◆廃狼伝◆
「電脳・私立探偵~廃狼」
*この作品はフィクションです。実際の人物・団体等と、無関係です。
(C)ミィ~ネ(&ミネコウ)
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・・・ふと、他人に訪ねられる時がある。
「お前は何故、”そこ”に存在するんだ?」
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それに答える前に、ちょっと、言わなければならない
ことがある。だいたい、自伝ってのは、面倒なこと
この上ないのだが。それでも、最低限の自己紹介とか、
やっぱ必要なのだろうな。例えば、俺の住んでいる
この街のこととかか。”形として存在しない街”なんだ。
そんな適当な答えじゃ、誰も納得はしない。分かってる。
でも、”本当に俺の住んでいる街は、形じゃ無い”んだ。
この世界は既に、砂まみれ、水びたし、汚物だらけ・・et
まあ、そっちの時代では、空想科学、SFだっけ?、と
呼ばれている、(低俗小説なの?俺は結構面白いと思う)
空想でしか、俺の時代を感じ取る手段は、まだ無い筈だ。
マジで、目茶苦茶で適当な世界なんだ。たいていの奴等、
そう、こっちの世界でも、”退屈な日常と小さな幸せ”
ってやつで満足する人間が大半を占めているけど、ごく
僅かだが、トンでもない奴等、自己の妄想を肥大させて、
世界を破滅に導こうとする、”メガロマニア”みたいな
のがたまにいるんだな・・・まあ、俺もそれに近いけどさ。
ん、何だって?そっちの世界にも、いっぱいいたってか?
うん、分かってるよ。俺も歴史ってやつは嫌いじゃない。
だけど、この世界はさ、もう現実と空想の境界線が崩壊を
始めちゃってるんで、そんなことが日常茶飯事だから・・・
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俺の頭の中には、訳の分からねえ、思考ルーチンってのが、
いっぱいつまってやがる。更に、元々は教訓の為に存在して
たからナ・・・最初のver.プロトタイム01の時の名は、
”灰色狼プロジェクト”だった。なんでだろう・・・いつの
まにか、俺が守る側になって、今じゃ、”羊さん”を守ってる?
・・・なんか、訳ワカンネェね。ちょっと、混乱チュウDesu@
「俺は、この虚構の世界の私立探偵・・・Hight-LOW(廃狼)」
(存在するのに、理由はいらない。俺はここにいる。それだけ)
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■SFC古典「アウターワールド」
終末を乗り越えて、再び人類の桃源郷を目指して突き進んだ未来、
それは、今までの地球の生命を否定することで始まった。全てが、
肉体をよりどころとしない、精神だけの世界。そう、俺達は幽霊。
・・・つまり、脳を含めた、思考や精神ぐらいしか存在出来ない。
それでも、あんまり昔と変わらないかもな。やっぱ、人間関係
とかあるみたいだし(笑)←いや、マジで笑えるよな。たとえ、
肉体が無くなって、原始的な時代と比べると、遥かに自由な世界
なんだけど、やっぱ、基本的なところ、あんま変わらないみたい。
変化はいっぱいあるんだけどね。結局、科学的に人間は、脳が
その人間の行動を決めているってので、”病院は脳の診察所”さ。
未だに、シンプルさ。”冷凍保存した自分の脳”を運ぶだけで。
でも、精神科はチョット違う。なんといっても、そもそもこの
仮想空間が、治療の一つとして開発されたものなんだから・・・
昔の世界でいう、民間療法ってやつ?そういうのなら、ゲーム
かな。でも最近は、あんまり医療機関が儲からないのも問題と
いう理由から、”WIZARDRY”は医者の許可が必要です。
そこで、あんまり知られてない、昔の原始的な時代のゲームが、
”俺達のこの時代”で、探すことがビジネスになった訳なんだ。
