Kitten Heart BLOG -Yunaとザスパと時々放浪-

『きとぅん・はーと』でも、小説を公開している創作ファンタジー小説や、普段の日常などの話を書いているザスパサポーターです。

【読み切り小説】あなたは本当に群馬を知らない

2015年02月07日 08時21分26秒 | 小説(読み切り)
「あれ? 年賀状が来ている……」
 ある年の元旦、あけおめメールが来るのが普通になってきたこの頃に、珍しく年賀はがきで届いた。それはここ数年音信不通になっていた友人から送られてきたものだった。
「リョウちゃんって、こんなところに住んでいるんだ」
 表面の差出人を示すその横には関東から西の、とある都道府県名が書かれていた。

 しばらくはメールでやりとりをしていたが、私が近くへ行く機会があったので久々に再会することになった。
「ここなんていいかな。知っている居酒屋なんだけどね……」
 連れられたところは、趣のある古民家風といった店構えだった。店内も外観に合わせて雰囲気のある作りになっており、ひとつの個室に案内された。
「わざわざゴメンね。こんな遠くに……」
「気にしなくていいよ。この辺にも前にきたことあるし」
 申し訳なさそうな表情を見せるので、嫌な顔を見せず親友を気遣った。
「そういえば。メールでそんなこと、言っていたよね。好きなの?」
「うん……。いろいろ縁があってね」
「まあ、好きな物いろいろ食べてよ。……割り勘だけど」
 メニュー表を手渡され、ページをめくるとおいしそうな写真がぎっしりと載せられていた。どれにしようか迷ってしまいそうだった。
「それじゃあ……鶏の唐揚げと、だし巻き卵」
「それ、親と子の組み合わせだよ」

 いくつか料理が運ばれてきて、久しぶりに話したので、話題は尽きることなく会話も弾み楽しい食事会になった。そこへ、ようやく出てきただし巻き卵を持ってきた店員さんがリョウちゃんと親しそうに話しかけてきた。
「知り合いなの?」
「ここの店長さん。こっちは前に話していた、群馬の人」
 私と店長さん、それぞれの紹介をしてくれた。
「群馬ってことは、ザスパがある県ですよね」
「Jリーグ、詳しいんですか?」
「うちの店は、Jリーグチームの×××××のホーム戦に出店していまして」
 そのことにも関心はあったが、今は目の前に置かれた焼き上がったばかりのだし巻き卵に関心があった。
「リョウさんから聞いたのですが、アウェーって行く方なんですか?」
「そうですね。こっちの地方のチームだと、○○○○○とか□□□□□にも行ったことがありますよ」
 見事なまでに黄色いだし巻き卵に手を出そうとした瞬間、我が耳を疑うような言葉が入ってきた。
「逆に、群馬から一番近いアウェーって……カターレ富山ですよね」
「群馬は北陸地方じゃない!」
 まずは、東京都の上の方だと教えました。



※シチュエーション等いろいろ変えておりますが、オチは実話です。


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