『東大法学部という洗脳』倉山満著 いまだ逃れ得ぬ呪縛を解明

マッカーサーの押し付けである日本国憲法を実体化することに、宮澤は全力を傾けた

産経

【編集者のおすすめ】『東大法学部という洗脳』倉山満著 いまだ逃れ得ぬ呪縛を解明

『東大法学部という洗脳 昭和20年8月15日の宮澤俊義』

 宮澤俊義をご存じでしょうか。憲法学の権威として戦前戦後を通じて東大法学部の教授を務めた人物です。一般的にいうと「偉い人」。ところが戦後になって「天皇ロボット説」や、昭和20年8月に日本が革命状態になったとする「八月革命説」など、トンデモ学説を発表します。

 これはどうしたことでしょう。実はマッカーサーの押し付けである日本国憲法を実体化することに、宮澤は全力を傾けたのです。彼は、占領軍の国際法違反の憲法改正を「革命」として捉え、日本国憲法の人権規定を錦の御旗として、戦後の民主主義の理論的支柱となりました。彼を研究することで、日本を支配するエリートたちの理論的な背景を解明したのが本書です。

 宮澤が支配した東京大学法学部は、今も日本の官僚エリートを輩出する総本山。その頭の中も宮澤の規定した三大説の枠の中にあります。それは、1に憲法は人権カタログであり、2に憲法は八月革命の産物であり、3に天皇は時の政府のロボットであるという考え方。自民党などの改憲案などを見ても、われわれはいまだその呪縛から逃れ得ていません。

 宮澤を調べることにより、どういう人間が時局の中で出世したのか、それを育てた東大法学部がどのようなヒエラルキーを持っていたか、なども解明します。『財務省の近現代史』で戦前から戦後を通しての財務省を見事に解き明かした著者が、戦後民主主義の支柱となった宮澤俊義を解体して、この国のエリートの心の中をえぐり出します。(ビジネス社・1400円+税)

 ビジネス社 本田朋子


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