なんて考えさせないでやるよ!」
「そうこなくては!」
 勢いで言ってしまったが、実際どう立ち向かっていけばいいか。走り回れないくらい体力を減らさないと、同じことが続いてしまう。
 かといって、手を抜いたら五体無事でいられるか。キョウコはああいった冗談みたいなことを言って、本気の時があるから怖い。
 でも、要は走れなければいいんだ。そうすれば……。
「今度こそ、終わりにしてやる!」
 砂埃を舞い上がらせながら、キョウコに向かっていった。遠くまで響き渡るような金属音を立てながら、更に砂埃は舞い上がっていった。
 打ち合っていたが、キョウコもだいぶ疲れてきたのだろう。徐々にオレの方が押してきた。
「これだったら、どうだ!」
 勝負を決めようと、容赦なく振り続けていた。息が上がっているキョウコに勝つチャンスはあるはずなのに、どれもキョウコに弾き返される。このままじゃあ、オレの方が……。
 一旦引いて、キョウコから離れた。
「だいぶ……焦っているようですわね」
「それは、どっちのことだよ」
 キョウコが言い足りなくて口を開きかけた瞬間、オレは全力で右足を蹴り上げた。その勢いを削ぎ落とさないように、右腕を振り抜いた。
 もうそんなにチャンスはないだろうと、確実にキョウコを捕らえた。
 そのはずだった。
 なにも当たらずに空振りした。
「ホント。残念でしたわね」
 視界から消えたキョウコの声がする。
「……下か!」
 くそ……、交わせるか……。
 体制を戻そうとしたが、キョウコの方が速かった。押し上げる力に太刀打ちできず、力尽きてその場に倒れた。
「どう? 『twenty』なんて、これ以上だからね!」



 ゆっくり流れていく白い雲を呆然と眺めていた。悔しいが諦めもついていた。
「まあ、これで復讐とやらはできたから、気が済んだだろ」
「ううん。復讐なんて言ったのは、大ウソ。あなたの本気が見たくってね」
「相変わらず、性が悪いな……」
 少しふらつきながら起き上がったが、まだ立ち上がれるほどではなかった。
「別に恨んでいないわよ。コリエンテさんも、あなたも。あの時負けたのはわたくしの力不足」
 ロングソードを鞘にしまうと、よろめきながらもオレに近寄ってきた。
「それはいいとして。こんなことをしたのは、パスクさんに聞きたいことがあるからです」
「なんだよ?」
 更にキョウコは顔を寄せて、耳元でささやいた。
「あの女について……どう思いますか?」


≪ 第23話-[目次]-第25話 ≫
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