みやがわみちこがお届けする「なんでも仙人」ブログ

その十一  自分が蒔いた種は、良い種も悪い種も自分が刈り取る

なんでも仙人は姿が見えないけれど、いつもわたしのそばにいる。
わたしが悩んだり、腹をたてたりすると、実に分かりやすくいろんなことを教えてくれる。
この日もそうだった。

夕方、車で買い物に行くと、道が渋滞していた。
ふと前の車を見ると、運転している男の人が、
車の窓からタバコの吸殻を道路に投げ捨てるところだった。

「あっ、あの人!今、車の窓からタバコの吸殻捨てましたよ!」

わたしは腹を立てながらなんでも仙人に言った。すると、


「ほう・・・。」

なんとも間の抜けた声が返ってくる。


「もぅ・・・、なんでも仙人は腹が立たないんですか?」

「なんで?」

「道路にゴミを捨てるのは良くないことでしょ?地球環境にも悪いじゃないですか。」


返事がない。
ミラー越しに後ろを見ると、
なんでも仙人は、車に積んであるアザラシのぬいぐるみとじゃれていた。
こうやって見ると、どちらがアザラシの頭で、どちらがなんでも仙人の頭か分かりにくい。


「・・・で?」

ずいぶん間が空いて、なんでも仙人が言った。


「でっ・・・て、聴いてました?わたしの話。
ああいう人を見ると、吸殻拾って、その人の車の中に投げ入れたくなるんですよね~、わたし。」


「そりゃまた手間のかかることを・・・。」


「そうじゃなくって!・・・それくらい腹が立つってことですよ! あっ、またゴミ捨てた!」


プリプリ腹を立てているわたしに比べ、なんでも仙人は相変わらずまったりした表情だ。
そう言えば、なんでも仙人が腹をたてているところなんて、見たことがない。
どうして腹がたたないんだろう?
やっぱり仙人だから、腹が立つことなんてないんだろうか?


「自分が蒔いた種は、良い種も悪い種も自分で刈り取る。」


「はい・・・?」


「この言葉を聴いたことはあるかね?」


「あぁ、はい。聞いたことあります。
良い行ないも悪い行いも、自分がしたことは、全部自分に返ってくるっていう意味ですよね?」


「ふむ。そのとおり。」


「それって本当なんでしょうか?」


「本当じゃよ。」

あっさり言ってのけるなんでも仙人。


「そちがタバコの吸殻を拾いあげ、
走っていってわざわざ前の車の窓から投げ入れるという離れ業をせずとも、
自分が出したゴミと同じようなものが、いずれ自分のところに戻ってくる。
この世の中はそのようなしくみになっておる。」


「なんでですか?なんでそんなしくみになってるんですか?」


「これ、前向いて運転せんか。」

わたしは話の続きが気になって、運転どころではなかった。
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