鮭についてすこし調べていたら、おもしろい記述に出会いました。
なぜ赤い鮭は赤いのか、という話です。
今調べなおそうとしたら見つけることはできませんでしたが、
鮭の赤さはなにがしかの成分によるものだそうです。
わたしは、鮭は常に身は赤で、
銀じゃけはなにか種類が違うものだと思っていました。
でも、身が赤いしゃけも、常に赤いわけではないのだそうです。
その話はちょっとおいておいて、人間です。
昔から人間にとって、赤は生命の色でした。
命や霊魂の根源を意味する『霊』は『チ』と読み、
シンボルは『赤』です。
血が『チ』と言い『赤』なのもそこから来ています。
異界や『あっち』の世界の体験談では
空が赤いとか、なにかが赤いという話が多いのも
それに通じるのでしょう。
……という感じで、鮭の赤です。
鮭にとっても赤は生命だそうで、
命のエネルギーがあふれ出すと、赤が強まるようです。
婚姻色と言われる、鮭の赤。
普段の鮭は外が銀色で、中は赤いですが、
外が赤くなるに従い、中は白くなっていくらしいです。
つまり、中の赤さ、生命のエネルギーが外側に行くのだそうです。
くわえて、イクラ。
イクラは赤いのでおなじみですが、
あの赤も鮭の赤さ、生命のエネルギーが集まったから赤いのだそうです。
といって思い出したのが、クマです。
クマは鮭の遡上時期に川にやってきて、
鮭をとっては殺して食い散らして死体を遺棄します。
クマが食べるのは、頭とおなか、イクラと皮だそうです。
前はそれを聞いて、一番いいイクラを食べるのはともかく、
二番目にいい身を食べないなんて、
クマはなんてもったいない食べ方をするのだろうと思っていましたが、
その理由がわかった気がします。
婚姻色が出た鮭の赤い場所は、もちろんイクラと、赤い皮です。
行動の変化を起こす脳にも赤味が出ているのかもしれません。
つまり、クマは赤味がある生命エネルギーが集まっている場所を
選んで食べていたのでしょう。
では身は、というと、外側に赤味を取られて
白っぽくなっていて、おいしくないのだそうです。
たしかに産卵を終えた鮭の死骸は白っぽくて、
なんで白いのかと昔疑問に思っていました。
それは『ぶな化』という現象らしいです。
赤味が外に移り身が白くなっていくと、
それに従い味が落ちていきます。
産卵してエネルギーを使い果たした鮭は、
もう身はぶよぶよで味もすごく悪いのだとか。
個人的には産卵後の体はもったいないので
なにかに使えばいいのにと思っていましたが、
料理に使うには手間がかかりすぎるほどの
味とにおいの低下が起こっているそうです。
まさか、なじみの深い食材の鮭に、
そんなことが起こっているとは驚きでした。
まだまだ世界は謎であふれていますねえ。