お昼寝 子銀

こんにちは、子銀ままです
チンチラシルバー「子銀」と子銀のままのブログです

「扉の国の物語 銀色王子」 毛布

2011年08月13日 14時48分03秒 | 子銀

 

↑挿絵はアメーバブログにて今年の春発表した物です。

ちらもよろしくね。親ブログになります。
アメーバブログ お暇な子銀


 

1,仁子

 

 

渡部仁子は楽良川の堤防を 美術部の友人と 歩いていた。
友人は作田芽生。
この春 美咲中に入学した、美術部員だった。
小学校時代は 話した事すらない子だ。

「神崎先輩ってきれいな人よね。女顔だけど、なよなよしていないし」

作田芽生は、こんな話しばかりだ。
描く絵もうざい。
お目々が顔半分のきらきらお星様だ。
だが3年間つきあう以上は、邪険にもできない。

「部長でしょ。彼、兄貴と同じクラスだって」
「ええええっ!ラッキー!お友達なの?」
「知らない。兄貴は陸上だし、勉強はできないし、神崎先輩とはこの頃つきあっていない」
「なーんだ」

もろがっかりした顔つきだ。
おもしろい。

携帯がピリリと震える。
ちょうど分かれ道だ。
手を振り 彼女と別れた。

携帯を出すと着信ありだ。

差出人『銀色王子』

「はあ」

仁子は、立ち止まった。
彼女はその 見知らぬ相手からの メールを開く。

『今 君の通っている右手側の河原の草むらに 子猫が捨てられている。今なら助けられる。
君が、救いなさい。君の運命だ。仁子』

今?
彼女は周りを見渡した。

ちりん。
自転車が数台横を通り過ぎるた。
カラスが数羽 けたたましく鳴きながら 横切る。

自分を見ている人もいない。

右側の草むら…。そこは 緩やかな下り坂。
仁子の胸くらいまで雑草が生い茂っていた。

「やだな」

そう そんな死角になる場所へ探しに行く 愚か者はいない。

「何が、仁子よ」

彼女はブツブツつぶやく。

「私は渡部瞳よ」

ダサイ名前は
テストのときしか 使わない。

不気味だし。
名前を知っているやつなんて…。

通り過ぎようとする。

携帯が鳴る。

『運命には逆らえない』

なあんて 傲慢な。
でも、ついつい 草むらをかき分けてしまった。


この作品はFC2ブログにて発表したものです。

FC2ブログを休止するにあたり なじみ深いこちらのブログで発表することにしました。

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