映画に関しては、2018年5月に「最近観た映画たち10」を書いた以来の投稿。時間空きすぎ。
この数年でたくさんの映画を観たので、覚えている限り、残していきたい。
まずは、観たばかりのこの映画から。
「親愛なる7人の他人」/2022年 レバノン
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監督: Wissam Smayra ウィッサム・スメイラ脚本: フィリス・ナジー
原作: パトリシア・ハイスミス
音楽: カーター・バーウェル
出演: モナ・ザキ、イヤド・ナサール、アデル・カラム、ディアマンド・アブー・アブード、
フアド・ヤミーン、ジョルジュ・ハッバス、ナディーン・ラバキー 他
配給: netflix
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Netflix で1月20日から配信開始された中東のコメディドラマ映画。
本家は、世界で最もリメイクされているイタリア映画『Perfetti sconosciuti(おとなの事情)』。
日本でも、2021年に東山紀之、常盤貴子など豪華キャストで「おとなの事情 スマホをのぞいたら」が映画化されている。
『親愛なる7人の他人』は、舞台が中東に移されてリメイクされたバージョン。
最初は、独特のアラビア語?のイントネーションに慣れなかったけれど、
観ているうちに徐々に小気味よく聴き心地よく、あっという間に引き込まれてしまった。
皆既月食の夜に開催された旧友同士のホームパーティー。
3組の夫婦と独身男性、計7名がテーブルを囲んで、持ち寄ったエジプト料理やワイン、手料理を楽しんでいるうちに議論が始まる。
「夫婦は、互いのスマートフォンを見て良いか否か」。
そこで、主催者のメイが提案した"あるゲーム"が始まる。
それは、スマートフォンをテーブルの上に置いて、着信やメールが来たら内容をシェアするというもの。
この時点で、もうすでに嫌な予感しかないけれど、案の定、これが、思わぬ方向に・・・・
表面に見せている顔とスマホの中に隠した自分は、他人である。
スマートフォンには、親しい人にも知られたくないそれぞれの"事情"が詰まっている。
興味深いのは、自分に対しても、他人に対しても、
そのような"大人の事情"があることを、当たり前のように理解しながら、表の顔で生きているということ。
自分には秘密がある。だから相手の秘密も認めている?のか。改めて不思議。
特に印象的だったのは「スマホ交換」。
参加者の既婚男性が、スマホの機種が同じ独身男性に「スマホを交換してくれ」と頼む。
なぜなら、このあと、ある女性から好ましくない写真が送られてきてしまうから。
妻にバレるとまずい。
けれど、独身男性は、スマホ交換を拒む。
既婚男性が、スマホに「女性からの写真」という秘密を隠していたのに対し、独身男性は、スマホに「セクシャリティー」を隠していた。バレたくなかった。
けれど独身男性の抵抗もむなしく、強制的にスマホが交換されてしまったことで、展開は、おかしな方向に・・・
途中、スマホを交換した2人の男性が、いつの間にか、自分が背負うことになった相手の秘密を、庇い合っていたことは、とても興味深かった。
まるで自分の秘密であるかのように。
わたし的には、エンディングは、あらそう、という感じ。
けれど、スマホと共存する現在の私たちの不可思議な生き方が、ユニークに表現されていて、とても見応えがあった。
改めて・・・
「○人の・・・」というタイトルの作品に弱い。
「8人の女たち」とか、「十二人の死にたい子どもたち」とか「十二人の怒れる男」とか。
特にこの作品の逆説タイトルに惹かれた。内容も、やっぱり好きだった。
本家のイタリア版や、
日本版も観たくなった。
映画の一言。
「親愛なる他人はいても、赤の親友はいない。」