・・・ああ、ついでにバラすと、それが俺の”表の商売”なのさ。
SFC=スーパファミコンかぁ~なんか、レトロな響きが素敵。
えっと、その時代は、まだコンピュータゲームが誕生してから、
半世紀も過ぎてない頃で、しかも、”血が繋がっている集合体”
である”家庭”を主にターゲットとして、とある小さな島国で、
その国だけでなく、他国にまで売り出せる程の、黄金期だった。
う~ん、相変わらず、俺の”雑学メモリー”は、無意味に充実~
してるって感じだ。ようは、”その頃”って繁盛してたんだね。
制限とかいっぱいあったのに、よくやってるもんだと関心する。
今は確かに、直接、頭のメモリーを利用できるから、無限大さ。
だけど、人間は昔から・・・コンピュータが登場する有史前から、
いろんな物を使っていて、本当に、”俺は人間を尊敬”するよ。
トランプのババ抜きで、俺はいつも微妙な電波を出してバレる。
さて、ビジネスの話だ。
あんたの依頼は、確かスリルと、古典的ゲームのSFCソフト。
しかも、その中でも、”転換期に著されたもの”が望みだよな。
俺は、”局の規制にひっかからない”のも視野に入れていてね。
・・・なにせ、あんたの予算が、あんまり低かったから厳しくて。
余計な心配は無用。いつもどおりさ。
↓依頼書に基づいた、現品の内容確認↓
「ビクター:アウターワールド(元PCからSFC移植作)」
この作品は、当時の画像技術であった、ドットからポリゴンと
よばれる描写方への、初めて取り組まれた作品として、”有名”
(最後の、”有名”ってやつは、俺が勝手に付け加えたんだが)
んん、説明書は古典的価値があるかと・・ついでにオマケするよ。
えっ?一回だけ俺と一緒にヤりたいって・・・お客さん変わってる、
悪い意味じゃなくって。まあこのゲーム、馴れるまで難しいから。
(本来は一人用のゲームだけど、時々、一人じゃ嫌って人もいる)
んで、俺はどんな風になればいい?えっ、そのままがいいって?
・・・もしかして、お客さんって獣人フェチ?(笑)まあいいや。
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タイトルロゴも、オープニングも任意である。普段は、廃狼は、
体験サービスの場合、最初の一回ぐらいは見せるのだが、今回は、
自分も参加しているので、性急な客に飛ばされる。基本的に、この
”客と一緒に体験するサービス”は、違う目的で行なわれていた。
*濁った水の中に、時空転移させられた場面から始まりました*
(ちっ、視線がまとわりついてる感じ。こんな時は、無視に限るが)
「ゴボボッ」(速く)「ゴボゴボ」(浮上して下さい)「ゴボッ」
(さもないと、いきなりゲームオーバですよ)*よく死にます*
こんな所で長居をすると、廃狼は気分が悪くなりそうであった。
・・・しかし、もう一人の男はというと、ゲームのことなんかより、
水の中でヤっちゃうのもいいかも、と不埒な考えに耽っていたが。
だが普通のゲームならば、それでもいいが、”アウターワールド”
に限っては、常に”妄想の最中に殺される危険性”が含まれている。
ゆえに、安全をモットーにする廃狼が、「人の気も知らないで」と
ばかりに、半ば強引に水の外へ引きずり出したのは、しょうがない。
案の定、彼らが出た瞬間に、”殺人イソギンチャク”が頭を出した。
(ふぅ~、間に合ったか・・・しかし、ちょっと離れた方がいいよな)
あらかじめ調べておいた安全地帯に、廃狼は移動した。すると、ふい
に後ろから抱き付かれた。「ちょっちょっと、まだ早すぎる気が・・・」
ゲームとは関係が無いので、水に濡れていても、それを感じることは
無いのだが、廃狼の髪や全身の毛が濡れ、シャツやジーンズなどは、
彼の体のラインをぴっちりと表した。どうやら、先程の恐ろしい怪物
すらも、”性的な興奮を呼び起こした”に過ぎなかったらしいのだ。
(ああ、まだ説明を何もしてないってのに・・・DEMO、まあいっか)