2009年12月31日:午後9時20分
ハワイ島の大晦日は、キレイな満月でした。
このまま静かに夜が更けていくのかと思っていたら、
夕食を食べている頃から聞こえ始めた、何かの鳴き声。
騒々しくは感じませんが、なにが鳴いているのか気になります。
たしか、「カエルの鳴き声がうるさいかも。」といった事前情報は得ていましたが、
日本で聞くカエルのそれとは違う気がします。
「なんか、ポピッ!ポピッ!って聞こえる。」と、妻。
「そうだね。」
ぼくたちの耳には、そう聞こえます。
「まぁ、これくらいなら眠るのに邪魔にはならないけどね。」と、妻はあまり気にならない様子。
浴室の洗面台の棚には、耳栓も用意してありましたが、そこまでの必要はなさそうです。
しかし、ぼくは鳴き声の正体が気になります。
「ほんとうにカエルなのか?」
それにしては、地面というより上の方から鳴き声が聞こえてきます。
そこで・・・。
泊まっている部屋は、簡単に庭に出られるので、ビデオを片手にひとり外へ。
庭はイリアヒ・ストリートに面しているので、そのまま道路にまで出てみました。
すると・・・。
鳴き声は、そこら中、
ホテルの向かい側からも、隣の民家の庭からも聞こえてきます。
しかし、イリアヒ・ストリートに街灯はなく、
たよりになる灯りといえば、
ホテルの看板とクリスマス飾りのライト、それに月明かりだけ。
周囲のうっそうと茂る草木は闇の中です。
ビデオに録画しようにも写るものはなく、無数の鳴き声だけが録音されていきます。
「見てみたいけど、なんだか怖いなぁ。」
いい歳をして、そんな気もしてきました。
と、その時!勢い良く弾ける花火の音が!!
続いて、子供たちの笑い声が聞こえてきました。
よく見れば、通りの端に人が集まっています。
大晦日恒例の花火を始めたようです。
打ち上げ花火が派手に破裂する音も、遠くから聞こえます。
それも、「Pan!」ではなく、「BAN!」と、
個人で上げるにしては、かなりのサイズを思わせる音が。
すると、それが合図だったかのように、
ホテルの隣の家の庭先でも花火が始まりました。
さらに振り向けば、通りの反対の端でも人々が集まって花火をしています。
妻も、花火の音に誘われたのか、外に出てきました。
「なんか、すごいね。」
もっとよく見ようと、ふたりで通りの端まで行ってみることに。
近づくにつれ、
なんとなく、横浜の中華街で迎えた大晦日と似ているような気がしてきました。
「もしかしたら、中国系移民の影響なのだろうか。」
中華街では、爆竹が激しかったなぁ・・・などと思っていたら、
子供たちがネズミ花火を通りに放っては、キャッ!キャッ!と、はしゃぎ始めました。
しかも、そのうちのひとつがぼくたちの方へ。
『これは、あんまり近くづくのも考えものだな。』と思い、
ものの5分ほど眺めてホテルに引き返すことに。
結局、鳴き声の正体はつかめないまま。
依然、部屋の外からは、花火の音と鳴き声が聞こえていましたが、
それでも、妻は午後10時過ぎには就寝。
朝まで、ぐっすり眠れたようでした。
ぼくはと言えば、時差の影響からか、眠ったり目覚めたりの繰り返し。
花火は、早々に終わったのものの、
鳴き声のほうは、午前4時を過ぎるまで続いていました。
翌日、庭の葉っぱの裏にGECKO(ヤモリ)を発見!
もしかして、鳴いていたのはコイツ?
と疑ってましたが、違ったようです。
そこで、このブログを書くに当たって調べた結果
鳴き声の正体は、Coqui Frog(コキカエル)だと知りました。
プエルトリコを代表する国民的カエルだとか。
ぼくたちには「ポピッ、ポピッ」と聞こえた鳴き声は、
世界的には「コキッ、コキッ」と聞こえるようです。
日中は、落ち葉の下などに隠れていて、夜になると草木にのぼり、餌を捕食。
(だから、上のほうから鳴き声が聞こえ、
昼間は姿が見えなかったのかと納得。)
ハワイ島で初めて発見されたのは、1988年。
何故ハワイ島にいるのかといえば、誰かが持ち込んだか、
荷物にまぎれて運ばれてきたのではないかということ。
いずれにしても、国際的な侵略的外来種なんだそうです。
ハワイにはカエルの天敵である蛇がいないため、あっという間に大繁殖。
その結果、夜毎凄まじい鳴き声に。
(この大合唱に耐えられないがゆえに、買い手がつかない宅地もあるのだとか。)
2008年にはオアフ島でも見つかり、
州をあげて駆除しようとしているようです。
これまで、コナ、ワイメア、ボルケーノに泊まったことがありますが、
コキカエルの鳴き声を聞いたのは、今回が初めて。
もしかすると、いままでは鳥の鳴き声と聞き違えていたのかもしれませんが、
さすがに、今度ばかりは気づかされました・・・。
それでも、ドルフィン・ベイ・ホテルに滞在した3泊のうち、
初日こそ気なったものの、
あとの2晩は、ぐっすりと眠ることができました。
Mahalo.