人間が、壁のでっぱりに手をかけて登っていくのを見ていたら、
仰向けに落ちていくシーンを思い出しました。
あんな遊びや運動で、ひどい怪我を負ってしまうことも
めずらしくはないのだとか。
それを思い出し、なぜ人は何もせず落ちるのだろうと
すこし疑問に思います。
猫ならあんなもの、くるりまわって足から降ります。
でも、それで思い返すと、わたしも手が滑って
すこし高い場所から落ちたときは、
なにもできずに背中から地面に叩きつけられました。
あのとき、落ちる間に心のコマ数が最大まで上がっていたとしても、
たぶん何もできずに背中から落ちたはずです。
とすると、重心がある背中を下にしておちているのに、
空中で反転できる猫が特別におかしいのだと気づきました。
短距離で風の力も借りずに空中反転できないのにやってのけるなんて、
できるわけがありません。
でも猫がそれをやっているということは――
おそらく、一部の猫は、空中で重力操作をやっているのです。
人間は赤ちゃんのときはかわいいのに、
年を取るとまったくかわいくなくなります。
でも猫は赤ちゃんのときもかわいいのに、
年を取ってもかわいいままです。
このことをあわせて考えると、猫はおそらくこの世の生物ではありません。
おそらく、なにかこの世を超越した生物であると、ふと思いつきました。