世界一奪還
いよいよ今日から、野球世界一を決めるワールド・ベースボール・クラシックが開幕するということで、世界一奪還を祈念して第二回大会を振ります――。
1次ラウンド
【VS 中国】
5日、東京ドームにて第1ラウンド1回戦が行われ、先発のダルビッシュ、2番手の涌井ら投手陣が中国打線を封じ、日本が初戦に完勝して好スタートを切った。
日本は3回、青木のセンター前ヒットに敵失が絡んで先制。さらに、村田が2ランを放ってリードを広げた。6回にはボークで1点を追加した。
ただ、得点圏に走者を出しながら打線が繋がらないことが多く、1番ライトで先発したイチローも5打数無安打と不安を残した。
【VS 韓国】
日本は韓国に14―2で7回コールド勝ちし、2次ラウンド進出一番乗りを果たした。
日本は1回、イチローからの3連打と内川の二塁打で3点を先制。韓国は金泰均が2ランで反撃したが、日本は2回、押し出し四球と併殺崩れ、村田の3ランで突き放した。
日本は4回に敵失で、5回には中島の2塁打と青木の中犠飛でさらに加点した。
日本は6回、城島が2ラン、7回は小笠原の内野ゴロで加点し、14安打で14点。投げては、松坂から渡辺俊-杉内-岩田とつないで韓国を3回以降無安打に封じ、コールド勝ちした。
【VS 韓国】
1次ラウンドの決勝が9日行われたが、日本は韓国に0-1で破れ、A組の2位通過となった。
日本は先発の岩隈が3回までを完ぺきに抑えたが、4回に四球からピンチを招き、韓国の4番・金泰均に先制タイムリーを許した。
勝利への執念を見せる日本は、ダルビッシュ、藤川らを投入し、追加点を与えなかったが、韓国投手陣を打ち崩すことができず完封負けを喫した。
2次ラウンド
【VS キューバ】
2次ラウンド1回戦がサンディエゴのペトコ・パークで行われ、日本が6-0でキューバに快勝。
日本は3回、相手投手の暴投と青木のタイムリー、村田の犠牲フライで一気に3点を先制すると、4回、5回にも1点を追加して突き放した。
投げては先発の松坂が6回を無四球、8奪三振の好投で無失点に抑えると、2番手以降の岩隈、馬原、藤川もキューバ打線を零封。
一方のキューバは、先発のチャップマンが制球に苦しみ、3回途中3失点でKO。打線も8安打を放つものの、日本投手陣の前に12三振を喫し無得点に終わった。
【VS 韓国】
2次ラウンドの2回戦、日本は韓国と対戦。
初回に3点を先制され苦しい展開になった日本は、3回には片岡、4回には内川が併殺でチャンスを潰すなど、拙攻が目立った。
投手陣も8回に涌井、岩田が合わせて4四球を与え、押し出しでダメ押しの1点を献上。投打がかみ合わず、試合の流れを作れなかった。
韓国を上回る7安打を放ち毎回走者を出したが、得点はイチローの内野ゴロの間に挙げた1点のみで、1対4で敗れた。
また、打席にバットを置いたままベンチに戻った城島が退場になり、マウンドに韓国の国旗を立てられるなど、前回大会を彷彿とさせる屈辱的な敗戦となった。
【VS キューバ】
敗者復活戦が18日行われ、日本はキューバに5-0で勝利して、準決勝進出を決めた。
先発の岩隈は、シュート、スライダーを有効に使った打たせて取る投球が光り、大会No.1のチーム打率を誇るキューバ打線を6回無失点に抑えた。
打線は4回に青木、稲葉の連打でチャンスを作り、相手の失策で2点を先制。5回、9回には青木がタイムリーを放ち、キューバを突き放した。
今大会好調の青木は4安打2打点と大活躍。2次ラウンドに入ってから無安打だったイチローは2安打を放ち、復調を感じさせた。
【VS 韓国】
2次ラウンドの1・2位決定戦が19日に行われ、日本が6-2で韓国に逆転勝ちを収めた。
