進次郎の憲法改正「一点突破」 大手町の片隅から 乾正人

このままでは「自民党崩壊」の日も近い

進次郎の憲法改正「一点突破」 大手町の片隅から 乾正人 

東京都知事選で、「赤いきつね」と揶揄(やゆ)された蓮舫候補の衝撃的な敗北の陰に隠れたが、同時に行われた都議補選での自民党の負けっぷりも衝撃的だった。都議補選は、9つの選挙区で実施され、自民党は8選挙区で候補を擁立したが、選挙前の5議席を大きく下回る2議席しか確保できなかった。惨敗である。

都議補選でも自民は惨敗

自民党都連会長である萩生田光一氏のお膝元でもある八王子市選挙区でも大敗した意味は小さくない。

派閥の裏金問題をきっかけに火が付いた有権者の「反自民感情」は、通常国会が閉会しても収まるどころか、ますます燃え盛っている。

都知事選でも現職の小池百合子知事が、自民党の表立った応援を断り、「完全無所属」の石丸伸二氏の猛追を振り切ったが、前回より約70万票も得票を減らした。

このままでは「自民党崩壊」の日も近い。国会開会中の先月14日、当欄はこう首相に問いかけた。

「公約の憲法改正が今国会で実現できない以上、総選挙で国民に信を問い、玉と砕けるのも男子の本懐ではないか。身を捨ててこそ浮かぶ瀬もある」

ご存じの通り、岸田文雄首相は粛々と国会を閉じ、身を捨てることはなかった。ただ、捨てる神あれば、拾う神あり。拙稿に「同感だ」と感想を寄せてくれた代議士Sもいた。

7月某日、議員会館にSを訪ねると、開口一番、「地方の自民党は、末端組織から壊死(えし)しつつある」と危機感を露(あら)わにした。

人気者のSだけに、全国各地から応援要請がひきもきらないが、地方に足を運んだ回数が並の国会議員より多いだけに、現在の党の置かれた状況がよくわかるのだろう。

 

結党70周年に憲法改正を

「党が危機的状況にあるときこそ、原点回帰しなければならない。自民党は、自主憲法制定というのが結党のルーツであり、憲法改正といって反対の人はいないはずなんです。来年結党70周年を迎える今こそ、憲法改正を政治日程に載せないといけない」

正直、驚いた。環境大臣を務めたSは、ソフトな「環境派」というイメージが強く、憲法改正を正面から論じてきた安倍晋三元首相らとは違う「分類」にしていたからだ。

「安倍元首相も岸田さんも憲法改正に並々ならぬ熱意があった。だが、一度も憲法改正に関する国民投票が実施されていないのは、最初の国民投票で否決されるのを恐れたからではないか。初回は否決されるのは織り込み済みで、2回目以降で決着をつける戦術をとらないと、いつまでたっても改正なんてできない

確かにその通り。憲法改正を発議するには、衆参各3分の2以上の賛成が必要だが、第2次安倍政権発足以降、チャンスは何度かあった。だが、公明党がそもそも積極的でなく、国民投票で否決されれば、政権は計り知れぬダメージを受ける。

 

ならば、最初から否決される構えで臨めば、「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もある」というのがS、いや小泉進次郎元環境相の考え方だ。父の純一郎元首相は「50歳になるまでは総裁選に出るな」と訓戒を垂れている。それも見識だが、43歳の憲法改正「一点突破」をぜひ見てみたい。(コラムニスト)

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