
ネタバレありです。
個人的な記録です。
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及川光博ワンマンショーツアー2022 GROOVE CIRCUS・カナモトホール(札幌市民ホール)公演が行われた。ツアー12/15本目の公演だ。
個人的な予想で、北海道・東北地方今ツアー初上陸であるから、きっと第1バージョンのセトリが来るだろう、そして私が聴きたくて焦がれていた「君の中へ」が今日は聴けるだろう、と期待していたのだが、フラフープを持って登場したダンサーズを見て、この時点でやはりこの公演、正統セトリでやるのだと確信した。
「3年ぶりです北海道!」と気持ちいっぱい叫んだ彼を見て、こちらも胸が熱くなった。いや、私にとっては人生初の(そして念願の因縁の)北海道だったのだが。
この日のお席は1階(という名の実質的な前ベイベー)の後ろから2列目、あらケン側。といっても後ろの列は真ん中にしか席がないため、実質1階最後列で、手を挙げ放題なのが本当にうれしく、楽しみにしていた。
果たしてこの位置はステージから見やすいのか見にくいのか、想像がつかないぞと考えながらも、まあ楽しく踊れればいい、と思った。――ステージ“が”見やすいかどうかではない。ステージ“から”見やすいかどうかが大事なのだ、私(を含む一部のベイベーたち)にとっては。
結果としては十分に見やすい席だったようだ。
あー今見られてるんじゃないかこれは。でも経験の浅い私にはそれに対して反応を返すのがなかなかむずかしい。このうれしい気持ち、ありがとうの気持ち、伝えたいのに。微笑み返したって顔の半分が隠れていてかつ薄暗い客席での微妙な動きは流石に見えないだろう。次見てくれたら、次こそは、と思いながらも、どうしてもろくにお返しができないまま、無慈悲にもステージは進行していく。
一例として、メロディアスを頑張って踊っていたら、見てくれてにこにこしてくれたと公演後殴り書きメモは宣っている。踊ってたら手使えないもんほんとどうしたらいいの。
あっという間に第1部も第2部も終わってしまう。毎度毎度、一般相対性理論にもほどがある。
心の中のどこかでは(君の中へ、君の中へ、)と念じながら、しかし心の声としては\ミッチー!/と精一杯叫びながら、アンコールもといミッチーコールを捧げる。
私はこれを筋トレか何かだと思っている節がある。後に後ろから見守ってくれていた初心者男子(なんと初心者が遠征)から、「周りが疲れて手が下がってくる中、私だけはずっと
ちゃんと手を伸ばしていた(のに若干引いた)」とお褒めの言葉をあずかった。
そうしてついに願いは届き、再登場したメンバーの中にホーンズはいなかった。そこで判断するな。(補足:ホーンがいる→pillow talk)
きたぞきたぞと全力でよろこぶ心と同時に、若干の焦りも感じていた。
なぜか。
やろうとしていたことがまだ完遂できていなかったからである。
何かというと、「結いた髪をほどく」という行為だ。これは、今ツアーの大阪2日目にて飛び出た発言だそうで、私自身は1日目しか参加できなかったので聞いていないのだが、2日目参泉のベイベー様方から伝え聞いた。Twitterで。
それによると、どうやら、「(麺を食べるのに)髪を結んで、その後(いい感じのBARに行ったら)ほどく」というのが、きゅんとさせる(つまるところミッチーがきゅんとする)仕草なのだという。
そうして私は

というツイートを残したのだった。
そう、これを実行に移してみようというわけだ。
もっとも、開始からサイドテールで結んでいたし、どこかのタイミングで解こう、ということにしたが。
しかし極上バラードの最中にやるわけにもいかないので、そわそわしながらもひとまずここは酔いしれようと必死になった。あんなに楽しみにしていたのに心から音に沈みきれなかった愚かな私である。
たっぷり余韻をもたせ、影より生まれる拍手が孤独な光を包む。
彼が満足気に顔を上げる。私は焦る。どうしよういつ解こうやらなきゃ絶対後悔する。
そして彼は言う。「踊って帰りましょう」といつものせりふを。
そうしてこちらのあたりを見ながら話し出したので、これはもう、と、とにかく一生懸命に見つめながら、ゴムとシュシュをえいとほどいた。彼はそのまま話を続けた。
そして最後の曲が始まった。
「S.D.R.」。
この曲もまた、一生懸命に(というよりは、楽しそうに、なのかもしれない)踊っているベイベーには、視線やいいねが飛んでくることは今までの公演から学んでいたので、今日はいちだんと気合を入れていこう、などと思いながら、冒頭の5音に合わせ力いっぱい手を動かした。この振り付け、大好きだ。
キレ、の2文字を浮かべながらスタイリッシュに逆Zを描く。
右を撃たれ、左を撃たれ、ガクッと真ん中に落ちる。という解釈で合っているのかはわからないがそう覚えている。
「2人のレビュー」で手を突き上げてよいことはツアー初日に初めて知った。今ではすっかり我が物顔でやっている。
そしてついにその時がきた。
りえさんが下手にくり出して行く。ミッチーは上手に向かってくる。
くる、くる、くる。
どこからともなく現れる見えない弓を、構えて、ぐいっと引いて、狙いを定めて――
撃たれた。
つらぬかれた。
覚悟はできすぎていた。
甘美な痛みに顔を歪ませながら、私は両の手で胸をがしっと押さえて、見つめる瞳は決してそらさぬまま、垂直に崩れ堕ちた。
恍惚にぼうっとしかけた私を次の瞬間さらなる衝撃が襲った。
口角を上げ、眉根を寄せ、渾身のサムズアップを、その人は放った。
紛れもない私に向かって……。
ああ、どうしよう、どうしてくれよう。
真ん中に戻って歌っているミッチーさんの視線が、間にいる人々の隙間をくぐり抜け、もういちど目を合わせてくれて、なぜだか微笑み合っている、この瞬間が奇跡で仕方ない。
ああ、いま、幸せです。
以上が事の一部始終である。
いや、日替わりダンス北海道スペシャルも楽しませていただいたし、Shinin' Starがくれば最高だったけど叶わずバラ色の人生がきたけども悔いなく踊ったし、ライブはもちろんそこで終わりではなかったけれども。
この幸せな思い出が本気で私を当面生かしてくれる。
現にすでにもう何度も何度も反芻しては惚けた顔をしている。自覚はある。公衆の面前で晒さないよう気をつけなければならない。
初心者にして最前ドセンをなんとかやり切った私がこんなに成長したよ、なんてことは絶対に伝わっていないけれども、私にとってみれば、またこうしてステップアップすることができた。
「それ以上の想い出」はきっと、どんどん更新していけるんだと思う。
そして何より、ミッチーさんが楽しんでくれたのなら、私はとってもうれしい。
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