又四郎夢日記

ニコマス紹介や、雑学、雑記など。

ファンタジーっぽい実話9~一般兵士が雑魚な理由~

2014-01-10 17:23:19 | ファンタジーっぽい実話
ファンタジーの世界では、一般兵士は大抵ザコと決まっています。その最大の理由は物語やゲームの都合ではありますが、根拠がないわけでもありません。

兵士をプロの軍人だと思ってしまいがちですが、昔は常備軍というものはありませんでした。常備軍を持てるようになるのは基本的に近代になってからです。昔は一般人を集めて兵士にしていたので、一般兵士は素人です。本格的な訓練を受けたプロと呼べるのは、騎士や武士と言った軍事貴族です。

常備軍を持てるようになった近代では、兵士もプロではあります。しかし、数を増やすとどうしても質は落ちます。常備軍を持てる近現代でさえ、練度の高い精鋭部隊は少数にならざるをえません。

ファンタジー作品を観て、プロの兵士があんなに弱いわけないという人がいますが、意外にそういう描写は間違ってはいないと言えます。まあ、間違っていてもいいんですけどね。それを事実だと言わなければまったく問題はありません。創作では現実よりも作品としての面白さが優先ですから。

ファンタジーっぽい実話8~大剣の使い方~

2013-12-24 17:15:36 | ファンタジーっぽい実話
今回は西洋の大剣についてお話します。
騎士の戦いは騎兵突撃が花形ではありますが、馬から降りて徒歩で戦う場合もありました。このような徒歩の戦い方も時代によって変化しています。鎧の隙間が大きく、動きやすい代わりに防御が弱かった時代は、右手に剣、左手に盾を持って戦うのが普通だったようです。鎧が最終形態となり、防御が高い代わりに動きが悪くなった時代には、盾が消えています。鎧の防御力が高いので、盾の機能が鎧に吸収されたわけですね。盾がなくなると両手で武器を使えるので、両手持ちの大剣が使用される事が多くなったようです。

大剣の使い方についてですが、大きく分けて次の三つがあったようです。

1.通常技法
2.転倒技法
3.ハンマー技法

1.通常技法ですが、これは現代人が想像する通りの使い方です。両手で剣の柄を持って振り回します。

2.転倒技法は、片手で柄、もう片方の手で刃物部分を持ちます。手が切れないのか?と思うかもしれませんが、転倒技法に使う剣は、あまり鋭い刃を付けていなかったようです。それに加えて最終形態の西洋甲冑は、籠手(こて)の部分が手袋のミトンのようになっているので、手が切れにくかったようです。この持ち方で、剣を相手の鎧や脚に引っ掛けて相手を転ばせます。転んだら鎧の隙間からとどめを刺すという戦い方です。

3.ハンマー技法とは、両手で剣を逆さまに持ちます。この持ち方で、ハンマーを使うように剣の鍔(つば)を相手に叩きつけるという使い方をします。

ハンマー技法を知るまでは、異常に鍔が大きい大剣は観賞用、儀式用であって実用品ではないと思っていました。しかしハンマー技法を知ることで、鍔が大きすぎる大剣も実用品である事が分かりました。

ファンタジー世界に出てくる大剣は、通常技法しか観られません。その理由は、製作者が他の技法を知らない事に加えて、他の技法はカッコ悪いからでしょうね。シリアスなシーンで剣を逆さまに持って殴り合いをしたら、現代人の感覚ではギャグにしかなりませんから。


ファンタジーっぽい実話7~日本刀とその誤解~

2013-12-11 17:27:52 | ファンタジーっぽい実話
ファンタジー世界は西洋風が多いものですが、和風がなくもありません。西洋風世界でも日本刀が出てきたりする作品もありますよね。ファンタジーに出てくる物の中で、恐らく日本刀は一番誤解されています。その理由は、作家がフィクションとしてではなく、事実という触れ込みで間違いを書いた事に加えて、政治問題も絡んでいたりします。

