東京都の太陽光パネル条例「設置義務化」はミスリード 実際は「推奨」ではないのか コストアップを強いられる都民は気の毒

 

【日本の解き方】東京都の太陽光パネル条例「設置義務化」はミスリード 実際は「推奨」ではないのか コストアップを強いられる都民は気の毒(1/2ページ)

東京都で新築住宅への太陽光パネル設置を義務化する条例が成立したと報じられた。条例の実態はどういうものなのか。

昨年5月の本コラムにおいて、一戸建て住宅を含む新築建築物に太陽光発電のパネルの設置を義務付ける条例改正案の制定に向け、東京都は、都民や事業者からパブリックコメントを始めたと書いた。条例は「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)」の改正であり、意見公募では、75ページに及ぶ大部の「中間のまとめ」となっており、現段階では意見喚起だろうとも書いた。

昨年5月のパブリックコメント段階では条例案がなかったが、元役人としては、義務化をどのように条例に規定するかに興味があった。条例は昨年12月に成立した。それを読む限り、「義務化」というのはミスリーディングだ。

当初から、住宅建設を依頼する人ではなく一定のハウスメーカーなど事業者に対する義務だというのは分かっていた。事業者の義務は、一定の方針を都知事に提出しなければならないというものだ。ただし、その中の太陽光パネルの設置目標は目安程度で、達成できなくても罰則はない。達成への取り組みが不十分だと判断された場合、都は助言や指導を行ったうえで、事業者名の公表を検討するとしている。つまり設置義務化というより推奨というレベルだ。

 

事業者は、太陽光パネルの設置を顧客である依頼主に拒否されたら、依頼主に強制することはできない。方針を達成できなければ、最終的には事業者名が公表されるというが、コストアップを顧客に押し付けなかったわけで、ある意味で良心的な事業者ともいえる。

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