電車の番組を見ていたら、車体を鋼からアルミ合金に変えるという話が出てきて、
アルミ合金は鋼材と違って熱伝導率が高く、電気抵抗が低く、融点も低いため
通常の溶接では回りも溶かしてしまうので
アークスポット溶接を採用することになった、というようなことを言っていました。
この前パソコンの熱処理を考えた際、
アルミの熱伝導率についてはすこし調べました。
その印象で、アルミは熱伝導率が高いので、
ガスバーナーのようなもので、炎を細くして点のパワーで溶接しないと、
熱がすぐに逃げてしまうので溶接できないんだろうと思ったのです……が。
いちおうスポット溶接について調べてみたところ、
想像とはまったく違うということがわかりました。
スポット溶接とは、抵抗器に過電流を流すと
発熱して壊れるという現象を逆手(さかて)にとった感じの溶接方法でした。
簡単に言えば、金属の板を抵抗器と見立て、表と裏に電極を通します。
そこに一気に電流をかけると、金属の抵抗により、
向こうに通れない分の電気は熱に変換されます。
その熱が、抵抗器である金属を溶かすので、それで接着させる技のようです。
アルミは導通がよいので、発熱に使いたい電気もすぐに向こうに通ってしまい、
そもそもの発熱量がすくなくなること、
その発熱量でだらだら溶接しようとすると、
熱伝導率のよさにより、周りまで溶け出してしまうのだそうです。
それを防ぐためには、電気が通るよりも大きな電流を、
瞬時に思いっきりかける必要があるとかで、
通常の鋼などよりも大きな電流を一気に流す、
特性のスポット溶接機械が必要になるのだとか。
……たぶんこんなこと、興味がなければまったく気にならなかったろうと思いますが、
パソコンのことでアルミについてちょっと調べたことから、
へえーと感心しながら読んでいきました。
ひとつの知識がほかの知識を捕まえる……知識の網とはおもしろいものです。
追記:
今回調べてまたわかったところによると、
アルミニウムの熱伝導率(冷却パワー)は約240。
銅の熱伝導率は約400。
アルミがそんなに冷却に使えるなら、
CPUの冷却もアルミでいいんじゃないかと思いましたが、
まったく銅には勝てませんでした。
銀は約420で銀の方が上ですが、コストパフォーマンスからすると
やっぱり銅に落ち着くようです。
その上にはダイアモンドがあり、その熱伝導率は一気に約1000だそうです。
人工ダイアが簡単に作れるのなら、超コンピュータのCPU冷却には
ダイアを使うといいのかもしれません。
ちなみに、ガラスの熱伝導率は1だとか。
ガラスの宝石はさわると指の温度とそうかわりませんが、
本物のダイヤはその高い熱伝導率から、冷たく感じるようです。
でもそれなりに大きくないと、あまりわかりませんね。