「本当にすいません…うちの兄が…」
「気にしないでいいよ〜。こっちも悪いんだし。昂晴くん、余所見していたし〜」
私、在原七海と兄の在原暁は一緒に某デパートに買い物に来ていた。会話に夢中になり、兄が前から来た男性にぶつかってしまったのだ…。最悪なことに男性はソフトクリームを食べていた為、服にベッタリとソフトクリームがついてしまったのだ…それも二人共に…。今は二人ともトイレで服を洗っている。その間、男性と一緒に居た女性とこうして話をしている。なんだろう…人見知りな私でもこの人とは喋りやすい。見た目は私と同じくらいの年だろうか…。茶色い髪を後ろで結んでいて、あどけなさも垣間見るが……何より………胸が大きい……。
「二人は兄妹なの?全然見た目が違う気がするけど…」
「あ、私達、義理の兄妹で血は繋がってないんです。二人共、今の父に引き取られた関係で…。墨染さんもご兄妹じゃないんですよね?」
兄とぶつかった男性は高嶺昂晴さん、彼女は墨染希さんというらしい。二人共、とある喫茶店でバイトをしていて、新しいメニューを考えるためにこのデパートに来たらしいのだが…
「うん。昂晴くんとは幼馴染なんだ〜。あ、私のことは希でいいよ〜。私も七海ちゃんって呼んでもいいかな?」
本当に希さんは気さくに話をしてくれるから、話しやすい。話しやすさは千咲ちゃん以来かもしれない…まあ、あの子はグイグイ押し込んでくるタイプだけど…
「はい、いいですよ。でも、希さん達って恋人じゃないんですか?」
「ぶっ!ち、違うよ〜!な、なんでそう見えるかな?よく皆からそう言われるけど…」
「いや…凄く仲良さそうに見えたので、つい……。幼馴染同士ってそんなに仲良くなれるのかなって…」
「昂晴くんは…その……大きな弟みたいで、ほっとけなくてさ…。な、七海ちゃんこそ……本当に兄妹なの?恋人に見えるくらい仲良く見えるけど…」
「え!?違いますよ!さ、暁くんとはそ、そんな関係じゃないですよ……」
「「ぷ…」」
「「アハハ…」」
なぜか二人で恥ずかしくて笑ってしまった…
「なんか…わたし達って似た者同士だよね…」
「そうですね!私の兄も大きな弟みたいで、ろくに家事もしないし…」
「そうなんだね。昂晴くんもそんな感じ。朝は私が朝食作りに行ったりしてるんだよ〜」
「気苦労が絶えないですよ…ホント」
「本当にね…あはは…」
私達、本当に似た者同士かもしれない…。同じ境遇の人がいるのだ…私も頑張ろう!
「あ、二人共来たみたい!そうだ、今度私達がバイトしてる喫茶店に来てよ!うちのパンケーキ、本当に美味しいから!」
「はい!是非!その時は私の友人も紹介しますね!」
「うん!私も従業員のお姉さん方とお友達紹介するね!」
私達はそう言いながら、お兄ちゃん達に歩み寄って行った……
《END》