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特撮のDNA / ウルトラマン GENEALOGY

2022年05月29日 | 日本文化



 特撮のDNA / ウルトラマン GENEALOGY



 空想の世界をあたかも現実の風景のように映像に描き出す「特撮」。

 日本独自の特撮文化を紹介する展覧会として2016年に始まった『特撮のDNA』は、これまでゴジラやガメラをテーマに開催。

 そして、円谷英二没後50年の2020年、国民的特撮ヒーロー”ウルトラマン”が題材の『特撮のDNA』が開催されました。

 『シン・ウルトラマン』公開を記念して、再紹介させて頂きます――。


     




 「特撮のDNA展」入口



 いま明かされる、円谷プロ作品とウルトラマンの系譜 (ジニオロジー) ――。


     

     



 



 シン・ウルトラマン



 成田亨氏による作品「真実と正義と美の化身」(1983年) 。『シン・ウルトラマン』はこのウルトラマンがモデル。


     


 成田氏はウルトラマン、ウルトラセブンなどで、ウルトラマンを始めとするキャラクターや怪獣、メカ、防衛隊の制服や基地のセットのデザインを担当。




     










 ウルトラQ



 航空パイロット、パイロット助手、新報報道カメラマンの主人公3人が、毎回遭遇する不可思議な事件を描く特撮SFドラマ。

 制作途中の方針変更で、怪獣を中心としたドラマに路線変更し、ほとんどの放送回で視聴率30%台に乗る大人気番組となった。

 1966年1月2日~7月3日(全27話)放送。




     


 ゴローが飲んだ牛乳や、『あけてくれ!』に登場する電車、ナメゴンの目やゴルゴスにつかまる青年のミニチュア人形などを展示。









 快獣ブースカ



 発明好きの少年が大怪獣を誕生させようと、イグアナの子供に自身の発明品である成長促進剤を与えたところ、怪獣ならぬ「快獣ブースカ」が誕生した。

 「もしも家庭に怪獣が住んでいたら?」というテーマで作られたコメディで、”ブースカ語”が子供たちの間で流行した。

 1966年11月9日~1967年9月27日(全47話)放送。


      


     





     











 ウルトラマン



 護送中の宇宙怪獣ベムラーに逃げられたウルトラマンは、パトロール中の科学特捜隊ハヤタ隊員が乗った小型ビートルに激突する。

 ウルトラマンは、瀕死の重傷を負ったハヤタと一体化し、命を共有して地球の平和のために闘うことを誓う。

 本放送時の第1話の視聴率は34.4%で、平均視聴率36.8%、最高視聴率42.8%を記録するなど、ウルトラQを凌ぐ大人気作品となった。

 1966年7月17日~1967年4月9日(全39話)放送。










     




【科特隊関連】

ハヤタ隊員用制服


フジ隊員用ヘルメット


スーパーガン



【ウルトラマン関連】

BタイプとCタイプのマスク(レプリカ)


カラータイマー


ウルトラマンの靴(Cタイプ)



【にせウルトラマンとシーボーズのロケット(上部のみ)】

     


[ウルトラマン第18話「遊星から来た兄弟」より]

     
[ウルトラマン第35話「怪獣墓場」より]


【ゼットン星人の宇宙船】


 



[ウルトラマン第39話(最終話)「さらばウルトラマン」より]


 ゼットン星人の宇宙船は、撮影終了後に黒にカラーリングされ、『ウルトラセブン』のウルトラ警備隊の指令室のオブジェとして使用されました。



[ウルトラセブン第1話「姿なき挑戦者」より]



 ウルトラセブン



 恒点観測の任務の為に地球を訪れていたウルトラセブンは、地球人モロボシ・ダンに姿を変え地球にとどまる。

 ウルトラ警備隊の一員として迎えられた彼は、侵略宇宙人から人類を守る戦いを開始した。1967年10月1日~1968年9月8日(全49話)放送。






ウルトラ警備隊制服(アンヌ隊員用)


ウルトラ警備隊ヘルメット(アマギ隊員用)












     




 帰ってきたウルトラマン



 怪獣から子供と子犬を助けようとして命を落とした青年・郷秀樹。

 その勇気に感動したウルトラマンは彼と一体化し、共に戦うことを誓う。怪獣特別攻撃隊(MAT)に入隊した郷秀樹は仲間と協力しあいながら地球を守っていく。

 1971年4月2日~1972年3月31日(全51話)放送。






     




     




 ウルトラマンエース



 怪獣を凌駕する力を持つ超獣を従えて、異次元人ヤプールが地球侵略を開始したため、ウルトラ5番目の兄弟・ウルトラマンAが立ち向かう。

 1972年4月7日~1973年3月30日(全52話)放送。










     





     

     


