選考会での決着方法は、相手が降参するか、反撃不可に追い込むか。
あと一歩で、追い込めたのに……。
「残念でしたわね」
余裕そうな表情で取り返したロングソードを振り回すが、相当焦ってやったのだろう。肩の上下運動はごまかせず、だいぶ速くなっていた。
「でも。その方がわたくしも、やりがいがありますわ」
「だったら、二度と復讐なんて考えさせないでやるよ!」
「そうこなくては!」
勢いで言ってしまったが、実際どう立ち向かっていけばいいか。走り回れないくらい体力を減らさないと、同じことが続いてしまう。
かといって、手を抜いたら五体無事でいられるか。キョウコはああいった冗談みたいなことを言って、本気の時があるから怖い。
でも、要は走れなければいいんだ。そうすれば……。
「今度こそ、終わりにしてやる!」
砂埃を舞い上がらせながら、キョウコに向かっていった。遠くまで響き渡るような金属音を立てながら、更に砂埃は舞い上がっていった。
打ち合っていたが、キョウコもだいぶ疲れてきたのだろう。徐々にオレの方が押してきた。
「これだったら、どうだ!」
勝負を決めようと、容赦なく振り続けていた。息が上がっているキョウコに勝つチャンスはあるはずなのに、どれもキョウコに弾き返される。このままじゃあ、オレの方が……。
一旦引いて、キョウコから離れた。
「だいぶ……焦っているようですわね」
「それは、どっちのことだよ」
キョウコが言い足りなくて口を開きかけた瞬間、オレは全力で右足を蹴り上げた。その勢いを削ぎ落とさないように、右腕を振り抜いた。
もうそんなにチャンスはないだろうと、確実にキョウコを捕らえた。
そのはずだった。
なにも当たらずに空振りした。
「ホント。残念でしたわね」
視界から消えたキョウコの声がする。
「……下か!」
くそ……、交わせるか……。
体制を戻そうとしたが、キョウコの方が速かった。押し上げる力に太刀打ちできず、力尽きてその場に倒れた。
「どう? 『twenty』なんて、これ以上だからね!」
ゆっくり流れていく白い雲を呆然と眺めていた。悔しいが諦めもついていた。
「まあ、これで復讐とやらはできたから、気が済んだだろ」
「ううん。復讐なんて言ったのは、大ウソ。あなたの本気が見たくってね」
「相変わらず、性が悪いな……」
少しふらつきながら起き上がったが、まだ立ち上がれるほどではなかった。
「別に恨んでいないわよ。コリエンテさんも、あなたも。あの時負けたのはわたくしの力不足」
ロングソードを鞘にしまうと、よろめきながらもオレに近寄ってきた。
「それはいいとして。こんなことをしたのは、パスクさんに聞きたいことがあるからです」
「なんだよ?」
更にキョウコは顔を寄せて、耳元でささやいた。
「あの女について……どう思いますか?」
≪ 第23話-[目次]-第25話 ≫
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あと一歩で、追い込めたのに……。
「残念でしたわね」
余裕そうな表情で取り返したロングソードを振り回すが、相当焦ってやったのだろう。肩の上下運動はごまかせず、だいぶ速くなっていた。
「でも。その方がわたくしも、やりがいがありますわ」
「だったら、二度と復讐なんて考えさせないでやるよ!」
「そうこなくては!」
勢いで言ってしまったが、実際どう立ち向かっていけばいいか。走り回れないくらい体力を減らさないと、同じことが続いてしまう。
かといって、手を抜いたら五体無事でいられるか。キョウコはああいった冗談みたいなことを言って、本気の時があるから怖い。
でも、要は走れなければいいんだ。そうすれば……。
「今度こそ、終わりにしてやる!」
砂埃を舞い上がらせながら、キョウコに向かっていった。遠くまで響き渡るような金属音を立てながら、更に砂埃は舞い上がっていった。
打ち合っていたが、キョウコもだいぶ疲れてきたのだろう。徐々にオレの方が押してきた。
「これだったら、どうだ!」
勝負を決めようと、容赦なく振り続けていた。息が上がっているキョウコに勝つチャンスはあるはずなのに、どれもキョウコに弾き返される。このままじゃあ、オレの方が……。
一旦引いて、キョウコから離れた。
「だいぶ……焦っているようですわね」
「それは、どっちのことだよ」
キョウコが言い足りなくて口を開きかけた瞬間、オレは全力で右足を蹴り上げた。その勢いを削ぎ落とさないように、右腕を振り抜いた。
もうそんなにチャンスはないだろうと、確実にキョウコを捕らえた。
そのはずだった。
なにも当たらずに空振りした。
「ホント。残念でしたわね」
視界から消えたキョウコの声がする。
「……下か!」
くそ……、交わせるか……。
体制を戻そうとしたが、キョウコの方が速かった。押し上げる力に太刀打ちできず、力尽きてその場に倒れた。
「どう? 『twenty』なんて、これ以上だからね!」
ゆっくり流れていく白い雲を呆然と眺めていた。悔しいが諦めもついていた。
「まあ、これで復讐とやらはできたから、気が済んだだろ」
「ううん。復讐なんて言ったのは、大ウソ。あなたの本気が見たくってね」
「相変わらず、性が悪いな……」
少しふらつきながら起き上がったが、まだ立ち上がれるほどではなかった。
「別に恨んでいないわよ。コリエンテさんも、あなたも。あの時負けたのはわたくしの力不足」
ロングソードを鞘にしまうと、よろめきながらもオレに近寄ってきた。
「それはいいとして。こんなことをしたのは、パスクさんに聞きたいことがあるからです」
「なんだよ?」
更にキョウコは顔を寄せて、耳元でささやいた。
「あの女について……どう思いますか?」
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