(イメージです)
その時計は、あえて10分進めてありました。
これに従っていれば早め早めに行動できて、遅刻したりぎりぎりになって慌てたりすることはない、という理由でした。
父の発想だったようですが、こんなことをする家って他にあるんでしょうかね
家の中の生活はすべてこの時計が基準で、外界の時間(これがフツーの時間なんですが💦)のことは「正時間(せいじかん)」と呼んで区別していました。
面倒くさい話ですが、当時の我が家はそれが普通でした。
さすがに、この家は何かおかしいぞ、と思い始めていたある日、僕がねじ穴に鍵を挿してゼンマイを巻いていたら、
バリバリバリッって大きな音を立ててゼンマイが切れてしまいました
だらしなく伸びきったゼンマイが文字盤からはみ出してきて、その時、初めて「ゼンマイ」と呼ばれる物の正体を目にしました。
(あくまでイメージです💦)
もともと古い時計だったので修理ができず、乾電池式の掛け時計に交換されました。
この日以来、「10分進んだ時計」はこの家から姿を消し、「10分」の時空のひずみは解消されました