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ドラマ・映画の名セリフに学ぶ(好奇心を持てば、この世は面白いことだらけ!)

#0833「事情はどこの家にでもあるのに。」/『恋するダルスン』第50話から

「家政婦さんもひどいわ。事情はどこの家にでもあるのに、相談もなく…」byハン・テスク(キム・ミニ扮)、ソンイン製靴社長の妹

既に800以上のセリフをご紹介してきましたが、取り上げているセリフの99%は現代モノでして(笑)というのは、それ以外のジャンルにまで手を広げると、手に追えなくなるので、基本的に現代モノしか視聴していません。なので、『チャングムの誓い』、『ファン・ジニ』、『トンイ』といった歴史モノは手をつけていません。その延長で半世紀前が舞台のテレビ小説のドラマも遠慮していたのですが、たまたまテレビをつけたらやっていた『恋するダルスン』に、馴染みのマクチャンドラマ俳優さん達が次々出てくるのでしばらく見ていましたら、時代が50年程遡っただけで、やってることは何ら変わらず面白いので、ついに新たな沼にはまってしまいました(笑)

というわけで今宵は早速、その『恋するダルスン』からこのセリフにしました。このセリフは…

ダルスンの家に、ダルスンと話がしたかったからと、手土産持参でソン室長が訪ねてきました。ところがそこへダルスンの母親ブニがソン室長の自宅の家政婦の仕事を終えて帰ってきました。ブニもダルスンも互いに母娘であることを黙っていましたから、このことを知ったソン室長は2人が関係を隠していた、と怒って帰ってしまいました。これでブニは、翌朝出勤すると朝ごはんを作ったところで家政婦を辞めました。一方ソン室長一家と同居するテスはほかの家族が出勤し、ブニもいないことに気づいてブニに電話すると、ブニから家の事情で辞めた、と聞かされ驚きます。そんなテスクが電話を切ったあとに発した独り言になります。


事情のない家などどこにもありませんよね?テスクの言う通りで、誰も他の人に言わないまでのこと、事情はどこの家にでもあります。なのに人は、自分の家の風向きが悪くなると、よその家を羨んだり、妬んだりするものです。ただ、ブランドもので身を固め、外車を乗り回していた一家が実は多額の借金を抱えていて夜逃げ同然に引っ越したり(実際にバブル期にありました)、ものすごく愛想のいいご主人だと思ってついつい自分の無愛想な亭主と比較していたら、外面がよかっただけだった、などなど、列挙したらそれこそドラマができてしまいそうなくらい事情というものはあるわけでして。
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ちょっと脱線しますが、こうした見えないよその家の事情に関して格好の小説があります。学生時代、厳しい先生にこれを原書で読まされ悪戦苦闘したのですが、主人公がイカれたラジオを通じてよその家の事情を知っていくストーリーは、ほんとにおもしろくて訳す苦労も吹っ飛んだ記憶があります。最近、新たに日本語訳が出たとのこと、本国のドラマをリメイクしたような感じでなければいいのですが。

『The Enormous Radio』/John Cheever



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