最近ずっと古代の神様について調べていました。
平行して、あれだけ有名になったいわゆる卑弥呼は、
現在日本で神様になっているのかいないのかについても調べていました。
ところで、卑弥呼はどちら側の名前なのでしょうか?
卑弥呼が大陸に使いを出すときに、漢字文書を携えて、
「わたしは卑弥呼です」と書いたのでしょうか?
それとも、卑弥呼は別の文字を書いたか、
遣いに名詔らせたのを、大陸側が卑弥呼と書いたのでしょうか?
と考えると、文字からして、大陸側が書いたものに見えます。
すると、卑弥呼もヒミコやヒメコではないのではないかと考えました。
なんとなく世界では、ヒミコは日の巫女かなにかで、
太陽神を祭っていたのではないか、
ヒミコは案外、女天皇とまぜられて
アマテラスになっているのではないかと
考えられているように見えますが、
この考えには大きな論理の穴があります。
わたしは言霊信仰者なので、
言語的アプローチを主に使って考えます。
まずは、昔も述べた、アマテラスのおかしさ。
アマテラスは言語感覚として変です。
アマテラス→アマを照らす です。
天からテラスというアメヨリテラス や
地を照らすというツチテラス、
天に照っているというアマテル、
という名前でないと、人間には恩恵がありません。
空が雲や噴塵に覆われてまっくらなとき、
雲の上の天だけ照っていても何の意味もありません。
光は下に届かないといけないのです。
また、卑弥呼が日の巫女だとすると、
まつっていたのは日であるため、
太陽神というものが存在しなくてはなりません。
すると太陽の化身のような存在であるアマテラスと
卑弥呼は決して重なりません。
なぜなら、卑弥呼は日を祀る側であって、
日そのものの象徴ではないからです。
よって、二つの齟齬から卑弥呼はアマテラスにはなりえません。
……ということは、卑弥呼は別に日の巫女ではないのでは?
そもそも、当時のこの国は倭であって、
この国が日だのなんだの言い出し始めるのは
西暦600年より後です。卑弥呼の時代より400年も後のことです。
卑弥呼が日の巫女じゃないかというのは、
卑弥呼を「ヒミコ」と適当に読んだ、
その適当読みから持ってきたニセ語源のようなものでしょう。
それに、卑弥呼には、卑弥呼を敵とみなす卑弥弓呼という男がいます。
卑弥呼が日の巫女だとするなら、卑弥弓呼は日の巫弓子でしょうか?
巫弓子ってなんでしょうか。
このことから、卑弥呼は日の巫女ではなく、
『ヒミコ』という呼び名は違うという感じがしました。
女性だから姫で『ヒメコ』というのも違う気がします。
それなら男性の『卑弥弓呼』は、『ヒメ弓コ』になってしまいます。
男でヒメをわざわざつける感覚は、日本にはないでしょう。
小さいものには姫をつけて、姫リンゴとか姫バッタとかもできますが
あれは現代語感覚のはずです。
『弓』や『キュウ』が男性器をあらわしていたとして、
中国の宦官のように男性器を切ったから『弓』が『ヒメ』になって
『ヒメ弓コ』という可能性は、
卑弥弓呼が王であることから考えにくいです。
卑弥呼は、『ヒミコ』でも『ヒメコ』でもないのではないか、と
ここらへんで考えました。
さて、邪馬台国について日本の文献を調べたところ、
これまでにいくつか述べられている箇所を見つけました。
それによると、原初邪馬台国は侵略され、
侵略された邪馬台国は、また侵略され、というのを
数回繰り返したようです。
でも、邪馬台国の元の名は失っても、名前を変えながらも
結構後まで国は国として残り続けたような事が見受けられます。
では、それがなぜおおっぴらにならないのでしょうか。
現代地名には、古代地名が残っていることもぼちぼちとあります。
あれほど大きくてあれほど有名な邪馬台国なら、
その名残の地名もどこかに残っているのではないでしょうか?
