そこは一切が何も起こらない静寂の世界。闇すら無い空間。
その中を沈みゆく魂は、無限の時間を孤独と渇望でおくる。
・・・しかし、彼らにも免罪の時は訪れる。全ての生命の
糧である大地は、その再生と共に、全ての罪を許し給うた。
『誰ダ・・誰カイルノカ・・光ガ眩シイ』
「ねえ、私の羽をあげる」（俺ハ独リデイイ・・デモ・・）
「それじゃ、一緒に飛ぼうよ」（知ッテル・・骨ノ軋ム音）
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■輪廻転生、因果応報
紫炎将軍はあせっていた、彼の指揮する者達にも動揺が広がる。
「ええい、相手は洞仙とはいえ一人だ。遅れを取るでないぞ！」
将軍は部下を叱咤激励するが、指揮の低下は著しく効果は薄い。
この行軍は将軍の独断に過ぎず、一度崩れると敗走するのみだ。
【ふふふっ、一人しかいないって？僕を忘れないで欲しいなぁ】
将軍の頭上に人影が現れた。「ゲッ、お前は”小翼濡子”か？」
一見すると幼い子供だが、背中に小さな白い翼が生えた妖怪だ。
「はぁはぁ、愚か者め！例えワシ一人でも、妖怪一匹殺れるわ」
鬼の将軍とあだ名された紫炎将軍は、七星剣という槍の名手だ。
「わぁ、危ないなぁ。当たったら痛いじゃないか」印を結びつつ、
『四天王よ我が声を聞け！暫しの間、安息をかの者に与え給え」
・・・「グゥ～グゥ～」（ふぅやれやれ、世話のかかる老人だ）
満天宮城は、紫炎将軍の敗北に驚いた。しかし、勝手に行動して、
勝手に負けたことは、将軍の責任なので、無関心を装っていたが。
将軍は、町中の大通り、＊グゥ～グゥ＊と眠ってるのを発見された。
「またまた、町外れの洞窟の仙人の大勝利だ」「死者はまた０人」
日頃から、傲慢な将軍を憐れむ民はおらず、人々は洞仙を称えた。
この都は昔から、地下の龍脈を操って繁栄した。だが、ある年に、
突如現れた少年によって、龍脈の在る洞窟を占領されてしまった。
その少年は”小翼濡子”という妖怪を常に従えた、仙術使いである。
「大地は生命の糧の源。汝らの行いは、大地を滅びさせる愚行だ」
名の有る妖術士や呪術士だけでなく、有名な戦士達も、敗れ去った。
その少年は、洞窟に元からあった罠を利用した。更に、新しい罠も
洞窟に加えた為、満天宮城の地下は迷宮さながらである。その主で、
仙術に長けていることから、少年はいつの日からか、”洞仙”と、
畏怖混じりの尊敬を込められて、人々から呼ばれるようになった。
その少年は、今までなぜか、進入者の命は絶対に奪わないからだ。
「ご主人様～、見回り終わりました」ふわふわと飛びながら言った。
洞窟の心臓部であり、龍脈に通ずる唯一の階段の部屋に少年はいた。