 ウルトラマンタロウ



 ZAT隊員の勇敢な青年・東光太郎は、怪獣との戦いの中で負傷する。

 生死の境を彷徨う光太郎の前に、ウルトラの母が現れ、ウルトラ兄弟から与えられた光に包まれた光太郎は、ウルトラマンタロウへと変身した。

 1973年4月6日~1974年4月5日(全53話)放送。












ウルトラマンタロウ変身シーン














     


 ウルトラマンレオ



 故郷のL77星をマグマ星人たちに滅ぼされ地球へやって来たウルトラマンレオは、故郷によく似た美しい地球を守ることを決意する。

 レオの人間体であるおおとりゲンはMACに入隊し、モロボシ・ダン隊長と共に怪獣たちに立ち向かう

 1974年4月12日~1975年3月28日(全50話)放送。




     





     





ウルトラマン80



 桜ヶ岡中学校へ赴任した教師、矢的猛。”一所懸命”をモットーに奮闘する彼の正体は、M78星雲からやってきたウルトラマン80(エイティ)だった。

 地球防衛軍UGMの隊員としても活躍する彼は、怪獣を生み出す原因となる人間の憎しみや悲しみとも向き合っていく。

 1980年4月2日~1981年3月25日(全50話)放送。






     





      回転攻撃「ダイナマイトボール」時の80
     




 同じポーズで80の横で写真を撮る人がたくさんいたため、途中から展示物の横にフォトスポットができました(笑)







 ウルトラ戦士勢ぞろい



 初代ウルトラマンから最新作ウルトラマンZまでが一同に勢ぞろい。

 会場では、20分に一度のペースでBGMをバックにスモークと照明の演出が行われ、その間は一斉に撮影大会になります(笑)



















  ウルトラマングレート



 邪悪生命体ゴーデスを追って太陽系にやってきたM78星雲・光の国の戦士。地球での姿は防衛チーム「UMA」のジャック・シンドー隊員。

 円谷プロダクションがオーストラリアで製作した特撮作品(1992年)。







 ウルトラマンパワード



 M78星雲・光の国より、侵略宇宙人バルタン星人を追って地球にやって来た青き瞳の銀色の巨人。怪獣対特殊戦力チーム 「W.I.N.R.」 のケンイチ・カイ隊員と一心同体となって戦う。

 アメリカでのウルトラマンGの好評を受け、ハリウッドとタッグを組んで制作された作品。1995年4月8日~7月1日放送。









 ウルトラマンティガ



 3000万年前の時を経て復活した超古代の光の巨人で、タイプチェンジ能力を持つ。

 地球平和連合TPCの特捜チーム「GUTS」のマドカ・ダイゴ隊員が変身する。1996年9月7日~1997年8月30日放送(全52話)











 ウルトラマンガイア



 対根源破滅地球防衛連合G.U.A.R.D.の防衛チーム「XIG」隊員の高山我夢が地球の大地より授けられた光で変身する大地の赤い光の巨人。

 宇宙から襲来する根源的破滅招来体と戦い、後にヴァージョンアップを果たす。1998年9月5日から1999年8月28日放送(全51話)。











 ウルトラマンダイナ



 地球平和連合TPCの特捜チーム「スーパーGUTS」のアスカ・シン隊員が、火星で出会った光と一体化して変身した姿。

 ティガと同様にタイプチェンジ能力を持つ。1997年9月6日から1998年8月29日放送(全51話)。











 ウルトラマンマックス



 M78星雲から地球の文明を監視するためにやってきた光の巨人。

 地球防衛連合UDFの対怪獣防衛チーム「DASH」のトウマ・カイト隊員に『共振する個性』を感じて一心同体となり、怪獣や宇宙人たちと戦う。

 2005年7月2日~2006年4月1日放送(全39話)。









 ウルトラマンゼロ



 ウルトラセブンを父に持ち、ウルトラマンレオ・アストラ兄弟に師事。

 ベリアルを追ってアナザースペースに赴き、ウルティメイトブレスレットを得て、ベリアル銀河帝国の野望を打ち砕いた。

 2009年公開の映画「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」で初登場した。


     














 マイティジャック



 矢吹コンツェルンの総帥・矢吹郷之助が総裁を務める秘密機関「マイティジャック」のメンバーは、各分野のエキスパート揃い。

 近代科学の粋をこらして建造された夢の万能戦艦「MJ号」に乗り込み、悪の組織・Qから現代社会を防衛・救助する11人の活躍を描く。

 1968年4月6日~6月29日放送。









 ミラーマン



 地球侵略を企むインベーダーたちは次々と怪獣を送り込み、地球の人々を恐怖に陥れていた。

 そんなピンチの中、二次元の世界に住む父と人間の母との間に生まれた鏡京太郎が、鏡の光を利用して巨大ヒーロー・ミラーマンに変身し闘う。

 1971年12月5日~1972年11月26日(全51話)