日本は1点を追う2回に、内川の本塁打と片岡のタイムリーで逆転に成功する。
同点に追いつかれた直後の8回には、青木のセーフティーバント、稲葉のヒットエンドランの後、代打・小笠原が金廣鉉からタイムリーを放って勝ち越し。
さらに岩村の2点タイムリー、9回には青木のタイムリーで6点目を奪い、韓国を突き放した。
しかし、4回にヒットを放った村田が一塁ベースを回ったところで右足太もも裏を痛めて負傷退場。準決勝以降の出場は難しい状況になった。
投手陣では、内海と小松が好投。2人で6回途中まで1失点に抑え、試合の流れを引き寄せた。
決勝リーグ
【VS アメリカ】
準決勝は、ロサンゼルスのドジャースタジアムでアメリカとの対戦。
日本は、1-2で迎えた4回無死1・2塁で福留の2失の間に、3走の稲葉が生還し同点。さらに、城島の2打席連続の犠飛で勝ち越しに成功。
続く岩村の3塁打や川崎のヒット、中島の2塁打などでこの回一挙5点を奪い、オズワルトをKO。
先発の松坂は、1回に先頭のロバーツに先頭打者ホームランを許したものの、4回2/3を2失点にまとめて先発の役目を果たした。
その後、杉内-田中と繋ぎ、4番手の馬原は8回から登板。2点を失ったものの後続を断った。
9回からはダルビッシュが登板し、最後の打者ダンを見逃し三振に斬って取ると、右拳を力強く握って勝利の雄叫びを挙げた。
ベストメンバーが揃った公式大会で日本が米国を下したのは初。「日本野球に大きな歴史を刻んだと思う」と、会見で原監督は興奮気味に話した。
【VS 韓国】
23日、ドジャースタジアムで決勝が行われ、日本は宿敵・韓国との闘いに臨んだ。
日韓戦は今大会5度目で、戦績は2勝2敗の五分。WBC史上最多の5万4846人の観客を集めた頂上決戦は、1点を争う白熱した接戦となった。
日本は1-1の同点で迎えた7回に中島の適時打で勝ち越し、8回には岩村の犠飛で韓国との得点差を2点に広げ、勝敗は決したかにみえた。
しかし、8回に1点差に迫られ、9回裏2死から李机浩の適時打で同点に追いつかれ延長戦に。
延長10回表、ニ死一塁・三塁でイチローに打席が回ってくる。岩村が盗塁して二・三塁になるが、韓国の抑えの林昌勇は敬遠せず、イチローと勝負。
そして、ツーストライク、ツーボールの8球目。林昌勇の投げたストレートをイチローはセンター前に弾き返し、二者が生還して日本が韓国に勝ち越す。
10回裏、韓国に勝ち越した勢いそのままに、ダルビッシュが韓国打線を3者凡退で抑えると、マウンドには歓喜の渦ができた――。
編集後記
2009年の第二回大会は、日本国民が熱狂して感動した大会史に残る素晴らしいものでした。
宿敵・韓国と2勝2敗の五分で迎えた決勝で雌雄を決するというのも凄いけど、不振のイチローが優勝を決めるタイムリーを放つというのも劇的。
2006年の第一回大会は、韓国に1・2次ラウンドで勝てず、アメリカにも負けるなど、手放しでは喜べない優勝でした。
それに比べて、世界ランク1位のキューバに2試合連続で完勝し、アメリカにも勝利して、宿敵・韓国に勝ち越して勝ち獲った今回の優勝は、文字通りの完全優勝といえます。
特に、野球の母国であるアメリカに勝利したことは、日本野球がアメリカのベースボールと肩を並べたことを示す歴史的な出来事で、感慨深いものがありました。
WBCの開催をきっかけに、いつの日か、アジアシリーズの優勝チームとメジャーリーグの優勝チームによるワールドシリーズが開催されるようになるといいな~。
【記事/画像引用】「'09 WORLD BASEBALL CLASSIC」「時事ドットコム」
「スポーツ報知」「daily sports online」「sportsnavi」etc..