知人の結婚式がありました。
今年は血族が3人も亡くなり、
お葬式は半分お金のところまで
踏み込みましたし、ちょっと詳しくなりました。
でも、結婚式は。こんなの初めてのことです。
というところで、例によってつらつらと
思い出しがてら書いてみます。
まず。神前式? 正式名称は不明ですが、
そんな感じのものに呼ばれたので、そこから行きました。
控え室で待とうとしていると、
周りの人たちがすでにたばこを
もくもくと燃やしていたので断念。
所在無く廊下でうろうろします。
すると時間になって廊下で並ぶように言われたので並び。
神前式会場まで歩きました。エレベーターはひどい混雑。
会場の前にいくと、石の廊下っぽい場所があり、
なんだか火葬場の廊下みたいでした……。
ドアが開いてお棺が出てきそうです。
なんだかおめでたい雰囲気なんて微塵もありません。
周りはみんな黒っぽい服ですし……。
中に入って座ると、橋に見立てられたものを渡り、
人の世から神の世界に渡る二人がやってきました。
まず笙かなにか知りませんが縦笛がはじまり、
たいしたことなく聞いていたら、
次に龍笛みたいなものが合わさりました。
しょわーん……ぷふぉ~
文字にしたらお間抜けですが、思わずみぶるい。
あの、なんというか和風の雰囲気をもりあげるあの音で、
なんだかいい響きを出していたのです。
のちに親友に言っても、最初の笛はたいしたことなかったけど、
あの笛? っぽいものはよかったと言うので、
なにか不思議なものがあります。
お婿さんは姿勢が悪くてなんだかぶちこわし。
無精ひげも気になります。あと髪も。
自分のポリシーを貫きたいのかもしれませんが、
神前にあってそれはどうなの? と
見ているこちらは思いました。
まあ、それは置いておいて三々九度。
飲み終わった後は指輪の交換です。
――指輪の、交換?
和式なのに、そこで洋式リングの交換?
和洋折衷ぶりにがっかり。
それなら教会で、指輪を交換してからの
口付けのほうがロマネコンティ……。
ロマン、ちっくだったのに。
そういうところ、写真も撮りたいと思ったのですが、
神様の前では写真は禁止と書いてあったので断念。
プロらしきカメラマンだけがパシャパシャやっていました。
うん、さすが写真が禁止だけはあります。
台無しの上にそこらへんにある監視カメラが
いい味出していました。
たぶん、後のDVDを録画しているのだとは思いますが。
それから外に出て、お庭で写真。……と思いきや。
『用があるのは親戚だけだ、バカヤロー。
一般客なんかお呼びじゃねえぞ、コノヤロー』と
やる気のない声で言われる風に、
新婚夫婦の一族郎党だけで写真を撮りました。
もちろんわたしたちは親戚でもなんでもないので、
その様子を遠くから冷やかすだけ。
せめてそこにいるみんなで写真を撮るとか、
気の利いたことはできなかったものでしょうか。
わたしだって正装する機会なんてほとんどないので、
いい写真くらい欲しかったりします。
寒さの中でがっかりしはじめ、
戻ってしばらくしてからようやく開場。
お金を渡して中に入り――がっかりしました。
なんでもうたばこ臭いんですか? ここ。
なんで同席の向かいがそそくさと吸い始めてるんですか?
それに……なまら寒いんですけど?