 ファイヤーマン



 青江半島沖に巨大な隕石が落下し、付近一帯に奇怪な現象が続発した。海洋開発センターの海野博士たちが調査を始めると、海から怪獣ドリゴンが姿を現した。

 地質学を研究する青年・岬大介は、ファイヤースティックを手にファイヤーマンへと変身する。

 1973年1月7日~7月31日(全30話)放送。


     



 ジャンボーグA



 グロース星人の攻撃隊長アンチゴーネが、地球への攻撃を開始した。平和を願うエメラルド星人は、パイロットの立花ナオキにジャンセスナを授ける。

 普段はセスナ機の姿をしているが、「ジャンファイト!」の叫びで宇宙サイボーグ・ジャンボーグAへと変形する。

 1973年1月17日~12月29日(全50話)放送。







 レッドマン



 日本テレビ系列「おはよう!こどもショー」のワンコーナーとして放送されたヒーローVS怪獣バトルが魅力の痛快作。

 1972年4月24日~10月3日放送。






 アンドロメロス



 M78星雲のウルトラマンとよく似た種族アンドロ人。彼等もまた正義を愛し、宇宙全体の平和を願い、宇宙警備隊と呼応する形でアンドロ警備隊を結成する。

 宇宙の平和を守るため、超高速のアンドロ艇に乗り込み、メロス達アンドロ警備隊は広大な宇宙へと飛び立った。

 1983年2月28日~4月29日(全45話)放送。









 電光超人グリッドマン



 ある日、とある街の電話回線に異次元宇宙から脱走してきた奇怪な魔力をもつ悪魔が侵入した。

 その悪魔はある家庭のパソコン内に居座り、その家の少年を操って、コンピューター・ワールドを支配することで地球を征服する作戦を始動させた。

 1993年4月3日~1994年1月8日(全39話)放送。
 

     






 ポスター



     

      

     

     

     

     

     

     

























  梶田達二氏の原画


















 フォトスポット



【前期】

     


【後期】

     

     

     

     


  編集後記



 会場で展示作品を眺めていると、1960年~80年代にかけて放送されたウルトラ作品で使用した撮影道具は国宝に指定して、厳重に管理したほうがいいとさえ思います。

 今回、ウルトラマンのフジ隊員役の桜井浩子さんのトークショーを見れて、ウルトラマンのスーツアクターの古谷敏さんとも遭遇できて、ウルトラファン冥利に尽きました。





 『ウルトラマン』といえば、”特撮の神様”と称される円谷英二監督のみにスポットが当たりがちです。

 しかし、『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラセブン』へと続くウルトラ路線を成功させ確固たる礎を築くことは、彼以外の力によるものが大きかったといえます。

 円谷英二の長男で、メイン監督の円谷一。ウルトラQ、マン、セブンの企画立案とメインライターを務めた金城哲夫

 制作第1話から第3話までの監督を務め、ウルトラマンという作品の基本的なフォーマットを作った飯島敏宏

 そして、ウルトラマンのスーツアクターの古谷敏。怪獣スーツアクターの中島春雄、中村春吉、鈴木邦夫、新垣輝雄。怪獣スーツ作り職人の高山良策

 さらには、ジェットビートルやウルトラホークなどの操演の沼里貞重。

 オプチカルプリンターを駆使した光学撮影の中野捻と、副業が禁止されているにも関わらず、東宝撮影所での仕事と並行してスペシウム光線などの作画をした飯塚定雄

 極めつけは、ウルトラマンやウルトラセブン、怪獣、メカ、防衛隊のコスチュームや基地のセットに至るまでをデザインした成田亨

 科学特捜隊やウルトラ警備隊などの才能と人間的魅力に溢れる面々も忘れてはいけません。

 そして、ここには書ききれないほどの数のスタッフたちが番組を支えていました。





 「初代ウルトラマンは熱量の塊だった」と円谷プロの社長が語っているように、そういった才能溢れる人たちの努力と熱量が半世紀後も色褪せない作品を作ったといえます。

 特に、人気怪獣のほぼ全てが成田亨氏がデザインしたものというのは、彼の才能とセンスの凄まじさを象徴しています。

 しかし、そういった才能ある人達が円谷英二氏のあまりにも強すぎるカリスマ性の光の陰に隠れてしまって、あまり世間に認知されていないのが残念です。

 ただ、彼らは円谷英二監督のカリスマ性を慕って円谷プロに集い、英二監督の下で特撮を学んだ人たちでもあります。

 また、ウルトラマンの世界の根幹を作った成田亨と高山良策は、英二監督自身がその才能を見抜いて声をかけて参画させています。

 『ウルトラマン』は、円谷英二監督の手の平の上で造られたのかもしれません――。





【記事参照】 「円谷ステーション」「不滅のヒーローウルトラマン白書



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