「世界の大聖堂⑱」グアテマラ「セントジェームス大聖堂」 ~写真と短歌で綴る世界文化紀行
世界には美しい大聖堂がいくつも点在しており、キリスト教徒が祈りを捧げる場としてだけでなく、観光を目的に訪れても楽しむことができます。実は、世界遺産として知られるスペインのサグラダファミリアも大聖堂の1つなんです。私たち日本人にはあまり馴染みのない存在かもしれませんが、海外では中東の一部地域を除くほとんどの国で見られます。
ヨーロッパを中心にキリスト教を信仰する国々に点在する大聖堂。世界78億人の人口のうち、全体に占めるキリスト教徒の割合は3割弱とされています。つまり、世界の約3人に1人はキリスト教徒なのです。一般的に大聖堂とは、カトリック教会では司教座が置かれている教会を指します。ロシア正教やギリシャ正教では、司教座の有無に関わらず、由緒ある教会を大聖堂とみなし、司教座制度を持たない宗派であっても、大聖堂と呼ばれるものもあります。世界各地には美しい教会が数多くありますが、大聖堂は高い格式を有する一際異なる存在です。
グアテマラ「セントジェームス大聖堂」
「廃墟こそ当時の威容しのばせる 一際目を惹く壮大な造り」
中米グアテマラの古都・アンティグアにあるカトリック教の大聖堂です。イエス・キリストの使徒・サンティアゴ(聖ヤコブ)を守護聖人として祀ることから、「サンティアゴ大聖堂」という愛称でも親しまれています。グアテマラといえば、ブラジルやコロンビアと並ぶ世界有数のコーヒー豆生産国としてお馴染み。その他にも、歴史・文化・自然など見どころが豊富であることから毎年多くの観光客が訪れています。この大聖堂を有するアンティグアは、町ごと世界遺産に登録されている人気の観光地です。スペインによる統治時代の面影が色濃く残るコロニアルな町並みは、中南米ならでは。 セントジェームス大聖堂は、町の中心部に位置しています。
アンティグアの町並みは、碁盤の目のような造りなので迷わずに見つけられるでしょう。ちなみに、すぐ目の前にある広場は独立記念日やセマナ・サンタなど様々なイベントが催される「地元民憩いの場」なのだそう。この大聖堂は白亜の外観を有することから、広場に面する歴史的建造物の中でも一際目を惹く存在です。
現在見られるのは、1543年から1680年にかけて建造されたものです。グアテマラは日本と同じく太平洋に面する国であり、これまでに大地震を何度も経験してきました。そのため、この建物は崩壊しては修復するという途方もない作業を繰り返して今日に至っています。内部は非常にシンプルな造りなのですが、注目すべきは建物の裏側にある教会の廃墟です。創建当時の偉容をしのばせる壮大な造りは、約500年も昔に造られたとは思えないほど素晴らしい状態で保存されています。世界各地には多くの廃墟が存在しますが、これだけ見応えのある教会の廃墟が現役の大聖堂の敷地内で見られるというのは大変珍しいのではないでしょうか。
参照
https://dokodemodoors.com/column/cathedral
https://tabichannel.com/article/1191/cathedral