たばこと寒さの合成攻撃に
すべてを失いかけるわたし。
おなかも減ってきたのでどうにかしたいと
思っていると、1時間くらいしてようやく
準備がはじまりました。
これがプロの仕事かと嫌な雰囲気になる全体。
そして出されたのはビールとウーロンとオレンジジュース。
すべて冷や。
……もう、寒くてめげそうなんですけど……。
それからお式が始まり、なにが始まるかと思ったら、
料理長のスピーチです。
この料理はここがミソで、あの料理はそこがそれ。
わたしと親友はいちおうたどりながら、
ひとつあった読めない漢字に耳をすましていたら、
コックさんはその料理を飛ばしてすすめていきました。
何のために注意して聞いていたのかと肩透かしにがっかり。
でも、それ以降でようやくお皿がはこばれてきました。
考えてみればわたしはプロレタリアートの出で
マナーなんて知りません。どうしようとうろたえると、
そのためにお箸があるんだから気にせず食べたらと言われて。
ちょびちょびと食べてみました。
お料理も多くて食べきれるのかなあと心配していたら、
出てくるのは2センチ大のチーズとかおさしみ4切れとか。
なんだか夕飯の残り物をお皿に盛り付けたような
ちまちまっぷりに、小人(こびと)の国に迷い込んだ
大人(おおびと)が振る舞いをうけている気分になりました。
物足りない……。というか、ごはんが欲しい……。
ごはんをつまみながらおかずを食べたいと、
じっと見つめるわたし。飲み物もこんな冷たいものじゃなく、
あったかいコーヒーか、せめて日本茶でもあればなあ。
一方、遠いところでなんだかつまらない話が流れています。
会場のいいところ、そして半分以上を占める新婦の会社連中。
たばこをすぱすぱふかし、うちわうけの野次を飛ばし、
スピーチは忙しかったを理由に、
その場で適当に考えたと公言する始末。
それが謙遜ならいいです。でも、
『あのー』『えー』『そんで』『まあ……』の連続。
あなたたち、それでほんとに偉い人ですか?
それでお客さんとあたってるんですか?
それがコールなら禁句ばっかりです。
お婿さんは身内受けでよろこんでるようなのでいいのですが、
そんなくだらないものをきかされるお嫁さんは
どう思うと思ってます?
お婿さんは役職者になって、営業成績がどうの、
会社に入ってどうのとだらだら述べますが、
わたしにとっては不愉快きわまるものでした。
途中でも話したところによると、
親友もうんざりしていたようです。
途中のお色直しで洋服に変わってからは、
場もちょっとかわりました。
やっぱり最初からそんなのだったらよかったのに。
それからは気軽な雰囲気になり、後に気付いたら
光量不足でぶれぶれの写真になるものをいろいろ撮ったり
軽いおしゃべりを楽しんだりしました。が。
最後のほうでは冷たいものがいっぱいきて、
終わるころには人知れずいろいろなピンチを迎えていました。
詳しくは語りません。
でも、わたしの知る……というか、
結婚式の想像ではもっと清らで
すがすがしいものを思っていたので
今回のはちょっと違う気分でした。
教会の中でならタバコを吸う人もいないと思いますし、
終わったあとお嫁さんがぶ~けを投げて、
リバウンドに群がるバスケット選手のように飛び上がり
キャッチして、「うほっ!」とか吠えるのも見てみたかったし、
新郎新婦を囲んでライシャワー駐日米大使に
ナマゴメを投げつけたりもしたかったです。
そしてフレンチではない缶々をつけた
白いオープンカーが走り去って、
銀幕に Fin と出て終わるところを見てみたかったです。
・まとめ。
結婚式は和洋折衷より、和式か洋式か、
はっきりしたほうがいい気がします。
もしフランス料理のフルコースがこんなにもったいつけて
お皿を出すなら、行かなくていいと言ったら、
フランス料理ならシェフか誰かが
食事の進行スピードを見て用意するから安心だと言われました。
まあ、マナーを知らないので結局いけませんけど。
従業員の態度に疑問。
日本語がストレートにつたわらないのは
ちょっと怖かったです。
あと引き出物にプレートなどを入れるとき、
投げ込むのもどうかと思いました。
飲み物を注ぐ際片手で遠くからべろっと入れていたのも
気になりましたし、わたしは自分でやっていたので知りませんが、
片づけを微妙に求めていたのが気になったそうです。
式場は有名なところだったらしいのに、
有名さにあぐらをかいているのでしょうか……。
お金はすごいことかかったらしいので、
料金不足ではないと思うのに。
・その後。
ひきでもののお菓子を帰って食べて満足していたのですが、
次の日にその下にさらに箱があることに気付きました。
すてきな手帳だったので、
なんだか申し訳ない気分になっていたら
そこにさらに、なにかが注文できるという文字が。
でもカタログなんてなにもなく、
なにかの勘違いだとしまおうとしたら、
その手帳の中に入っているリフィールが
カタログなんじゃないの?
と親友に言われて見てみました。
……そのとおりでした。
見た目のすてきさに惑わされて、もうすっかり他のものは
どうでもよくなっていたわたし。
なんだかこんな風になっていると逆に申しわけなくなりました。
そしてそれを見て。おしあわせにと思えたのです。
幸せに……むしろお嫁さんを傷つけずに、
いてくれる人ならいいなあ。