「ごちゃごちゃ言いやがって。黙らせてやる」
一息吐くと、地面を蹴り上げてホオンを斬りかかった。
ことごとく避けられてしまうが、チャンスをうかがっていた。
「やりなすな!」
一時的に逃してしまったが、それでも攻撃の手を緩めず攻め続けた。
スピードを上げて、愛剣を振りかざした。
「ううっ……」
剣先が、僅かにホオンをかすめた。
「かわすのもギリギリみたいだな!」
休む間のなく振り続けたが、ホオンのフェイントに引っかかってしまった。その隙に逃げられた。だが、ホオンの呼吸は荒く、手応えがあった。
「随分とバテているみたいだな。そろそろ降参か?」
長く息を吐き、呼吸を整えた。そして、ホオンに挑発をかけて追い込ませる。
「そっちこそ、息が荒かね」
激しく肩が上下するホオンの方が、体力の限界を感じる。
オレは大きく息を吸った。そして、吸ったときよりもゆっくり吐き出した。
「悪いが、休憩時間は長めに取ってやらないからな!」
まだ呼吸が整わないホオンに襲いかかった。オレの方が余力があったみたいだな。
「ちきしょう……」
一段階速度を上げて、ホオンに近づく。そして、振り抜く。
「くっ……」
「だいぶ遅れてきたな!」
容赦なく攻撃を続けた。一瞬の勝機が来るのを待った。
「そこか!」
右足を大きく踏み込み、腕を振り上げた。
金属音が鳴り響いたのち、ホオンの剣が舞い上がった。
地面に突き刺さるのを見届けると、安堵のため息が漏れた。
「間違いなく、勝負あったな!」
愛剣の剣先には、ホオンがうなだれていた。
「グリューンだけでなく、パスクにも負けたか……」
「その名前を出すのだけは、許さないからな!」
グリューンの名前を出されて、高速で頭に血が上っていくのを感じた。
「一緒にされて、そんなに苛つくか?」
「……!」
愛剣を持つ右手を強く握りしめた。選考会じゃなかったら、切り刻んでやりたかった。
ジジイに負けたとか言っていたが、そういうことだったのか。
「お前には関係ない!」
「そうだろうな。あんな人間と——」
「うるさい! 黙れ!」
つい愛剣を振り抜いた。ホオンには当てずに、目の前で止めた。
「そんなにカッカッしなすなや。監視員が見よるぜ」
こっちの監視員はコトミじゃなさそうから、ごまかせない。仮にコトミだったとしてもホオンの監視員もいる。結局は隠し通せない。
「……くそっ」
ホオンから離れて、この場を去ることにした。
「逃げるのか?」
「勝ったのはオレだ! 勘違いするなよ」
それを言い残したまま、北の方へ歩き出した。
負けた奴が憂さ晴らしに、こういったことを言ってくるのは、よくある話。気にとめないようにしているが、非常に腹が立つ。
「土筆島に来るんじゃなかった」
≪ 第49話-[目次]-第51話 ≫
------------------------------
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一息吐くと、地面を蹴り上げてホオンを斬りかかった。
ことごとく避けられてしまうが、チャンスをうかがっていた。
「やりなすな!」
一時的に逃してしまったが、それでも攻撃の手を緩めず攻め続けた。
スピードを上げて、愛剣を振りかざした。
「ううっ……」
剣先が、僅かにホオンをかすめた。
「かわすのもギリギリみたいだな!」
休む間のなく振り続けたが、ホオンのフェイントに引っかかってしまった。その隙に逃げられた。だが、ホオンの呼吸は荒く、手応えがあった。
「随分とバテているみたいだな。そろそろ降参か?」
長く息を吐き、呼吸を整えた。そして、ホオンに挑発をかけて追い込ませる。
「そっちこそ、息が荒かね」
激しく肩が上下するホオンの方が、体力の限界を感じる。
オレは大きく息を吸った。そして、吸ったときよりもゆっくり吐き出した。
「悪いが、休憩時間は長めに取ってやらないからな!」
まだ呼吸が整わないホオンに襲いかかった。オレの方が余力があったみたいだな。
「ちきしょう……」
一段階速度を上げて、ホオンに近づく。そして、振り抜く。
「くっ……」
「だいぶ遅れてきたな!」
容赦なく攻撃を続けた。一瞬の勝機が来るのを待った。
「そこか!」
右足を大きく踏み込み、腕を振り上げた。
金属音が鳴り響いたのち、ホオンの剣が舞い上がった。
地面に突き刺さるのを見届けると、安堵のため息が漏れた。
「間違いなく、勝負あったな!」
愛剣の剣先には、ホオンがうなだれていた。
「グリューンだけでなく、パスクにも負けたか……」
「その名前を出すのだけは、許さないからな!」
グリューンの名前を出されて、高速で頭に血が上っていくのを感じた。
「一緒にされて、そんなに苛つくか?」
「……!」
愛剣を持つ右手を強く握りしめた。選考会じゃなかったら、切り刻んでやりたかった。
ジジイに負けたとか言っていたが、そういうことだったのか。
「お前には関係ない!」
「そうだろうな。あんな人間と——」
「うるさい! 黙れ!」
つい愛剣を振り抜いた。ホオンには当てずに、目の前で止めた。
「そんなにカッカッしなすなや。監視員が見よるぜ」
こっちの監視員はコトミじゃなさそうから、ごまかせない。仮にコトミだったとしてもホオンの監視員もいる。結局は隠し通せない。
「……くそっ」
ホオンから離れて、この場を去ることにした。
「逃げるのか?」
「勝ったのはオレだ! 勘違いするなよ」
それを言い残したまま、北の方へ歩き出した。
負けた奴が憂さ晴らしに、こういったことを言ってくるのは、よくある話。気にとめないようにしているが、非常に腹が立つ。
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