Kitten Heart BLOG -Yunaとザスパと時々放浪-

『きとぅん・はーと』でも、小説を公開している創作ファンタジー小説や、普段の日常などの話を書いているザスパサポーターです。

【ファンタジー小説】encounter 第4話 ※全文掲載

2013年10月18日 13時00分00秒 | 小説encounter(完結)
 一日おいて、早朝街を出ることにした。
 軽い朝食を済ませ、手短に身仕度を終わらせた。
「また、歩いて行くの?」
「休憩を何度か挟んで、夕方には着く」
 ガトーに着いていくことにした。少ない希望だが、分かりそうな人間がいるんだって。
 朝霞に包まれた街を抜け出し、再び野山と荒野を交互に通り抜けていった。
 これといって会話がなかった。
 見た目、少年。中身、男気に溢れる。そんな十八才の乙女。
 年齢こそ一個違いとはいえ、もっと話題があってもいいような。
「ガトーって、家族っているの?」
「男ばっかりだよ。母さんはずっと昔にいなくなった。あと、おとう――」
 急にガトーが咳払いをしだして再開。
「親父と二人の兄貴がいる」
 台詞だけ聞いていると男なんだが、話す声は女の子としてはちょっと低めな感じ。決して、男みたいな野太い声ではない。
「リリーは?」
「私は、一人っ子」
 兄弟がいる人っていいなって思う。

 夕方と呼ぶにはまだ早い時間に着いた。
 今朝、いた街よりかは大きいところだった。ここは衛兵は立ち寄ることがあるだけで、常駐はしていない。だから、安心していいってガトーが言ってくれた。
 さすが地元、落ち着いている。ここまで来るのに何かと急かされ続けたが、街に入ってからはそれがなくなった。
「ここが我が家。兼仕事場」
 自宅は奥の方にあり、手前が鍛冶屋。そこで中年男性が働いていた。
「今、帰った」
「どうだった?」
「まあまあってところだな」
 どうやらこの人がガトーのお父さんらしい。しばらく、仕事の話が続いた。
「ところで、じじぃは?」
「もう寝たんじゃねえのか」
「まだ日も沈んでないぞ! 全く。寝てばかりいやがって」
「どうした?」
「紹介したい人がいてな」
 そう言うと、親指を私の方に向けた。
「ついに、ガトーも彼女を連れてきたか」
「オレは女だ!」
 そう思われたいなら、まず言葉遣いから直そうよ。
 だから、カップルとか思われるんだよ。
「リリーも、このクソ親父に言い返してやれよ」
 『正論』以外、なにも思いつかなかった。


≪ 第3話-[目次]-第5話 ≫
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