まりんは前から、どちて?と思ってることがあるの。
マイロパパやママに聞いても教えてくれないから
夏くらいから何度かなこしゃんに聞いてみたんだけど・・・
いちゅもはぐらかされちゃうの。
ベビちゃんが産まれて益々訊きたくなって、
なこしゃんに訊いてたら、やっと教えてくれるっていうの。
なこさん、まだ早いんじゃ・・・
大丈夫!まりんは賢い子だよ。
カレンちゃん、大丈夫!
なこさんならきっとうまく話してくれる。
まりん、これから話す事をよくお聞きき。
お前さん、みにくいアヒルの子の話を知ってるかい?
アンデルセンという人が書いた童話だよ。
話はこうさ。
アヒルの群の中で生まれたひな鳥が、
兄弟や他のアヒルの子に似ていないからっていじめられるんだよ。
親も他の子たちも真っ白なのに、そのひな鳥だけ真っ黒だったのさ。
母親もさ、その子を嫌って、七面鳥のひなかもしれないと云ったんだ。
ひな鳥は親兄弟や周りのアヒルからひどい仕打ちを受けて逃げだすんだけど、
どこに行っても醜いといじめられながら一冬を過ごすんだ。
生きることに疲れ切ったひな鳥は、いっそ殺してもらおうと白鳥の住む水地に行くのさ。
いつの間にやら大人になっていたひな鳥はそこで初めて、
自分はアヒルではなく美しい白鳥であったことに気付く、っていう話さ。
そのひなは白鳥らったのね。
でもそれがまりんとどんな関係があるの?
せっかちだねぇ。話はこれからだよ。
いいかい、お前さんはそのひな鳥と違って、親に可愛がってもらってる。
事実がどうあれ、それはこれからも変らないよ。
大事なのは、お前さんがみんなに愛されているってことさ。
ねぇ、なこしゃぁん、まりんが訊きたいのはしょんなことじゃないんれしゅよ。
あぁ、うるさいねぇ。わかってるよ。
お前さんが訊きたいのは、
どうしてお前さんだけ白いのか、ってことだろ?
それはね・・・
お前がプードルじゃないからだよ。
え?まりんはママの子じゃないの?
お前の母親はカレンさんだよ。
プードルじゃないってのは純血じゃないってことさ。
純血って?
違う種類の血が混じってるってことだよ。
お前さんの父親はマルチーズだったのさ。
ちょっとした手違いがあってね、
マルチーズとカレンさんの間にお前さんやマシューやアランが出来たのさ。
まりんは「みにくいアヒルの子」とおんなじ?
あぁ、アヒルだと思ってたら白鳥だったひな鳥と同じだね。
・・・
まりん、こっちにおいで。
ひな鳥と同じように間違いがあったけど、
ひな鳥のように淋しい思いをしたことはない。
そうだろ?
うん。
まりんはみんなに大切にちてもらいまちた。
だったらそれでいいじゃないか。
そうよ、まりん。
あなたは白鳥のように優雅で美しい娘になるのよ。
ママはうらやましいわ。
うん!まりん、この白い毛もみんなも大好き!
話してくれてありがと、なこしゃん。
どういたしまして。
やれやれ