「あのばばあ。せっかく書いた書類、いちいちケチつけるんだもん」
結局、コトミの愚痴を聞かされる羽目になった。
タトリーニとの対戦翌日、荷物をまとめると、対戦相手を求めて東の方へ旅に出た。
交代があるので四六時中ではないが、時折現れてはコトミの上司の愚痴を打ちまけていた。
「永遠に話し続けて、説教が終わらないだもん。嫌になってくる……」
その愚痴を、永久に聞かされるオレの方が嫌になってくる。
「そして、お腹がすいた……」
「もう、奢らないからな!」
コトミには、もう貸しはないはず。
「別にいいもん。交代になったら一人で探すもん」
不満そうに頬を膨らませていた。
「おいしい甘味があっても、パスクさんには教えてあげない!」
「教えてくれなくて、構わないけどな」
コトミほど、甘いものには興味がない。
日もまだ真上にある時間帯。林を抜けると、急に開けた場所にたどり着いた。
「どこかの庭園みたいだな」
人の侵入を塞ぐ柵がなかったから、私邸ではなく公園か何かだろう。
「甘味処とか、ないかな?」
「お前……さっきからそればっかりだな」
「だって。甘いものが、とにかく食べたいだもん」
ふて腐れて、またも不機嫌になる。
「でも、これだけ広かったらあるのかなと思っただけなのに……」
「まあ、梅の木があるからな。花見で栄えたりするんじゃないか」
「そうだよね。なにかあるかな」
コトミは、完全に遊びに来ている感覚だ。
「気楽でいいな……」
「あたしだって、ちゃんと仕事しているよ。こうやってパスクさんを常に監視しているもん」
「だったら、コトミ。そろそろ、持ち場に着いた方がいいんじゃないか?」
「なんで?」
「さっきから、オレを付けてくるやつがいる」
庭園に入った頃から気配を感じていた。ここが私有地で監視する者がいるのであれば、真っ先に注意しに来るはずだ。しかし、それもなくコソコソ付け回っている。なにかの機会を探っているようだ。
「……候補者みたいだね」
「ああ、恐らく」
愛剣に手をかけ、警戒を強めた。
「えー、だったら早く終わらせてね。そうじゃないと交代の時間が延びる……」
「お前の都合で、そんなことできるか! こっちは真剣勝負なんだぞ」
「じゃあ、あたしはこれで。パスクさん、頑張ってね」
芝と梅が続く庭園で、どこに隠れるのか見届けていると、適当な生け垣を見つけ隠れた。
隙間から姿が見え、あれでも隠れているつもりなんだろう。
しかし、肝心の候補者が見つからない。なんとなく、コトミが走った方角とは違うのはわかるが、その影を見つけられない。
「くそっ。どこだ!」
必死に辺りを見渡す。
背後から何かが投げ込まれたのを感じ、振り返るが辺りは一気に暗くなった。
「煙幕か!」
すぐさま愛剣を抜き取り、襲撃に備えた。
「そっちか!」
気配を感じ取り構えると、愛剣からかなり重量感を受けた。相手は大剣の可能性がある。強度を強めてあるので、前のように簡単には折れたりしない。
相手は一度離れた。なかなか煙幕が晴れず、見失った。
この中で戦うのは不利だ。警戒しながら外に出ることを試みた。
「兄貴のカタキ!」
再度、奇襲をかけてきた。またも作戦通りにさせないと、愛剣で受ける。
しかし、こいつ。オレを知っているやつか。
≪ 第41話-[目次]-第43話 ≫
------------------------------
↓今後の展開に期待を込めて!

にほんブログ村
結局、コトミの愚痴を聞かされる羽目になった。
タトリーニとの対戦翌日、荷物をまとめると、対戦相手を求めて東の方へ旅に出た。
交代があるので四六時中ではないが、時折現れてはコトミの上司の愚痴を打ちまけていた。
「永遠に話し続けて、説教が終わらないだもん。嫌になってくる……」
その愚痴を、永久に聞かされるオレの方が嫌になってくる。
「そして、お腹がすいた……」
「もう、奢らないからな!」
コトミには、もう貸しはないはず。
「別にいいもん。交代になったら一人で探すもん」
不満そうに頬を膨らませていた。
「おいしい甘味があっても、パスクさんには教えてあげない!」
「教えてくれなくて、構わないけどな」
コトミほど、甘いものには興味がない。
日もまだ真上にある時間帯。林を抜けると、急に開けた場所にたどり着いた。
「どこかの庭園みたいだな」
人の侵入を塞ぐ柵がなかったから、私邸ではなく公園か何かだろう。
「甘味処とか、ないかな?」
「お前……さっきからそればっかりだな」
「だって。甘いものが、とにかく食べたいだもん」
ふて腐れて、またも不機嫌になる。
「でも、これだけ広かったらあるのかなと思っただけなのに……」
「まあ、梅の木があるからな。花見で栄えたりするんじゃないか」
「そうだよね。なにかあるかな」
コトミは、完全に遊びに来ている感覚だ。
「気楽でいいな……」
「あたしだって、ちゃんと仕事しているよ。こうやってパスクさんを常に監視しているもん」
「だったら、コトミ。そろそろ、持ち場に着いた方がいいんじゃないか?」
「なんで?」
「さっきから、オレを付けてくるやつがいる」
庭園に入った頃から気配を感じていた。ここが私有地で監視する者がいるのであれば、真っ先に注意しに来るはずだ。しかし、それもなくコソコソ付け回っている。なにかの機会を探っているようだ。
「……候補者みたいだね」
「ああ、恐らく」
愛剣に手をかけ、警戒を強めた。
「えー、だったら早く終わらせてね。そうじゃないと交代の時間が延びる……」
「お前の都合で、そんなことできるか! こっちは真剣勝負なんだぞ」
「じゃあ、あたしはこれで。パスクさん、頑張ってね」
芝と梅が続く庭園で、どこに隠れるのか見届けていると、適当な生け垣を見つけ隠れた。
隙間から姿が見え、あれでも隠れているつもりなんだろう。
しかし、肝心の候補者が見つからない。なんとなく、コトミが走った方角とは違うのはわかるが、その影を見つけられない。
「くそっ。どこだ!」
必死に辺りを見渡す。
背後から何かが投げ込まれたのを感じ、振り返るが辺りは一気に暗くなった。
「煙幕か!」
すぐさま愛剣を抜き取り、襲撃に備えた。
「そっちか!」
気配を感じ取り構えると、愛剣からかなり重量感を受けた。相手は大剣の可能性がある。強度を強めてあるので、前のように簡単には折れたりしない。
相手は一度離れた。なかなか煙幕が晴れず、見失った。
この中で戦うのは不利だ。警戒しながら外に出ることを試みた。
「兄貴のカタキ!」
再度、奇襲をかけてきた。またも作戦通りにさせないと、愛剣で受ける。
しかし、こいつ。オレを知っているやつか。
≪ 第41話-[目次]-第43話 ≫
------------------------------
↓今後の展開に期待を込めて!

にほんブログ村
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます