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ドイツが「EUの病人」と呼ばれる日…「一人勝ち」から衰退一途、気がつけばEUで経済成長していない唯一の国に
ドイツが「EUの病人」と呼ばれる日…「一人勝ち」から衰退一途、気がつけばEUで経済成長していない唯一の国に - ライブドアニュース
政府専用機も飛ばせない?
1990年の東西ドイツ統一の後、何年にもわたって不況が続き、「欧州の病人」と呼ばれていたドイツだったが、現在、病状再発の様相が色濃い。国のあらゆるところで多くのことが機能していないという実態がどんどん露呈しており、ついこの間まで「一人勝ち」と自信満々だったドイツ人は、急に元気をなくしている。
普段なら、夏の間は気分が高揚して、あまり悪いことを考えないドイツ人だが、よりによって今年に限り、7月半ばから全国的に冷夏だった。待ちに待った夏休みが始まった途端に、雨、風、そして、季節外れの寒さが到来したのだから完全に調子が狂い、気分まで冷え込んだ。
しかも、盛り上がるはずだった女子サッカーのW杯はまさかの予選落ち。さらに、ドイツ人がショックを受けたのが、ベアボック外相(緑の党)をオーストラリアに運ぶはずの飛行機が故障し、とうとう目的地に辿り着けなかったという情けない物語。ちなみに政府要人の輸送は空軍の仕事だ。
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ドイツ軍のポンコツぶりはすでに広く知られていたとはいうものの、ドイツ国の映えある外交団が給油地アブダビで足止めを喰らい、2日後、フライトを断念、アブダビで解散となったのだから、さすがのドイツ人も唖然とした。
これに関しては、ニュースでも自虐的な扱われ方が多く、国民も、自国の悲惨な現状を象徴した出来事として落ち込んだ。いったいアブダビで何が起こったのか?
8月14日午前3時過ぎ、ベアボック外相の乗った政府専用機はアブダビで給油後、オーストラリアのキャンベルを目指して飛び立った。緑の党の政治家のうち、1年前まではこのベアボック外相とハーベック経済・気候相が抜群の人気を誇っていたが、今やどちらも失速中。特にベアボック氏は自分の実力を知らぬまま、世界中でベテラン政治家を相手に教訓を垂れるので、物笑いの種になっている。
そのベアボック氏が乗った飛行機が、アブダビを離陸後3分で「技術上の問題」に見舞われ、引き返すこととなった。機長の機内放送を含め、ここらへんの様子はジャーナリストがどっさり乗っていただけあって、ビデオに詳細に収められている。なお、機材はエアバスのA340で、「コンラート・アデナウアー」と命名された築23年の政府専用機である。
上空で80トンの燃料を海に撒き
この時の「技術上の問題」とは、翼の後ろ側に付いているフラップが、左右とも引っ込まなくなったことだった。
フラップとは離陸時と着陸時に飛行機の翼から突き出してくる小さな羽で、揚力を付けるための装置だ。着陸時にも揚力が必要な理由は、下降の際に頭が下がりすぎることを防ぐためだ。
そういえば、着陸間際の旅客機を遠くから見ていると、前屈みで突っ込むことなく、水平状態を保ちながらふわふわと降りてくる。しかし、飛行中にフラップが出たままでは高度も速度も上がらないため、引き返すしかなかった。
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ただ問題は、13時間以上も飛ぶ予定だったので、燃料が満タンだったこと。着陸の際に機体が重すぎると、損傷したり、最悪の場合、炎上の危険もあるといい、その前に燃料を捨てる必要があった。
ちなみに、この日の機体の総重量は271トンで、うち110トンが燃料だった。アブダビ空港の滑走路は4kmで、着陸できる機体の重量は最大で190トンまで。つまり、機は80トンの燃料を放出しなければならなかった。
1分間に放出できる燃料は1トンなので、飛行機は80分間、ペルシャ湾上空を旋回して燃料を捨てた。常日頃から、環境保護にうるさい緑の党であるから、80トンの燃料を海に撒くのは、かなり心苦しかろうと思いきや、なぜか何のコメントもなかった。とにかく、こうして朝の5時半、一行は軽くなった飛行機でアブダビに戻った。
着陸後の会見で機長いわく、「政府の要人を運んで30年になるが、フラップの故障など一度もなかった」。さらに、着陸時にアブダビ空港が消防車を待機させていたことについて、「そんなものを要請した覚えはない。我々の着陸は普通通りだった」と不満まで述べた(どこが普通なのか?)。
また政府のスポークスマンも、「国防軍の政府専用機は素晴らしい仕事をしている」とダメ押し。一切の批判も皮肉も受け付けないという態度が強固だった。
政府の面目は丸潰れ
ベアボック氏の目的地は、オーストラリアのキャンベラで、その後、さらにニュージーランドとフィジーに足を伸ばす。いずれも外相就任後、初の公式訪問である。
昨今、インド太平洋地域は将来の経済の成長株として注目が集まっている。「我々は世界に対する共通の価値観と視線で結ばれている。距離は遠くても互いに信頼を寄せ、戦略的パートナーとして助け合おう」というのが、ベアボック氏が事前にこれら3国に対して発していたラブコールである。
具体的な内容は、ロシアと中国に対抗して、民主主義国同士で手を結ぶこと。その他にも、オーストラリアの原住民からかつてドイツが奪ったという民芸品を返還したり、さらにフィジーで新設されるドイツ大使館の記念式典に列席したりと、予定はてんこ盛りだった。それどころか、フィジー諸島が温暖化で海に沈むことも、ドイツの掛け声で止めるつもりだった。
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いずれにせよ、さまざまなことが何ヵ月も前から用意され、ベアボック氏はこれらの国々との友好に大いなる期待をかけ、訪問には1週間もの時間を割いていた。ただ問題は、どうやってキャンベラに行くか、である。
フラップは、持参の材料で修繕できるのか、それとも、ドイツから部品を取り寄せなければならないのか? あるいはいっそのこと、民間機に切り替えるべきか? 民間機ならその夜にあったが、一行の数は大幅に縮小しなければならないだろう。しかし、ベアボック氏にとって何よりも大切なのはメディア、特にカメラマンだ……。
その日、軍の奮励努力で修理完了、テスト飛行ではフラップも問題なく収納できたということだった。そこで、民間機の予約はキャンセルされ、火曜日の午前1時に、一行は再び飛び立った。ところが不幸にも数分後、20時間前と同じトラブルが起きた。
その後は、お決まりのコース。つまり、「コンラート・アデナウアー」は再びペルシャ湾上で旋回し、80トンの燃料を撒き、アブダビに戻った。そして、外交日程は完全にキャンセル、翌日、ベアボック氏は民間機でドイツに戻った。政府の面目は丸潰れとなった。
「脱産業」の道を一直線に
実は、ドイツ軍の装備は惨憺たるもので、飛行機も戦車もろくに動かないと言われ始めてすでに久しい。国防費をGDPの2%にというNATOの要請も、ずっと無視し続けてきた。軍事演習の時にヘリコプターが足りず、ADAC(日本のJAFのような組織)から借りてきたという笑えない話もある。
だからこそ、ロシアのウクライナ侵攻後、ドイツ政府は泡を食って、国防強化のために急遽1000億ユーロもの追加予算を組んだ。しかし、そのお金が有意義に使われているという話は未だに聞かない。
そのせいなのかどうか、軍がその運航を担当する政府専用機も故障が絶えず、以前より問題視されていた。そういえばベアボック氏の乗った政府専用機は、今年の5月にもカタールで故障し、氏は20時間も足止めを食った。
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また、もう少し遡れば、メルケル首相とショルツ財相(当時)が、ブエノスアイレスのG20サミットに行くために乗った飛行機の電子機器がフリーズし、ケルン=ボン空港に緊急着陸したこともあれば、ショルツ氏の飛行機のケーブルが、インドネシアで駐機中に動物に齧られ、民間機に乗り換えたこともあった。
ちなみに日本の場合も、政府専用機の運行担当は自衛隊の特別航空輸送隊で、機長も乗務員も全て自衛官だ。ただ、首相官邸のホームページによれば、運航の際は2機が飛び、整備担当の自衛官も同行し、万全の体制を敷いているとのこと。国の威信を保つために必要な措置だろう。
今、ドイツは、緑の党が主導している「脱原発」「脱石炭」「脱ロシア」のおかげで、一直線に「脱産業」の道を歩んでいる。そして政府の頂点には、“何もしない首相”の異名を放つショルツ首相が鎮座しており、先行きは暗い。
外資の直接投資も急激に減少中
ケルンのドイツ経済研究所によれば、昨年の外資のドイツへの直接投資は105億ユーロで、引き上げられた資金は1355億ユーロ。今年はこの傾向にさらに拍車がかかるだろう。すでにドイツは、EUで経済成長していない唯一の国だ。
しかも、物価は下がらず、教育は崩壊し、デジタル化は進まず、難民はますます増え、ついに政府専用機もまともに飛ばせなくなった。また、今年の冬の電気とガスは依然として不安要因だし、それどころか戦争に巻き込まれる心配まである。
そんなわけで、急激に将来を憂え始めているドイツ人だが、今更どうしようもない。私も一緒に憂えるしかなさそうだ。
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