と思ったので、古代地名を見つめます。
邪馬台国には、元の名前と関連する、いくつかのシンボルがあります。
関連する神様もいますが、そのものずばりではありません。
邪馬台国の名前の読み、古代文献での通称さえわかってしまえば、
魏志倭人伝なんか読みこまなくたって、地名や事跡名から、
邪馬台国がだいたいどこにあったかはわかってしまいます。
でも、今のところ見つけている地名は、
元の音が人口に膾炙して変化した後ばかりです。
変化する、すなわち時代が経ると、人間が地名を運んでしまうため、
元の位置はどんどんぼんやりしてしまうので、
すこしでも古い名前を見つけなければいけません。
けれど、変化前の、そのものずばりはみつかりません。
やはり時代が古すぎるのでしょうか。
旧地名を集めた倭名類聚抄も、所詮西暦900年代で、
卑弥呼の時代より700年も後です。
日本は現在も地名をめちゃくちゃにしていますが、
元のままにのこし、旧地名をまとめておいてくれたらいいのにと
とてもいらいらしながらパソコン画面を見つめます。
……と、ふと思い出しました。
今年、厄払いに行く前に調べていたことです。
厄払いは、氏神様のところに行くのがいいそうです。
が、わたしは氏神様なんて知りません。
うちはずっと昔は滋賀県あたりにいて、平氏側につき、負け、
その後、なんだかんだで前田家の家臣になって苗字をもらい、
加賀に行ったそうです。そこでも豊臣側について負けたようです。
その後、後に長男じゃない者が北海道に渡ったのでしょう。
そういえば、一応うちの本家筋は石川県にいると聞いたことがありますし、
氏神様は石川県にいるのでしょうか。
親戚のおじいちゃんは、菩提寺を見つけて鬼籍のコピーを
もらったのですが、お寺の場所を教えてもらう前に亡くなってしまいました。
わたしもいつかは行ってみたいと思っていますが、
すぐに探すのは無理です。
では、氏神様がわからなかったらどうすればいいのか調べたら、
土地神様のところでもいいと書いてありました。
もしかして、この人、『うじがみ』と『うぶすながみ』を
混同してるんじゃ? と思ったのですが、続く解説には、
『昔は土地には一族が住み、土地神様として氏神様を祀ったのであって、
移動のある現在では土地の人でなくとも、産土神にお参りすればいい』
というようなことが述べられいました。
それを思い出して、はっとします。
そういえば、友達の故郷も近所は同じ苗字がたくさんいて、
ずうっとさかのぼれば親戚筋にあたるらしいと言っていました。
……ということは、卑弥呼もどこかの土地の人なのでは?
大陸側がわざわざ書いてくる名前が役職名などあるでしょうか?
大陸の王に小国の王が挨拶するときに、
役職名を名詔ることがあるでしょうか?
常識的に考えたら、ないでしょう。
「中国皇帝さまへ。小国王の日の巫女より」
なんて手紙を、出すわけがありません。
公式文書なら、
「~~よろしく願う次第。
邪馬台国国王、○○ (印)」
というように書かれるものです。
よって、年代の違いを引いたとしても、
普通に考えたら、卑弥呼は役職でなく
本名なのではないでしょうか。
卑弥弓呼は敵国の王で、卑弥呼を憎んでいるそうです。
そういえば、うちの先祖も家督争いかなにかで、
弟が兄を殺したと記録にあります。
親戚だろうと家族だろうと、憎んで殺す人はいるのです。
卑弥呼と卑弥弓呼は漢字が近くて妙だとは思っていましたが、
これが、役職名ではなく本名で、
二人がどこかで親戚筋にあったと考えるなら矛盾は解消できます。
たとえば、彦一族というのがいたとして。
この氏族では名前に氷見を入れるとします。
長女は彦・氷見、通称ヒミさん、
九男は彦・氷見休、通称ヒミキュウさんだとします。
長女ヒミさんの長子(もしくは末子)だから、ヒミコ。
九男ヒミキュウさんの長子(もしくは末子)だから、ヒミキュウコ。
長子(もしくは末子)に国を継がせるのも、この国の伝統です。
こどもを相手国と結婚させて、国の仲を取り持つのもこの国の伝統です。
そう考えれば、卑弥呼と卑弥弓呼が本名であっても何の問題もないし、
卑弥呼と卑弥弓呼が似た名称であることにも問題はないし、
卑弥弓呼が卑弥呼を憎んでいることにも問題はありません。
つまり、卑弥呼が本名だと仮定することに、なんの問題もないのです。
そこに思い至ってどきどきしますが、
問題となるのは卑弥弓呼の読みです。
こんな名前、本名にしても役職名にしても
古代史でまったく聞いたことがありません。
ということは、現代語とは読み方が違うのです。
すくなくとも古代名に出てくるような語尾発音にしなければいけません。
それをひたすら考え、調べ。
卑弥呼と卑弥弓呼に同時に意味が持てるような
読みパターンを書き出します。
そのパターンと合致する、神様、土地、氏族など、
古い名前があるかをひたすら調べてみたところ、
あるとき、数件ヒットしました。
興奮しつつ、ぷるぷるしながら調べて見てみたら、
その名前を持つものは、わたしが名前から邪馬台国っぽいと
考える場所の近くにありました。
しかも気づけば、それ自体、意味を持つ名前でした。
本当に? と、心臓をばくばくさせながら地図を見ているうちに、
近くの場所に、昔調べた神社の縁起に関係するものがありました。
どこの神様で何を祀っていたのかは覚えていませんが、
縁起になるほど何かがあった場所なのです。
――卑弥呼の本名と出身地がわかったかもしれない!
と、神秘の世界の隅っこに手を触れた気分に、
とてもどきどきわくわくした時間でした。
今のところのわたしの結論としては、
・卑弥呼は役職名ではなく、本名である。
・卑弥呼は『ヒミコ』『ヒメコ』読みではない。
・野良巫女などではなく、国で地位のある人物の関係者である。
となりました。
これを前提にすると物事がひとつにまとまるからです。
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追記:
ここらへんの話を含め、古代神道や邪馬台国、卑弥呼、古代語などを
説明するシリーズをまとめはじめましたので、興味があれば、
サンプルページだけでもぜひ見てみてください。

※amazonのキンドルという形式です。
サンプルも本文もスマートフォンやパソコンの、
インターネットを見るブラウザで読めるはずです。
これまでわたしが人生の長い時間かけておこなってきた、
神道研究、言語研究の集大成です。