路傍・山野の神仏信仰
まだ働いている頃は路傍の石仏などには無関心であったが、退職後は地域に目が向くようになり、風雨にさらされた石仏などを見ると建立した往時の人の思いが伝わってくるようでいとおしささえ感じるようになった。
(3)庚申尊
吉志6丁目15番地先・自動車道15番ガードをぬけると正面にある。
いつも野の花が供えられている。以前あった場所は自動車道に取り込まれたが古道(上往還)の脇にあったことから、交通安全の神・道祖神との習合(結びつく)が考えられる。
庚申尊とは、中国から伝来した道教に由来する庚申信仰にもとづく石塔である。石塔は庚申講を3年18回続けた記念に建立されると言う。
庚申講とは、人間の体内にいる「三巳の虫」(さんしのむし)が寝ている間に天帝に人間の悪事を報告されるのを防ぐために、庚申の日に夜通し寝ずに帝釈天や猿田彦神などを祀って宴会などをする風習である。
また庚申の申という字は干支で猿に例えられるから「見ざる・言わざる・聞かざる」の三匹の猿を彫った石塔もあるという。
仏教では庚申尊の本尊は青面金剛とされるため、青面金剛が彫られることもある。
庚申尊は、伊川の平山、伊川神社にもあり、いずれも黒川にぬける古道(上往還)の脇にある。