オミクロン感染拡大の脅威も
米ファイザー、モデルナ製の「mRNA」めぐり「日本人は免疫活性強い」と「キラーT細胞」に一定効果の報告も
5都府県で市中感染が確認された新型コロナウイルスの新変異株、オミクロン株。ワクチンによる抗体が低下することが最大の脅威だが、ワクチンにはほかにもウイルスを殺す「キラーT細胞」など細胞性免疫の働きもある。専門家はオミクロン株にも一定の効果を発揮するとの見方を示す。
英国やフランス、イタリアでは感染拡大が止まらず、欧米各国はワクチンの追加接種を急ぐ。日本も高齢者らの追加接種を前倒しする方針だ。
日本で接種されたワクチンは米ファイザー製または米モデルナ製で、いずれもmRNAという種類だ。
ファイザーの暫定的な研究結果によると、オミクロン株に対して同社製の2回接種でも重症化リスクは軽減できるとみられるが、ウイルスが細胞に侵入するのを防ぐ中和抗体の量は従来株に比べて大幅に減少した。3回接種すると抗体量は25倍に増え、予防効果が期待できるという。
ワクチンの効果については中和抗体に注目が集まるが、体内には本来備わる「自然免疫」と、感染やワクチン接種によって構築される「獲得免疫」がある。獲得免疫の中にも中和抗体のほか、ウイルスを殺す「キラーT細胞」など細胞性免疫もある。
順天堂大の玉谷卓也講師(免疫学)は「mRNAワクチンは抗体だけでなく、類似のウイルスにも対応できる『キラーT細胞』も誘導する。欧米と比べて日本人の新型コロナが流行しにくいのも、この免疫の活性が日本人では強いからという報告もある。抗体に関わる免疫より持続期間も長く、オミクロン株にも一定の効果を発揮する可能性がある」と指摘する。