政治問題というのは、一部の右翼や左翼が自分達の思想の為に日本刀を利用しているという事です。右翼の場合、日本軍による虐殺を否定する為に、日本刀は不良品であるという主張をする場合があります。日本刀は不良品なので、日本刀を使った虐殺は不可能だという訳ですね。左翼の場合は、日本刀を刀剣としての限界を超えた超兵器にしたがる傾向があります。日本刀は超兵器なので、日本軍は日本刀を使った大量虐殺をしたに違いないという理屈です。

右翼と左翼の主張が逆転する場合もあります。右翼はとにかく日本は優れていると言いたいので、日本刀が超兵器であるかのように主張する事もありえます。反対に左翼は日本を非難したいので、日本刀も不良品扱いしたがる場合があります。

実際の日本刀は高い性能があり、刀剣としてはほぼ完成された物です。しかしどんなに高性能であっても、刀剣の一種ですから、刀剣を超えた超兵器ではありません。

日本刀についてより詳しく知りたい方は、私が別名義でやっているなぜなに古流武術の第七章日本刀武用論をご覧下さい。

ファンタジーっぽい実話6~騎士の鎧は走れない?~

2013-12-08 17:23:26 | ファンタジーっぽい実話
最近、ワルキューレロマンツェなるお色気騎士アニメ?を観ているのですが、そういえば騎士について書いてなかったなあ・・・と思ったので、今回は騎士の話です。

騎士といえば、あの独自の鎧のイメージがあるので、鎧についてお話しましょう。
日本の鎧は走る事ができますが、騎士の鎧は走れないとされています。実際には、騎士の鎧も最終形態の物が走れないのであって、古い形式の物は走れるようです。一般的なイメージとして、騎士の鎧は重いと言われていますが、馬上試合用の特殊な鎧以外は、日本の鎧と同じくらいの重さです。重さがそれほどでもないなら何故走れないのか?それは最終形態の騎士の鎧は、鎧の隙間を限界まで小さくしているからだと考えられます。隙間が小さいと言う事は関節の可動範囲が狭いという事なので、走れないのはその為でしょう。

騎士の鎧は倒れたら起き上がれないという話もありますが、これは半分正解、半分間違いのようです。中世文化の研究をしている団体の人が書いた記事を読んだことがあるのですが、それによると仰向けでは確かに起きられないそうです。しかし180度回転してうつ伏せになれば、起き上がれるんだとか。これは実際に鎧を着用して実験した結果です。

ある時期までは走れる鎧を使っていたのに、最終形態の鎧が走れないほど防御重視になったのは何故なのか?という疑問が出てきますよね。恐らくその理由は、騎士が騎兵を重視していたからだと考えられます。徒歩での戦闘もありましたが、騎士の花形は馬に乗って槍を持って突撃する事です。馬上ではもともと動きは制限されますし、自分が走らなくても馬が走ってくれますから、動きを極端に制限する鎧でも問題なかったのでしょう。

ファンタジーっぽい実話5~紙の鎧と勇者のコスト~

2013-11-29 18:00:22 | ファンタジーっぽい実話
最近のやつは知りませんが、ドラゴンクエストでは最初に王様がくれる武器、防具が粗末だとか、もらえるお金が少ないという話をよく聞きます。しかしよく考えてみると、王様は結構良心的なのでは?という気がしてきました。

昔は現代のような豊かな社会ではありませんから、武器、防具のコストはかなりのものになるはずです。例えば戦国時代です。武士は自分で武器や防具を揃えていましたが、一般兵士は大名から借りています。一般兵士が着る鎧にも色々あったようですが、最低級品は紙の鎧でした。まあ、紙と言っても加工してある程度丈夫にはなっていたようですが、一般兵士の扱いなんてそんなものです。兵士がちゃんとした装備で、専門的な訓練を受けられるようになるのは、原則として近代になってからだと考えていいでしょう。

それに加えて、ゲームに出てこないだけで、主人公の他にもパーティーはいると考えるのが自然でしょう。募集に応じて民間から集まってきた勇者達全員に、ある程度のお金、装備、勇者としての社会的信用を与えるとすると、王様はよくやってくれているのではないでしょうか?