ふと、『たゆまぬ努力』という言葉を耳にしたとき、
なにか変だと感じました。
『たゆまぬ努力』の意味の第一義は、
『途切れることのない努力』とかそんな感じのはずです。
『たゆまぬ』の元は『弛む(たゆむ)』。
『筋肉弛緩剤』や『緊張が弛む』の『弛』です。
つまり、意味は『ゆるむ』。
『弛まぬ努力』ならば、その意味は
『気を弛めずに努力し続ける』というものになるはずで、
第一番目の意味に『途切れることのない』なんてものが
入るわけがないのです。
この言葉は絶対におかしいです。
ではなぜ、『途切れることのない』なんて意味が入るのかと考えると、
浮かんでくるのが『絶ゆ(たゆ)』です。
『絶ゆ』はヤ行下二段活用なので、
絶え・絶え・絶ゆ・絶ゆる・絶ゆれ・絶えよ と活用します。
よって、後ろに体言をつけると……特に、似た音、似た意味の言葉をつけると、
『絶ゆる間』という形にできます。
さらに似た意味で努力につながる形にすると、『絶ゆる間なき努力』。
これなら、『途切れることのない努力』という意味が発生します。
言葉の意味を考えると、よっぽどこっちのほうが意味と形に合う気がします。
もともと二つの言葉があって、似た発音から二つが混同されて
表記と発音が『弛まぬ』に奪われたのではないかと思いました。
いつごろから『弛まぬ努力』という言葉があるのか知りませんが、
調べてみたらおもしろそうだとは思いました。
今ありとある古文が、いつか全部デジタル化されて検索できるようになれば、
こういうのを調べるのも格段に楽になるんでしょうけど。