関西に帰ってきて数年ぶりに参加できた「大阪アジアン映画祭」
個人的に一番気になったのは、この作品だった。
おひとりさま族/2021年 韓国
2022年3月19日 10:15~ ABCホールにて鑑賞
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監督: ホン・ソンウン(홍성은)
出演: コン・スンヨン(공승연)、チョン・ダウン(정다은)、ソ・ヒョヌ(서현우)
キム・モボム(김모범)、キム・ヘナ(김해나)
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(以下「大阪アジアン映画祭」作品解説引用)
カード会社のコールセンターに勤めるジナ(コン・スンヨン)は、どんなクレームにも沈着冷静に対応できる優秀な職員だが、公私ともに孤高の生き方を貫いている。
同僚との会話はなく、昼食も一人、帰宅しても一人。
外出時はスマートフォンでひたすら動画を見続け、外界を遮断し、
己の領域を守ることを怠らない。母の死後、唯一の肉親となった父親とも疎遠だ。
ところが研修生スジン(チョン・ダウン)の教育係を任された彼女は、指導どころか対話もおぼつかない。
さらに、アパートの隣人が人知れず孤独死していたことが分かり、ジナの生活は揺らぎ始める…。
一人で外食しているだけで周囲に不審の目を向けられるほど、孤独を許容しない韓国社会。
しかし、近年はあえて孤独を貫く若者世代も増えつつあり、本作はそんな人々の生態を真摯に見つめた一作である。
ただ「おひとりさま=変わり者」と断じるのではなく、その内面に思いを馳せよ、という理解への第一歩を促すと同時に、孤独の快適さに付随する苦い代償もまた描かれる。
◆「おひとりさま」気質に共感
そもそも、この作品に興味をもった一番の理由が、私自分もかなりの "おひとりさま” 気質だから。
昔から、一人行動を好む。
「一人飯」「一人酒」「一人旅」「一人映画」「一人舞台」「一人カラオケ」…。
たいていのことは一人で可能だし、一人を好む。
この性格は、一人っ子という生い立ちにかなり関係していると思う。
小さい頃から誰かに気を使わず、自分の価値観が最優先。
ありがたいことに自分の希望が、叶いやすい状況だった。
また、兄弟がいない分、家の中で一人遊びすることが多く、「一人」という状況が当たり前。
一人でいることに対して、寂しい、孤独という概念がない。
その反面、大人数でワイワイしたり、連れ立って行動したり、一つの計画を誰かと協力して進めることが、けっこう苦手だ。
本来の自分は、かなり協調性に欠けている。
◆努めて人と協調した結果、また一人を求めてしまう
そんな自分のことを解りすぎている故に、他人といる時は、努めて人の側に立って考えるように努めている。悪く言えば、気を使いすぎてしまう節もある。
仕事だと、自分の意見やアイデアを思いきり出せるのに。
なぜかプライベートになると、途端に意思を伝えるのがヘタになったりもする。
協調性がないのに、協調性があるようにふるまう。
結果、すごく浪費する。結果、より一層一人の時間を欲する。
そんな循環。
ただし私の場合、他人との関わりを負担に感じているわけではなく、
●一人の方が、より一層物事に深く関われる
●一人の方が、より一層心から楽しめる
●一人の方が、より一層力を発揮できる
●一人の方が、より一層充実する
●一人の方が、より一層自分らしくいられる
ことがわかった。
だからある時期から「おひとりさま気質」を否定的に考えるのではなく、
自分にとって必要な価値観だと考えるようになった。
フリーランスといういまの働き方も、自分に合っていると思う。
◆韓国に「おひとりさま」が増えた理由
韓国では少し前、一人での食事は社会性のない人というイメージだったそう。
以前、韓国でおひとりさま行動をする若者が増えているという記事をどこかで読んだ記憶があり、調べた結果、おそらくこれだった。
(2017年/東洋経済オンライン)
韓国で「おひとり様」が増えた理由の一つに、自分と他人とを比べるという文化が根強い韓国特有の文化があるらしい。
そのような毎日の中で、誰かといることに疲れてしまい、一人の気楽さを求める若者が増えたという。
けれど、この記事にあるように、近年、韓国内での価値観も近年は少しずつ変わってきていて、同国でヒットしたドラマ『ホンスル男女』(邦題『一人酒男女』)では
「感情浪費、時間浪費、カネの無駄の飲み会は絶対にノー、もっぱら1人だけのヒーリングタイムは贅沢に一人酒を楽しむ」主人公に共感が集まったという。
一人だからこそ、心から食事を楽しめる
その他の物事を思い切り充実させられる
そんな文化が、当たり前になってきた
◆「おひとりさま」の集結は、最高のチームプレイ
映画を観て私が最も感じたのは「おひとりさま」には理由があり、「一人」を肯定したいということ。
自分と他人とを比べるのではなく、
一人の時間に、一人だからこそ見える世界、一人だからこそ手に入れられる事柄を思い切り堪能する。
一人ひとりが「おひとりさま」で得た価値観やスキルを掛け合わせ、交換することで、すばらしい成果が生まれると思う。
仕事でも、人間的にも。
映画の一言。
「おひとりさまたちによる連携。」