入院中に一番欲しかったもの。
それは、ぬくもりでした。
体は痛いし、まだ手術は控えているし、
手術してもそれで終わりとは限らないしと
悪い考えはいくつも連なってきます。
すごく不安で、未来が怖くて。
体より先に頭のほうが
どうにかなってしまいそうでした。
そんなときに思ったのが、
愛すべきひと、でした。
正直、ただ抱きしめて欲しかったのです。
隣のご老人に、ある日お見舞いの人が
たくさん来ていたのですが、
帰るときにお孫さんらしい幼い声で
ずっと「ばいばーい」と聞こえました。
なんだかすごくかわいくて、
それになんだかすごくうらやましかったです。
命の連鎖……というかなんというか。
わたしにはないものねだりばかりですけど。
恋に恋する年頃ってこんな感じでしょうか。