ねこのみなさんごきげんよう。
ぼくはほんじつ、うちなるライオンさんを
おさえきれずやたらめっぽうはしりまわりました。
しもべはそんなぼくのおめめのまわりなどを
とくべつなブラシでもってざりざりしました。
おかおにたくさんのはぐれげがあったつようです。
きせつはずれにあたたかいこのごろのため
せっかくはやしかえのおわったおけなみは
はぐれ毛になるほかなかったようです。
おかおがちくちくしたために
ぼくはらいおんさんになっていたのですね。
さて、前回ぼくはぼくの慈悲のために、ねむるしもべに
ならないようにこころをくだいていることを
みなさんにいいました。
このことをしり、なかには慈悲におめめざめした
ねこさんもいるかもしれません。
そんなねこさんのため、ぼくはもうひとつ
いわねばならなことをみいだしました。
ねこさんをきけんにさらすのは、
ねむるしもべだけではありませんでした。
ほとんどねむるしもべになったしもべにも
ちゅういがひつようだったのです。
というのも、せんじつこんなできごとがあったのです。
そのひ、ぼくはしもべの巣材のうえにて、こうばこでくつろぎ、
しっぽっぽもごきげんで、すざいのうえをゆったりとみぎへひだりへ
ゆれながら、くつろぎのひとときをたのしんでいました。
そこに、みずからを水責めにするぎしきをおえた
もうほとんどねむるしもべになったしもべが
むにゃむにゃいいながらやってきて
すざいをととのえはじめました。
ほとんどねむるしもべになったしもべは、
すざいのうえをぺたぺたするどうぐでころころする
ぎしきをはじめました。
しもべによると、これをしなければねむるしもべに
なれないとのことです。
ぼくはそうじきのつぎに、このぺたぺたするどうぐがきらいです。
みなさんは、これがどういうものかごぞんじでしょうか。
ぼくは、はじめ、これはただころころするもので
ぺたぺたするとはしらなかったのです。
あるひ、ぼくがとおるときめたそのばしょに、
しもべがほおっておいたこのころころのきれはしがありました。
ぼくには、それをよけてとおらねばならないりゆうなど
ありませんでしたから、とうぜんそのうえをゆきます。
ところがそのきれはしをふんだしゅんかん、
ぼくのにくきゅうを、なにかがつかまえました。
ぼくは、ねこさんのしゅんびんさで全力でとびあがりました。
ところがそのなにかはにゅくきