3DSのゲーム、『ファイアーエムブレム 覚醒』をクリアしました。
ジャンルは四角マスタイプの戦略モノで、
キャラがレベルアップしていくPRG方式です。
一言感想は、『意外とおもしろい』です。
以下につらつらと感想です。
まず、ストーリーですが、大変胸の悪くなるできです。
不愉快な連中がたびたび現れては主役たちを侮辱し、
面倒ごとに巻き込まれていくだけ。
たまに声が出るのですが、途中から会話のところは消しました。
筋としても微妙な場所があります。
途中で重要人物が飛び降り自殺しようとするのですが、
それを助けに来た飛行兵が殺されます。
だから助けられずに死亡――となります。でも。
そんな殺された一般兵よりも格段に強い、
主役たちの一団が近くにいるのです。
中には飛行兵になっているキャラもいます。
普通に助けに行けるのに、行かずに見殺しにするのが
わけわからずに不愉快でした。
それから、ネットにつないでいるとできるようになる、
おまけマップ。
そうやって死んだキャラが生きていたことになりました。
数十メートルある場所から飛び降りて、
みんな死んだと思っていて。
重要人物なのですから、死亡確認くらいするでしょう。
もしかしたらあの胸の悪くなる敵のこと、
戦意高揚のために死体をもてあそぶくらいしたかもしれません。
それがなぜ、記憶がなくなった程度で生きているのかわかりません。
自分のゆずれない意志を持って、それを貫いたから自殺したのに、
下手に生き返って記憶も知性も失ったままへろへろ暮らして、
きょうだいたちが「重圧から解放されてこれでよかったのかもしれない」
みたいに言うところにはいらだちました。
話やキャラへの侮辱が過ぎます。
次に、ストーリーにもからむ、システムの話です。
このゲームのワンポイントとして、
『二人羽織システム』と『お隣さんシステム』
というようなものがあります。
戦闘マップでバトルモードに入るときの話で、
二人羽織になっていると、前衛にステータスボーナスがつき、
前衛だけがダメージを受けます。
そしてバトルモード終了後にお互いの好感度があがります。
二人羽織をせずに隣り合った位置にいると、
ステータスボーナスはつきませんが、
バトルモードに入ったときにお隣さんがたまに手伝いをしてくれます。
これもバトルモード終了後にはお互いの好感度があがります。
こんなのは他のゲームなら、『追撃行動』のような感じで
おまけ要素扱いです。
でもこのゲームでは、ゲームの根幹まで関わってきます。
この二つの行動によって好感度があがりすぎると――
キャラが男・女だった場合、結婚します。
しかもこどもがやってくるらしいです。
これが本当に嫌でたまりませんでした。
らしい、というのは攻略サイトでそう書いてあったので、
自分のプレイでは男女ペアでは決して組まないようにしたからです。
自分も率先して同性キャラとだけコンビを組んでいたのに、
いつか勝手に結婚させられて、こどもまで生ませられていたのには
心底がっかりしました。
しかもこどもはひとりかと思ったら、
ふたりめまで出てくるらしく、
寄り道マップに入ったらそんなキャラが出てきたので
あわててリセットしました。
結婚は相手を選べるらしく、その相手によってこどもの資質が変わるようです。
だから強いキャラを作るには、狙って結婚して
こどもを作ることも必要になってくるのだとか。
……人間相手に、良いけいば馬を作るような
シミュレーション行為を出してくるなんて。
その考えにもむかむかしました。
サブキャラが結婚していくというのもすごく微妙です。
女性漫画家が描く漫画でありがちな、
本筋とはまったく関係ないサブキャラが
わけわからない相手と結婚していくような。
現実の友達が、とめるのも聞かずに借金まみれの暴力男と
結婚していくような、とても微妙な気分を味わいました。
絆の物語だと言うのなら、
『男女間で結婚してこどもを作るのが最高の絆』
なんていうのではなくて、
男性同士でも女性同士でも好感度が最高になるのはひとりだけで、
その相手と組めば特別なスキルが使えるとか補正が強くかかるとか、
そういう感じにして欲しかったです。
ストーリーと絡めるなら、ラストバトルで意識を失って死にかけるとき、
魂を呼び覚ます一声をかけるのがその相手であればよかったと思いました。
あとはシステムの話です。
このゲームはシステム周りがすごく悪かったです。
まず、タッチパネルの上下の使い方が逆です。
タッチができれば簡単になることがあるのに、
そういうのを一切やらせません。
たとえば戦闘マップの配置。
最初はオートでキャラがばらまかれているので、
コンビを組ませるもの同士を近くにもっていかなければいけません。
下画面にマップが出ていれば、キャラをつまんで持っていって、
起きたい場所に置くだけでいいのに、
上画面しか使えないため、全部十字キーでやらなければいけません。
またたとえばパーティー画面。
このゲームでは30人仲間にできます。
キャラの名札は1列が3人で、10列ずらっと並んでいます。
装備でもなんでもその名札を選択してから個人ページに入るのですが、
この名札、出撃ごとに並びが変わります。
しかもその並びを手動で直すことはできません。
一応、戦闘マップに入るときに出撃キャラをいったん選び、
それからキャンセルすれば、選んだキャラが先頭にくるので
ひとりひとり選んでキャンセルしていけば
直すことはできますが、本当にめんどうです。
キャラが増えてくるとどこに誰がいるのかわからなくなって
選ぶのも大変になります。
その画面を下に持っていって、タッチペンで並び替えが
できるようにすればいいのにと思いました。
次に、装備のことです。
このゲームではキャラの装備は武器だけです。
しかも武器には回数制限があり、一定回数使うと壊れます。
基本的に直すことはできません。
最初のうち、ここにかなりとまどいました。
てっきり戦闘後の日常パートで、
お金を払うなどして武器を直すことができると思ったのに、
一切出てこないのでどうすればいいのかと
ひやひやしながら戦いました。
意味がとくにわからないのは魔法で、
魔法は精神力を使って唱えて、
その戦闘が終われば回復するのかと思いきや、魔法も使い捨てです。
しかも最初に持っていた属性しか使えないものだと思っていたら、
どんな魔法でも買えば使えました。
それならそう書いておいて欲しかったです。
あまりにわけがわからなかったので、
とりあえず 魔法は、魔法の書かれた呪力のある本を買い、
ページを破って投げることで発動させているのだと思うことにしました。
そんなこんなですべてが壊れていくので、
装備を手に入れる喜びがまったくありませんでした。
たとえば一般的なRPGであれば、最終装備になるような
強い武器というものが一個は用意されています。
いわゆる伝説の装備などで、ラストダンジョン付近の宝箱に入っていたり、
その武器をボスが守護していたり、クエストの報酬でもらったりして
手に入れるものです。
それを手に入れたら、「やった!」と思い、
一個しかないのでだれに装備させようか考え、
ちょっと強くなったキャラで戦ってほっこりします。
でもこのゲームではそれがありません。
たとえば雑魚なら一撃で葬り去れる武器を手に入れたとして。
20回程度敵に打ち込めば壊れます。
そして二度と手に入りません。
どうせなんでも壊れると思うので、
装備が手に入る喜びがまったくないのです。
普通のRPGであれば、戦えば適当にお金が入るようになっていますが、
このゲームではお金が入りません。
むしろ戦っていけば経験値が入ってレベルはあがりますが、
前述のとおり武器が壊れていくので、買いなおしてお金が減っていきます。
武器を持っていないと素手では攻撃してくれないため、
ただのマップオブジェクトに成り下がります。
最後には武器も買えなくなって、終わりです。
ここらへんが本当に困りましたが、
攻略を調べたら、敵を呼ぶ箱アイテムを使い、
敵を出して倒したら換金アイテムを落とすので、
それを使って稼ぐしかないのだそうです。
わたしはイージーモードでプレイしたので、
敵を呼ぶ箱は1個500G。その戦闘で手に入るのは2000G。
つまり1500Gの儲けです。
安い武器でも600Gくらいするので、1回の戦闘で2個壊れたら
じりじりと貧乏になっていきます。
そういうところもすごくバランスが悪いゲームでした。
ほかにバランスが悪いところと言えば、
キャラの強さもあげられます。
最初はとにかく弱くて、敵の攻撃2発くらいで
簡単に殺されてしまうこともあります。
そこでいっそあきらめて、すべてのキャラを下げ、
雑魚マップで一キャラだけでレベルをあげ
ステータスを高めれば、その後は一キャラだけで
戦闘を全部終わらせることができるようになります。
レベルが上がれば急に強くなっていく、
そのバランスが微妙だと感じました。
さらにバランスの悪いところは、
下級職は弱く、ステータス制限も強いのに、
上級職になったり転職したりできるアイテムが、
中盤過ぎまでに1・2個しか手に入らないことです。
職業があって転職ができるゲームなら、
プレイの売りはそれでしょう。
その後のバトルを有利に進めたくて、
好きな人は転職を繰り返し、キャラを鍛えるのです。
でもこのゲームはそれができず、
プレイヤーキャラ以外のキャラは、
なれる職業が制限されています。
ものによっては3種類しか職業がないようなキャラもいます。
そんな職業制限なんていりませんでした。
キャラに個性をつけるのは、製作側でなくて、こちらでします。
見た目が回復っぽいから回復系を伸ばすキャラにしよう、
攻撃っぽいから攻撃特化のキャラにしようと
自分で選べるのが楽しいと思うのです。
それでも中盤過ぎくらいまでは、
キャラを転職させて鍛えて楽しんでいました。
でも、前述のように、自分のキャラが強くなり、
マップの敵を一人でも倒せるくらいになったら、
ふとわれに返りました。
このゲーム、職の意味があまりないのです。
それぞれの職についてレベル上げをすると、
各職業の2個のスキルが手に入ります。
一度とればほかの職業になっても使えます。
職業のレベル上限は20だけれど、転職するとどれも1からになるので
何度でもあげなおしはできます。
でも、職業レベルを20にしても、転職したらまた1になります。
ステータスの最高値は職業で決まっています。
何度も転職したらステータスはカウントストップするので、
どのキャラでも数値が同じなら同じ攻撃力になります。
つまり、職業の意味は2個スキルを手に入れられることと、
移動距離と装備できる武器に関わることだけ。
他のゲームのように、盾やかぶと、よろいを装備できるわけでもないので、
戦士はほとんどの武器を装備できて
防御力も高くできるけれど動きが遅いとか、
武闘家はまともな装備はできないけれど
すばやくて攻撃力は高く、改心の一撃が出やすいなどの
職業による個性がほとんどなく、職業のおもしろみがありませんでした。
しかも、表面上のレベルは1に戻っても、
内部では累積されているようで、
LV20からLV1に戻っても、必要経験値はLV20→LV21のもの。
累計レベルが上がるほどレベルが上がりにくくなっていくので、
スキルを覚えたいと思ったら、
下級職ならLV1→LV10にしたところで転職し、
上級職ならLV1→LV15で転職していったほうが
累計レベルが少なく抑えられてスキルの取得がしやすいと思いました。
レベルがらみはほかにも不満がありました。
レベルアップ時のステータスアップがランダムなのです。
1回で6項目あがるときもあれば、1項目しかあがらないときもあります。
それを繰り返せば大きな差が出ます。
そこでレベルアップ前にセーブして、
いい数値が出るまでやりなおすというのが重要になります。
戦闘はひたすらリセットを繰り返さねばならず、苦痛でした。
しかもこのランダムが、毎回判定しているわけではないのが微妙です。
ランダム用の判定テーブルは最初から決まっていて、全キャラ共通です。
どのキャラでも、ランダム判定が一回起これば読み込みが入り、
次の値を読み込むようにできています。
たとえば、キャラAが攻撃し、キャラBが攻撃し、
キャラCが攻撃してレベルアップしたとします。ステータスアップは0個です。
これをやり直したいと思い、攻撃順を
キャラB→キャラA→キャラCにしても結果は変わりません。
ランダムテーブルの読み込みが3回あり、4回目の結果として出されるからです。
一人で出撃するばあいは、攻撃順により変更ができないので
結果を受け入れるしかないかと思いましたが、
武器をはずして敵の攻撃を受けることで、ランダムテーブルをまわせました。
こんな変なテーブルを用意するなら、
毎回完全にランダムで読み込んでくれたほうが良かったです。
その他、戦闘マップで困ったことがいくつかあります。
戦闘マップではたまに名前ありの仲間になるキャラがいるので、
敵軍の名前を確認しようとキャラを見ていくのですが、
Lボタンでキャラが次に移ります。
見ていってふと気づいて戻ろうとすると、
送りがLだから戻りはRだと思って押してしまいますが、
Rは画面拡大です。
送ったキャラを戻すボタンはありませんでした。
すごく使いにくかったです。
また、こういう戦略ゲームでは、
1キャラの行動は『移動』と『攻撃』が1回ずつ
与えられているものが多い気がします。
でもこのゲーム、移動したあとに攻撃はできますが、
まず攻撃してから移動する、ということができません。
攻撃したら移動できなくなります。
わけがわかりませんでした。
戦闘中、自軍の攻撃をおまかせでやってくれるコマンドが
あるのはよかったですが、
相手のターンで途切れるのは面倒でした。
どうせ多数の敵が自分ひとりに群がってくるのを
反撃で殺すだけのプレイなので、
全滅させるかとめるまで、おまかせでやって欲しかったです。
あとは、戦闘マップで敵に囲まれている場合、
攻撃する敵を選ばないといけないわけですが。
敵を選ぶと敵のグラフィックと自分のグラフィックが
画面の半分くらいを覆うように出てきます。
そのグラフィックにより、どの敵を自分が狙っているのかが
まったく見えなくなる場所が多いです。
どっちの敵を倒したら味方が通れる道ができる、というのがあるので
適当に選んで攻撃するのは微妙です。
透過率をえらべるとか、下画面に出すとかで
見やすくして欲しかったと思います。
そして、その他システム。
売り買いのカーソルあわせやアイテム選択がすごく面倒でした。
マップで使う、敵よせアイテムも、
『身支度』から個人名を選び、アイテム選択です。
敵を呼ぶなんて身支度でもないし、
個人を選ばないと使えない意味がわかりません。
マップアイテムはいくつかあるので、
そういうくくりにでもして欲しかったです。
キャラの装備を変更しようとしたとき、
LRで次のキャラに移らないのも手間でした。
キャラの装備欄にAボタンで入ると、
キャンセルでキャラから抜けるのも面倒でした。
装備品を選ぶのをキャンセルするだけで、
またキャラ装備欄に戻って欲しかったです。
あとは、金塊などの売るしか意味がないアイテムは、
手に入れた時点か戦闘が終わったところで
そのままお金に入って欲しかったです。
いちいちたくさんあるアイテムの中から金塊を探し、
売るのは面倒でした。
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というのがやりながら思った所感です。
軽くまとめると、中盤くらいまではレベルをあげたり
スキル入手のための転職をしたりと熱中できますが、
ある程度ステータスがあがってスキルもそろい、
職業も装備もほとんど意味がないと気づいたあたりで
急激にさめるゲームでした。
ユーザーインターフェース周りがすごく悪く、
プレイ感を損なう上、
シナリオも胸が悪くなるものなので、さらに意欲を減退させます。
でも、全体としては意外とおもしろかったです。
個人的には、記憶に残る戦略モノで一番おもしろかったゲームは、
『ファイナルファンタジータクティクス』です。