一日おいて、早朝街を出ることにした。
軽い朝食を済ませ、手短に身仕度を終わらせた。
「また、歩いて行くの?」
「休憩を何度か挟んで、夕方には着く」
ガトーに着いていくことにした。少ない希望だが、分かりそうな人間がいるんだって。
朝霞に包まれた街を抜け出し、再び野山と荒野を交互に通り抜けていった。
これといって会話がなかった。
見た目、少年。中身、男気に溢れる。そんな十八才の乙女。
年齢こそ一個違いとはいえ、もっと話題があってもいいような。
「ガトーって、家族っているの?」
「男ばっかりだよ。母さんはずっと昔にいなくなった。あと、おとう――」
急にガトーが咳払いをしだして再開。
「親父と二人の兄貴がいる」
台詞だけ聞いていると男なんだが、話す声は女の子としてはちょっと低めな感じ。決して、男みたいな野太い声ではない。
「リリーは?」
「私は、一人っ子」
兄弟がいる人っていいなって思う。
夕方と呼ぶにはまだ早い時間に着いた。
今朝、いた街よりかは大きいところだった。ここは衛兵は立ち寄ることがあるだけで、常駐はしていない。だから、安心していいってガトーが言ってくれた。
さすが地元、落ち着いている。ここまで来るのに何かと急かされ続けたが、街に入ってからはそれがなくなった。
「ここが我が家。兼仕事場」
自宅は奥の方にあり、手前が鍛冶屋。そこで中年男性が働いていた。
「今、帰った」
「どうだった?」
「まあまあってところだな」
どうやらこの人がガトーのお父さんらしい。しばらく、仕事の話が続いた。
「ところで、じじぃは?」
「もう寝たんじゃねえのか」
「まだ日も沈んでないぞ! 全く。寝てばかりいやがって」
「どうした?」
「紹介したい人がいてな」
そう言うと、親指を私の方に向けた。
「ついに、ガトーも彼女を連れてきたか」
「オレは女だ!」
そう思われたいなら、まず言葉遣いから直そうよ。
だから、カップルとか思われるんだよ。
「リリーも、このクソ親父に言い返してやれよ」
『正論』以外、なにも思いつかなかった。
≪ 第3話-[目次]-第5話 ≫
------------------------------
↓今後の展開に期待を込めて!
にほんブログ村
軽い朝食を済ませ、手短に身仕度を終わらせた。
「また、歩いて行くの?」
「休憩を何度か挟んで、夕方には着く」
ガトーに着いていくことにした。少ない希望だが、分かりそうな人間がいるんだって。
朝霞に包まれた街を抜け出し、再び野山と荒野を交互に通り抜けていった。
これといって会話がなかった。
見た目、少年。中身、男気に溢れる。そんな十八才の乙女。
年齢こそ一個違いとはいえ、もっと話題があってもいいような。
「ガトーって、家族っているの?」
「男ばっかりだよ。母さんはずっと昔にいなくなった。あと、おとう――」
急にガトーが咳払いをしだして再開。
「親父と二人の兄貴がいる」
台詞だけ聞いていると男なんだが、話す声は女の子としてはちょっと低めな感じ。決して、男みたいな野太い声ではない。
「リリーは?」
「私は、一人っ子」
兄弟がいる人っていいなって思う。
夕方と呼ぶにはまだ早い時間に着いた。
今朝、いた街よりかは大きいところだった。ここは衛兵は立ち寄ることがあるだけで、常駐はしていない。だから、安心していいってガトーが言ってくれた。
さすが地元、落ち着いている。ここまで来るのに何かと急かされ続けたが、街に入ってからはそれがなくなった。
「ここが我が家。兼仕事場」
自宅は奥の方にあり、手前が鍛冶屋。そこで中年男性が働いていた。
「今、帰った」
「どうだった?」
「まあまあってところだな」
どうやらこの人がガトーのお父さんらしい。しばらく、仕事の話が続いた。
「ところで、じじぃは?」
「もう寝たんじゃねえのか」
「まだ日も沈んでないぞ! 全く。寝てばかりいやがって」
「どうした?」
「紹介したい人がいてな」
そう言うと、親指を私の方に向けた。
「ついに、ガトーも彼女を連れてきたか」
「オレは女だ!」
そう思われたいなら、まず言葉遣いから直そうよ。
だから、カップルとか思われるんだよ。
「リリーも、このクソ親父に言い返してやれよ」
『正論』以外、なにも思いつかなかった。
≪ 第3話-[目次]-第5話 ≫
------------------------------
↓今後の展開に期待を込めて!
にほんブログ村
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます