平和祈念展示資料館
「平和記念展示資料館」は、新宿住友ビル33階にある『戦争』『引揚げ』『シベリア抑留』に関する入館無料の資料館。
戦中・戦後当時の実物展示や実物大のジオラマ、年表、説明文など、入館無料とは思えない充実した内容になっています。
本日は、終戦後にシベリアの極寒の地で強制労働を強いられていた日本人が初めて帰国した日ということで、館内の展示物を紹介させて頂きます——。
入口
兵士
「兵士コーナー」では、軍服や軍隊手帳をはじめ、日誌、郵便物、弾除けのお守りなど、軍での生活の様子がわかる実物展示となっています。
戦後強制抑留
「戦後強制抑留コーナー」では、森林伐採時に使ったノコギリや着ていた上着、抑留者自ら作ったスプーンなどが展示されています。
海外からの引揚げ
「海外からの引揚げコーナー」では、引揚船の模型や引揚げ証明書、引揚げ時の子供たちの様子を撮影した写真などが展示されています。
終戦後、日本への引揚者は約320万人にも及びましたが、終戦の混乱による心労と疲弊で、20万人あまりの人々が引揚げの途中で命を落としました。
こちらのコーナーでは、引揚船の中の様子を実寸大で再現した体感展示もあります。
[参考] 満州からの引揚げ「遥かなる紅い夕日」の無料デジタルブックはこちら
体験コーナー
・平和記念展示資料館
東京都新宿区西新宿2丁目6−1 新宿住友ビル33階
※都営大江戸線「都庁前駅」A2出口より徒歩2分
(館内は写真撮影OK)
編集後期
正直、学生時代はシベリア抑留について何も知らず、母方の祖父がシベリアに行っていたことをうっすら聞いたことがあるくらいでした。
思えば、「存命の時にシベリア抑留の話を聞いておけばよかった」とちょっと後悔しています。
【奴隷的強制労働】
終戦後、約57万5千人もの軍人軍属および民間の日本人が、シベリアや中央アジアなどで奴隷的な強制労働を強いられ、約5万5千人が命を落としました。
1日の配給がパン1個とスープ1皿のみという食生活で栄養失調に陥り、マイナス50度にもなる極寒で劣悪な環境下で疲弊したのが原因です。
帰国が始まったのは、終戦から1年4カ月後の1946年12月からで、日ソが国交を回復する1956年末まで帰国できない人もいたそうです。
“人生のどん底”という表現を使う時がありますが、この時代の人生のどん底ぶりがエグすぎて、「この人たちに比べれば大したことはない」と思ってしまいます。
【ラーゲリより愛を込めて】
なお、今年は映画『ラーゲリより愛を込めて』(PrimeVideo / U-nextで無料配信中) の主人公・山本幡男の没後70年。
鑑賞後に、実話だったことを知ってびっくりでした。
人権を蹂躙され、餓死や凍死が日常の絶望しかない状況下で希望を失わず、周りの人たちを鼓舞し続けた人がいたというのは驚きです。
平和の有難さや尊さを忘れないためにも、終戦後の日本人を襲ったシベリア抑留という労苦と悲劇を忘れてはいけないと再認識しましたーー。
【出典】「平和祈念展示資料館」