“特撮の神様” 円谷英二 関連本
『ゴジラ』や『ウルトラマン』などの国民的作品を監修して、世界中の子供たちに夢を与え、現在もなお、ファンを魅了し続けている円谷英二。
本日は英二氏の生誕日ということで、“特撮の神様”の関連本について紹介しますーー。
写真集「特技監督 円谷英二」
故郷である須賀川での少年時代から、1970年2月2日の東宝撮影所での友人葬に至るまで、円谷英二のすべてを収めた写真集。
森岩雄、有川貞昌、佐川和夫、中野稔、的場徹などの寄稿や、祖師谷にあった円谷英二邸の外観や内部の写真も掲載されている。
巻末には、詳細な円谷英二年譜やノートに書かれた練習中のサイン、スキー坊やのサインも載っており、永久保存版な内容になっている。
小説「円谷英二」 天に向かって翔ばたけ
1935 (昭和10) 年春、映画カメラマンの英二氏が海軍の遠洋航海の記録映画の撮影のため、横須賀軍港を出港して29日目の朝のシーンから始まる。
上巻と下巻で構成された円谷英二の小説的伝記で、ページ数が多いためかなり詳細な描写で描かれている。『かぐや姫』に関する興味深い記述もあり。
また、京都時代に誕生し、わずか3年で生涯を終えた英二氏の長女・都 (みやこ) ちゃんのことが記されている唯一の書籍でもある。
「円谷英二」日本映画界に残した遺産
円谷プロダクション創立10周年を記念した発刊された円谷英二の写真集。
円谷一が総編集を担当しているため、少年時代の写真や、よく一人で籠っていた土蔵の外観や内部写真、卒業日記や通信簿なども紹介されている。
田中友幸、本多猪四郎、関沢新一、円谷一、東京現像所社長の寄稿をはじめ、巻末には亡くなった日に書かれた日記や、お墓の写真なども掲載されている。
特撮「円谷組」ゴジラと、東宝特撮にかけた青春
東宝ゴジラ会によって編纂された東宝撮影所スタッフによる円谷英二との思い出話をまとめた本。
ゴジラを生み出した東宝撮影所特殊技術課の組織図や、セクション解説をはじめ、スタッフのインタビュー、往事の撮影所の空撮写真、現場写真なども掲載。
最終章では、中野昭慶と川北紘一による特技監督対談も載っている。
円谷英二 特撮世界
円谷英二生誕100年を記念して刊行された本で、円谷英二が特技監督や監修などで関わったを作品一つ一つにスポットを当てられている。
日独合作映画『新しき土』(1937年) から始まり、『ゴジラ』(1954年) 、『ウルトラマン』(1966年) などを経て、『恐怖劇場アンバランス』(1973年) までを現場の写真と解説付きで紹介している。
円谷英二の人生の振り返りや、彼の特撮作品を総括した論述などもある。
素晴らしき円谷英二の世界
素晴らしき円谷英二の世界
「円谷英二生誕100周年」を記念し、円谷英二を知る人々の証言の中から、その人間像を浮かび上がらせようという趣旨の元に企画された。
生前の円谷英二を知る関係者、円谷の遺志を継ぎ、現在の特撮業界を支える気鋭の才人たち、円谷作品に影響を受けた文化人の方々のインタビューや寄稿文が掲載されている。
中野稔氏からは、現在の円谷プロダクションのロゴマーク制作秘話が語られている。
「翔びつづける紙飛行機」 特技監督 円谷英二伝
須賀川市出身の著者・鈴木和幸氏が、円谷英二の生涯を少年時代から逝去まで順を追って紹介した本で、1994年に出版された。
当時は円谷英二の伝記に値するものが無かったため、地元への啓蒙のため、小冊子を作って青年会議所のメンバーに例会の度に手渡していたものが本にまとめられた。
説明不足な箇所や、映画作品のストーリー紹介や評論に重きが置かれて円谷英二の半生が描かれなくなる箇所があるが、文字が大きくて総じて読みやすい。
特撮の神様と呼ばれた男
“円谷英二生誕100年”を迎えた2001年に出版された円谷英二の伝記。
1994年出版の『飛びつづける紙飛行機』が、ほとんどの内容を円谷英二関連の書物を元にした情報だけで構成したため、新しい発見が乏しく不満だったという。
前著出版後、円谷英二の作品ではなく、人間性の部分に立ち入り、どういった人生を送ったかについて詳しい情報を得たことで、内容に厚みと深みが増している。
定本「円谷英二随筆評論」集成
円谷英二が生前に執筆した文章、参加した対談、座談などすべてを完全収録した全814ページに及ぶ永久保存版。
第1章「青春の下加茂時代」、第2章「円谷特撮の誕生」、第3章「敗戦後特撮の出発」、第4章「忍術から宇宙まで」、第5章「映画トリックの種あかし」。
第6章「ゴジラからMJまで」、第7章「十戒への憧憬」、第8章「円谷監督に50の質問」など、全11章で構成されている。
編集後記
ここで紹介させて頂いたのは、「“特撮の神様” 円谷英二と円谷プロダクション」を作成する際に参考にした本です。
ほとんどの本が、砧図書館のウルトラマンコーナーでその存在を知ったものです。
中でも、「小説 円谷英二」は砧図書館にしか置いておらず、Amazonでもプレミアがついて高額になっているので助かりました。
「写真集 特技監督円谷英二」も同様で、関東では横浜中央図書館にしか置いていません。
【ウルトラシリーズの祖】
半世紀以上に渡り支持され続けるウルトラシリーズで円谷英二が監修として携わった『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラセブン』。
この3作品のミニチュアや特撮演出は、他の作品に比べて別格で一線を画しており、“特撮の神様”と称されるのも頷けます。
『ウルトラマン』の屋台骨を支えた金城哲夫を育てたのも、デザインの成田亨や怪獣造形の高山良策をヘッドハントしたのも円谷英二です。
光学撮影の中野稔、特殊技術の佐川和夫、美術の深田達郎も研究所に出入りしながら特撮の仕事について学んでいました。
自身の特撮技術の高さだけでなく、人を見る目、人を育てる力を含めて、彼が居なければ現在のウルトラ人気は無かったといえるでしょう――。
[出典] 写真集 特技監督円谷英二
【出典】「写真集 特技監督円谷英二」「小説 円谷英二 天に向かって翔ばたけ」
「円谷英二 日本映画界に残した遺産」「特撮円谷組 ゴジラと、東宝特撮にかけた青春」
「円谷英二 特撮世界」「素晴らしき円谷英二の世界」
「翔びつづける紙飛行機 特技監督 円谷英二伝」「特撮の神様と呼ばれた男」
「定本 円谷英二随筆評論 集成」