西風～年がら年中真っ黒け～！

2602/~Father's feelings・・（Evening）

2025年01月07日

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副題：父の不惑(ふわく)の精神。そしてダッフルコート・・

※Father's feelings：父の気持ち

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【春雪】※イメージ

※ジープチェロキー除雪車両 1/64scale

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👉『神のパッサカリア』ピアノ四重奏／作曲：加古隆 4min15 ※加古隆（1947年1月31日 -78歳）日本の作曲家、ピアニスト。

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20◯◯年3月。桜咲き始めた小春日和の午后・・

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オヤジ、未だ墓前に立ってる・・

うん～何時もの事ヨ。暫くそっとしときましょう・・

なぁ姉貴、前から聞こうと思ってたんだけど・・

なに？

オヤジの事。年に一度のオフクロの命日墓参りにオヤジ必ず

あのダッフル着て来るよな。こんな暖かな日でも・・

そうね・・

毎年同じダークグレーのダッフル・・なんか意味あるんか？

アンタ、本当に知らないの？

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※71年「愛の狩人」ジャックにコルスン　アートガーファンクル

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・・うん・・まぁ・・よう分からん・・

あのコートは父さんが不惑(ふわく)40歳の誕生日に母さんがプレゼントしたダッフルなのよ・・

不惑？なにそれ？

四十不惑って、人は40歳になると自分の生きて来た道に自信を持ち、あれこれ迷わないって事よ・・

へぇ～そうなんだ・・で？それで何でコートと関係があるんだ？

アンタ、本当に記憶にないの？鈍感ね・・まぁ良いわ、聞いて・・丁度今から18年前の話よ。

18年前ってオレが10歳。

そう、私が小六の時ね。今でも覚えてるけど、あの年の冬は凄い寒波だった。父さんは何年も着古したコート着て,片道1時間半かけて通勤してたのよ。

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※90年「ロシアハウス」ショーンコネリー

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うん。それはオレも記憶にある。あの年の冬は積雪で2~3日休校になった・・しかし、今思えばオヤジの会社も辺鄙な立地の社宅に入居させたよな・・

それは途中で他の支店に転勤させられたからよ。で、それを見かねた母さんが、父さんに新しいコートを誕生日にプレゼントしたの・・後で知ったけど、クリーニング屋さんのオジサンがタグをみて英国製のちゃんとしたコートだと、驚いてたわ・・

～それがあのコートなのか・・

そう～翌年の正月明けに母さんの病気がみつかって・・それからあっという間だった・・それが17年前の3月の今日・・それは覚えてるでしょう？

うん・・そうか・・でも姉貴、オレ、オヤジがあのコート着てるのあんまり見た記憶にない・・

厳密にはプレゼントされたその年の冬には毎日着てたけど・・母が他界して、着なくなってたわね・・それからよ、母さんの年一度の回忌墓参りの時にだけ袖を通すようになったの・・

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※61年「ナバロンの要塞」グレゴリーペック　デビットニーブン

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と、言う事は・・最初の冬は別にして、今回17回忌参りだから、まだ17回しか袖を通してない事になるんだな・・

でもね、私もそうじゃないかな？って、薄々感じては居たんだけど、はっきりしたのが13回忌の墓参りの帰り道に気が付いたの・・だってああやって一人お墓の前に立ってる姿、遠くから見てると母さんに見せてるような気がして・・

そうだったんだ・・

最初は、偶然が重なっただけだと思ってたんだけど・・そんな事で13回忌の時確信したのよ・・勿論父さんにはそんな事訊けないしね・・

そうか・・姉貴昔から感が鋭かったからな・・なんかオレ的には小難し過ぎて理解できん・・

そして今年、父さんの誕生日も58回目を迎える・・父さんもう直ぐ定年よ・・知ってた？～(笑）

でもそうすると姉貴は30だな。そして俺は28・・そう言えば姉貴。あの彼とはどうなった？一時揉めてたみたいだけど、結婚するんか？

なによ！其れはアンタに関係ない話でしょう！・・で、アンタは？

彼女と多分結婚すると思う・・姉貴には悪いけどオレの方が先になりそうだ・・(笑）

上手くいくのかなぁ～？あっははは～＾＾

あっ！オヤジが来た来た！此処で待ってよう・・（笑）

うん～♪

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この歳になって父の気持ちが本の少し分かった気がした。

思えばあの頃、母さんを偲ぶ暇も余裕も無かったんだろうな・・私たち姉弟を育てるのに一生懸命だった・・そんな事を思いながら、あのコートを着て母に今でも変わらぬ思いと、そして迷わず此処迄生きて来た俺と子供達を見てくれ。と、そう伝えてるんだろうな・・きっと~そんな気がする・・♪正に「不惑」ね・・父さん・・♪

　でも、あれだけ父に似合ったコートも、今では少しサイズが大きく見える。そんな定年近い父が心なしか小さく見えた・・

～ちゃんちゃん～♪

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【それはまるで水墨画】※イメージ