もうとっくに７０歳を超えた２人のおじいちゃん。
この２人を僕らは密かに「ヤンじぃコンビ」と呼んでいます。
ヤンじぃとは？
ヤンキーじいちゃんの略です。
普段は寡黙であまり喋らないＭさん。それにいつもず～と喋り続けてるＡさんと、性格はまるで反対の「迷」コンビなんですが、二人に共通していること・・・・それは「すけべ」なこと。・・・（木家マスを入れてトリオだと言ったアナタ。後で体育教官室に来なさい！）
とにかく、うちに来ても「あの家の奥さんな、ボインだもんなぁ」とか、「あいつは、若い嫁もらったねぇ。ガンバらすねぇ」とか言ってます・・・・。
それに帰り際、お釣りを渡す我がママの手のひらに中指でコチョコチョってやるそうです。
（僕にはしませんが・・・。）
それともう１つ、この町の情報はなんでも知ってます。
「看板は出とらんけど、あの家は売りに出てる」とか、「あそこの夫婦はもう離婚寸前だもんな」とか、何処で仕入れるのかスゴイ情報網を持ってます。
（ある意味、敵に回すと恐いタイプです・・・。）
そんなヤンじぃコンビですが、この二人のもっともスゴイとこは、人を説得するのがミョ～に上手いんです。
前も同級生で２泊３日の旅行に行くとかいう時、行かないと言ってたおじいちゃんを連れてうちに来たヤンじぃコンビ。
まずＡさんが「俺たちには、もうあまり時間がなかとゾ～」とか「金は、あの世まで持って行けんゾ～。生きてるうちに使わんといかん」とか「２泊３日で３万ということは、１日１万、１時間なら５００円以下ゾ～。それで温泉入ったり、ご馳走食べられるとゾ～」なんて理路整然と説得し始めました。そしてかたわらのＭさんは、黙って目を瞑り深～～くうなづくだけ・・・・。
そして最後にＡさんが「よしっ、決まった！一緒に行くゾ！」ってクロージングにかかると、そのおじいちゃん「んな、行こかな・・・。」なんて説得されてしまいました。
そして実は、僕もクロージングされた一人なんです。
僕は１年ほど前までタール１０ｍｇのタバコを吸ってたんですが、ある日このヤンじぃコンビとタバコの話になって、Ａさんが
「マスター、オレもこの前までタール１０ｍｇば吸いよったばってん、３ｍｇに替えたったい。考えてもみなっせ。３ｍｇなら３本吸うても１０ｍｇ１本よりタールが少なかし、何より３ｍｇならタバコ臭くならん！マスターも商売してるけん、タバコ臭くなるといかんど～？」って言い出しました。
例によってＭさんはかたわらで深～くうなずいてます。
僕は「オレはまだ若いけん、大丈夫ですよ～！そぎゃん臭くなるほど吸わんし～。」って言ったんですが、その後コンビニにタバコを買いに行った時、魔法にかかったように３ｍｇを買ってました・・・。
最初は（やっぱ軽すぎるなぁ・・・。）なんて思ってた３ｍｇのタバコにやっと慣れてきた１ヶ月ほど前、またコンビでのご来店。
最近交互に入院されたりして、お２人でのご来店は久し振りでした。
しかし、まだまだパワフルです。
そしてまたまたタバコの話になりました。
そしたら、Ａさんが
「マスター、オレ入院してたけんタバコ１ｍｇに替えたバイ。マスターも１ｍｇに替えなっせ。考えてもみなっせよ。３ｍｇは１ｍｇのタバコば３本吸うたことといっしょバイ。味はすぐに慣れるし・・・。」
例によって、Ｍさんは横で目を瞑ってうなずいてます。
そしてその日コンビニに行った僕は、またまた吸い込まれるように１ｍｇのタバコを買ってました・・・。
この１年間で、ＭさんとＡさんによって僕のタバコのタールは１０分の１になりました。
このお二人と話すと、なんとなく「そうだなぁ～・・。」って思ってしまうんですよね。
そして今日、またご来店頂いたヤンじぃコンビ。
今日は、入って来るなりＡさんが
「今日はマスターを誘いに来たとよ。マスター、地区のゲートボールクラブに入らんね。」
そうこうしてたらお客様が次々に入ってこられたんで、話はそこで終わりましたが・・・。
今度、あのお二人にゲートボールクラブに誘われたらどうしよう・・・。
来週の今頃、僕は神社の横のゲートボール場で叫んでるかも知れません。
『は～い、木家マスぅ～、１番ゲート通過しましたぁ～！！』
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