ある日九階で熊さんに出逢った

横断歩道を渡っていたら、右折しようとするタクシーが来た。
運転席の窓が開いていたらしく、声が聞こえた。
「ちんたら歩いてんじゃねぇ、コノヤロー」

驚きや憤りを通り越して、悲しい。
自分がもし観光客だったら、この街を嫌いになるだろう。
荒んだ精神状態の運転手に、これを見せたい。

金箔をまとった熊。
札幌三越の九階、宝飾品売り場に、すっくと立っていた。
人間と同じくらいのサイズで、まあ目立つ。

先月ギャラリーの絵画展に行き、初めて存在を知った。
お写真撮っても構いませんよと、近くの店員様が微笑んでくださる。
なぜこんなものを作ったのか、よくわからなくてバカバカしくて、素敵。