肺腺がん」はステージ3でも根治の可能性がある

 

「肺腺がん」はステージ3でも根治の可能性がある|Dr.中川 がんサバイバーの知恵

 肺がんの罹患数は12万人で、大腸がんに次ぐ2位。死亡数は男性1位、女性2位で、5万人超の命が奪われています。日本人によく見られるがんのひとつですが、ITジャーナリストの三上洋さん(59)は2つのがんが見つかり、そのうち1つがステージ3bの肺腺がんであることが話題となっています。

 自らのYouTube動画などによると、昨年11月に人間ドックを受けたところ、右の腎臓と右の肺に腫瘍が見つかり、右の腎臓がんについては昨年12月にがんとともに切除したといいます。肺がんについては、主治医に「根治を目指せるギリギリのタイミングに間に合った」と言われ、放射線と抗がん剤で治療するそうです。

 元々、大きな病気をしたことがなかったそうですが、昨年は円形脱毛症や両ひざの痛みなどが重なり、家族の勧めで人間ドックを受診したとのこと。どんながんも、早期は無症状ですから、元気なときほど毎年のがん検診が不可欠。それが早期発見のコツです。

 最近は、画像診断が発達し、肺がん検診のX線検査というと、一般の人は古い印象を持つかもしれません。しかし、肺腺がんは肺の末梢(外側)にできやすく、心臓などに重ならないことが多いため、X線で見つかることがよくあります。

  たばこを吸わない人や女性に多く、肺がん全体のほぼ半数が肺腺がんですから、非喫煙者や女性も肺がん対策としてX線検査が重要です。もちろん、たばこの影響はあって、特に受動喫煙の影響が強く、夫が喫煙者の場合、非喫煙者の妻が肺腺がんになるリスクは2倍になります。

 肺腺がんは、早期なら手術と定位放射線の治療成績は同等で完治が期待できます。定位放射線とは、正常組織への照射を極力避けながら腫瘍に選択的に照射するピンポイント照射のことです。

 一方、遠隔臓器への転移はないものの、局所で大きく進行した肺がん、非小細胞肺がんのステージ3や小細胞肺がんの限局型は、三上さんのように抗がん剤と放射線を組み合わせる化学放射線療法が適応です。大体3割くらいは、化学放射線療法で治癒の可能性があります。

 肺がんでは、EGFRという遺伝子に変異があるかどうかも重要で、変異があれば、EGFR阻害剤が効果的です。このタイプだと、化学放射線療法にEGFR阻害剤を組み合わせれば、転移があっても、5年以上生存できる可能性が高くなります。

 日本人は、非小細胞肺がんのうち30~40%がEGFR遺伝子変異陽性です。男性より女性、たばこを吸う人より吸わない人に多く、肺腺がんの患者背景と重なりやすいため、進行肺腺がんは治療の望みを捨ててはいけません。

 

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