ケロマ

朝方ひどい頭とおなかの痛みで目をさましました。
こめかみの奥が鈍く痛んで、トイレに行きたいと思っても、
頭を動かすと吐いてしまいそうです。
でもこのままでいてもひどいことになりそうで
とりあえずビニール袋でもあればそれでもいいやと
妥協したかったのですがそんなものありません。
電話も部屋にはないので、内線でだれかを呼ぶことも
携帯電話で家にかけて持ってきてもらうわけにも行きません。

しかたなく体を起こして便器に座りますが
座っていられるような状況でもなくて、
前にしゃがみこみながらすこし考えます。
――いっそ吐いちゃったほうが楽になれるんじゃない？

そんな頭にちらりと、何も食べてない状態で吐くのは
苦しかったような思い出がよぎりましたが、
この状態でいるほうがよっぽどつらい気がしたので
のどの奥に指を入れてみました。

けぽっけぽっと嫌なものがすぐにこみ上げてきて、
一回目は透明なもの、二回目は黄色い液体が出てきました。
たしかこどものころは何も食べていないときに吐くと
黄緑色の液体が出てきて、それが胃液の色だと思っていました。
でも今回出てきたのは、たまごの黄身を溶いたような、
色鮮やかな黄色でした。

なにか変なものが出てきたかと嫌な感じはしましたが
そんなことを考える余裕もなかったので
へろへろとふとんに戻ります。
吐いた後は胃酸で歯が溶けるので口をゆすいだほうがいいと
思いますがそんな気力もありませんでした。

その後は気持ち悪くて寝てもいられず、
すこし寝て目を覚まして、すこし寝て目を覚ましての
繰り返しでした。

吐いたのなんて久しぶりです。