ルーマニア南部、周囲を南カルパティア山脈に囲まれた、トランシルヴァニア地方に位置するブラン村。この村を見下ろすように岩山の上にそびえ立つのが、中世に建てられた古城、ブラン城です。
ブラン城の始まりは12世紀頃、ドイツ騎士団によって建てられた木造の国境の要塞があった場所に、ハンガリー王ラヨシュ1世の命により、1377年に新しく建てられた石造りの要塞が基礎になっています。
19世紀までは攻撃を防ぐ要塞として機能したブラン城ですが、1920年にルーマニア国王フェルディナンド1世の王妃マリアに寄進されると、城はゴシック様式の石造りの城へと改築され、現在の姿となりました。
1948年に王家が国外追放されました。その後は城の一部を博物館として整備し、1956年に一般公開されることになったのです。
口語短歌
「山中に ひっそり佇む ブラン城 おとぎ話の 雰囲気醸す」
おとぎ話のなかに出てきそうな、ロマンチックな雰囲気もあわせもつブラン城。
裏手から見たブラン城。切り立った岩山と同化するように建てられている。
白壁で統一された城内
城内には、ルーマニア王家が使用していた家具や調度品が展示されている
王家の居城としては比較的地味で質素な印象だが、伝統工芸がさかんなトランシルヴァニア地方ならではの、手の込んだ刺繍や装飾はとても見ごたえがある
王族が使用していた寝室
ドラキュラ城のモデル
口語短歌
「ドラキュラの 夜のブラン城 雰囲気は 吸血鬼住む お城のモデル」
ライトアップされた夜のブラン城は独特の雰囲気を醸し出しています。ドラキュラ伝説のモデルの地としての趣を感じさせるブラン城の名が広く知れ渡ることになったきっかけは、1897年に出版された、アイルランド人作家ブラム・ストーカーによる小説 「吸血鬼ドラキュラ」です。ブラムはトランシルヴァニア地方に伝わる伝承をヒントにしたとされ、作品に登場するドラキュラが住むお城も、このブラン城がモデルだといわれています。また、15世紀半ばに実在したワラキア王ヴラド3世は、ドラキュラ伯爵のモデルのひとりとして知られています。ヴラド3世は、残虐な行為や冷徹な統治から「ツェペシュ(串刺し公)」と呼ばれた人物です。
そのほかの見どころ
口語短歌
「そびえ立つ ブラショフ街の 教会は 黒く煤けて 戦争跡も」
ブラショフの街にそびえ立つ、「黒の教会」。
ブラン城のふもとの街、ブラショフ。その旧市街にある「黒の教会」は、ゴシック様式のルター派の教会で、トランシルヴァニアおよびルーマニアでは最大規模の教会として知られ、1385~1477年にかけて建てられました。1689年、ハンガリーとトランシルヴァニアをめぐってオスマン帝国とハプスブルク家の間で勃発した大トルコ戦争の際、教会で大火事が発生して外壁が黒く煤(すす)けてしまったそうです。これ以来、「黒の教会」と呼ばれるようになったといいます。
参照
https://do-cca.com/2018/09/04/bran-castle/
「2021年軽井沢レイクガーデンに咲いた薔薇たち」
「ルドユテ」2021年10月7日撮影
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