細長い体つきにしては、筋肉はしっかりと蓄えてあった。日焼けは程々にしている。
背が高いことに加えて、逆光から近寄ってきたため、余計に威圧感を増した。
「いい加減、降参したらどーなんすか?」
「てめぇの長髪を、切り落としてからな!」
「どうやって? 体ボロボロじゃないっすか?」
確か二十一歳だと聞いている。年上に対して、口の利き方を知らないようだったので、徹底的に教えてやろうと挑んだ。
だがこいつ、ひょろそうに見えるが動きが機敏で、こっちの攻撃をことごとくかわしてきた。そして、無駄のない的確な攻撃。一度は反撃に出たがそれも虚しく終わり、地に這いつくばる結果になってしまった。
「この選考会、トーナメントじゃなくてよかったですね。勝ち上がりだったら、もう終わりっすからね」
この騎士団に入るための選考会、候補者が全国に散らばっているので、期間内に探して戦えってもので、歩き回ることになる。最低でも候補者の八割と対戦していないと失格。意外と見つからず脱落するものも毎度出る。
大概は有力候補に的が絞られやすい。じっと構えてくれたらいいのだが、向こうも集中砲火を避けたいため、だいたい逃げ回っている。オレはあえて勝ち目がありそうなこいつを狙って来てみたが失敗だった。
「気合いが入っていたみたいだったが、残念だったすね。コリエンテさんは、選ばれたのにな!」
そう。前回の選考会でコリエンテは選ばれて、見事入ることができた。さぞ大喜びかと思いきや、意味深な言葉を残していたのが気がかりだった。誰かがどうとか、そんなことを言っていた。
この国の中心地、王室がある宮殿近くの城下町。ここでコリエンテと会った。その時いろいろ話したが、最後にコリエンテが指を指して、ひとつの約束を交わした。
「ま。今回はオレの勝ちってことで」
「まだ、終わっちゃいない!」
「口以外動かせないやつが、何言っているんすか?」
軽く舌打ちをした。
「もうパスクさんとは会わないと思いますが、お元気で」
嫌みたらしく言うと、そのまま去って行った。
「なんであんなやつに、負けなきゃならないんだよ!」
ひとり残されると、大空に向かって叫んだ。
勝たなきゃ。これでは約束が果たせなくなる。
動けるようになるまで、宿で足止めを食らった。
帰ろう。それも実家に。そこで傷を癒やしてから再出発しよう。
帰路の途中で、強い候補者に出会わないことを祈りながら。
六日もあれば帰れるだろうと思った、二日目。
頭から籠をかぶった変なやつに声をかけられた。
≪ 第3話-[目次]-第5話 ≫
------------------------------
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背が高いことに加えて、逆光から近寄ってきたため、余計に威圧感を増した。
「いい加減、降参したらどーなんすか?」
「てめぇの長髪を、切り落としてからな!」
「どうやって? 体ボロボロじゃないっすか?」
確か二十一歳だと聞いている。年上に対して、口の利き方を知らないようだったので、徹底的に教えてやろうと挑んだ。
だがこいつ、ひょろそうに見えるが動きが機敏で、こっちの攻撃をことごとくかわしてきた。そして、無駄のない的確な攻撃。一度は反撃に出たがそれも虚しく終わり、地に這いつくばる結果になってしまった。
「この選考会、トーナメントじゃなくてよかったですね。勝ち上がりだったら、もう終わりっすからね」
この騎士団に入るための選考会、候補者が全国に散らばっているので、期間内に探して戦えってもので、歩き回ることになる。最低でも候補者の八割と対戦していないと失格。意外と見つからず脱落するものも毎度出る。
大概は有力候補に的が絞られやすい。じっと構えてくれたらいいのだが、向こうも集中砲火を避けたいため、だいたい逃げ回っている。オレはあえて勝ち目がありそうなこいつを狙って来てみたが失敗だった。
「気合いが入っていたみたいだったが、残念だったすね。コリエンテさんは、選ばれたのにな!」
そう。前回の選考会でコリエンテは選ばれて、見事入ることができた。さぞ大喜びかと思いきや、意味深な言葉を残していたのが気がかりだった。誰かがどうとか、そんなことを言っていた。
この国の中心地、王室がある宮殿近くの城下町。ここでコリエンテと会った。その時いろいろ話したが、最後にコリエンテが指を指して、ひとつの約束を交わした。
「ま。今回はオレの勝ちってことで」
「まだ、終わっちゃいない!」
「口以外動かせないやつが、何言っているんすか?」
軽く舌打ちをした。
「もうパスクさんとは会わないと思いますが、お元気で」
嫌みたらしく言うと、そのまま去って行った。
「なんであんなやつに、負けなきゃならないんだよ!」
ひとり残されると、大空に向かって叫んだ。
勝たなきゃ。これでは約束が果たせなくなる。
動けるようになるまで、宿で足止めを食らった。
帰ろう。それも実家に。そこで傷を癒やしてから再出発しよう。
帰路の途中で、強い候補者に出会わないことを祈りながら。
六日もあれば帰れるだろうと思った、二日目。
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