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~1986年秋~
・・コンサート帰りの道すがら・・
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あれ?オマエ、何泣いてんの?久しぶりにオレに逢えたからか?
っな訳無いじゃない!・・なんか素敵な曲ばかりだったから、つい・・
なんだよ!それって泣く程か?
KENZIには分からないのよ・・鈍感だから・・
そうか、でも「ガラスのパームツリー」は理解出来たぞ・・オマエは?
うん、良かったよ・・特に・・
・・特に?なんだよ?・・
うん何でもないよ~兎に角全部素敵な曲だった・・あっ、ここでイイヨ~ココから少し歩いて帰る。秋風に吹かれたいし・・
そうか、ならまたいつか・・そうそう、改めて誕生日おめでとう・・向こうでも頑張れよ。じゃぁ~な・・
うん~♪頑張るね!今夜はありがとう~♪ステキなプレゼント~♪おやすみなさい♪またいつかね・・バイバイ
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今日はKAZUMIの23歳の誕生日。実はそのKAZUMIと三ケ月前に別れたばかりだった・・
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二週間前、机の引き出しに入れっ放しになってた「杉山清貴とオメガトライブ」のコンサートチケットを見つけた。
それは彼女が大ファンで、其のコンサートチケットだ。彼女の誕生日プレゼントにと半年前に手に入れてた。
所が彼女の誕生日の三か月前に別れた。原因は何処にでもある些細な理由で・・
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そのチケットをみて、再来週アイツの誕生日だ。どうする?このチケット・・折角なので彼女に郵便で送るか?それとも理由を話してコンサートに誘うか?・・どうする?・・まっ!考えても仕方ない。取りあえず電話してみよう・・
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だけど、アイツ・・"特に・・”って、どの曲だったんだ・・何でもない事だけど、気になるな・・と、思いながら煙草に火をつけて車を走らせた。
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10日後、アイツから郵便物が届いた。
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中身はオメガトライブのミュージックカセットテープ。そして一枚の便箋。
文面には先日のお礼と、そしてコンサート帰りにKENZIが「お前はどの曲が良かった」って質問に”特に・・”って、返事を曖昧にした事への謝罪。
そして、その曲はB面の3番目.と記されてた。それは”最後のNight Flight"という楽曲だった。
この手紙が投函されたのはKAZUMIがニュヨーク行に搭乗する当日だ。日付と空港郵便局のスタンプが押されている事でわかった・・
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👉最後のナイト・フライト/杉山清貴&オメガトライブ 4min45 ※杉山清貴とオメガトライブ ”最後のNight Flight."1986年11月リリース※杉山 清貴(1959年7月17日- 65歳)
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アイツがニューヨークに行く事は半年前には知ってはいた。オレはあまりイイ気はしなかったけど、行くな!なんて、とても言えなかった。
口では応援してるぞ。だからがんばれ!って言ってるけど、本音は「行くな」だった・・あいつ、本当はそうオレに言って欲しかったのか?なんか、今頃そんな気がした・・
この楽曲の詩をオレに被せたんだ。だから「特に・・」って言ったんだ・・
そんな事思いながら、夜空を飛行する翼の赤と緑のナビゲーションランプの点滅を目で追ってた・・
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この曲を聴きながら、そんな38年前の想い出に浸ってると、後ろから「おじんちゃん♪おばんちゃんが呼んでるよ~♪」と10歳の孫娘が私を呼びに来た・・
そうか?ありがとう。わかった~「なんだ?KAZUMI?どうした?何か用か?」・・と、少し離れた台所にいる妻の名前を大きな声で呼んだ・・
こうして今年の御盆も無事に終わったな・・そんな夏の夕暮れのひと時だった・・
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ちゃんちゃん~♪
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それじゃまたね~♪