宮城の作家希望

作品など

#2 魔法無き王女

2020-09-07 10:59:00 | 小説
朝起きても身支度してくれるメイドは私には居ない。イヤ正確には王に決められたメイドは数人居たのだが、私が魔法を使えないと知ると辞めてしまうのだった。
実際に生まれて初めて与えたられた、自室に入れなかった。

この世界では、全て最初に触れる物に魔法を使い主人としての魔法を記録して無くならない様にしている。その登録すら魔道具の力を貸りて使う有様、これではメイドに示しがつかない。
今は自力で出来るが、あの頃は何事にもそんな有様で城の者ばかりか貴族たちからも馬鹿にされていた。だからメイド達は命令されイヤイヤやっている状態。

それでも救いなのは城の兵士達だった。彼等は実戦に置いて何度も母の魔法で命を守られている。どんな重傷者にも手を抜かず最期まで見届けてくれる王妃にどれだけ心励まされたかは計り知れない。その娘である私を心底愛してくれた。『魔法無き王女を守るは騎士の証』と言って遠征の度に私を魔装具で飾り立てるので何も知らない庶民からは王女のファションなのだと思われているらしい。幸いにも。

私は身支度を整えると食堂に向かった。
私専用の小さな部屋だ、仮にも姫とは言えこれは、酷い。
取り敢えず装飾された一応窓が一つありそれなりの光量は得られるし白いテーブルとイスがあり朝食が置かれている。
『慣れているとは言え、無視されながらも一緒に食事してくれたエレナレナが懐かしくて涙が出てしまう』


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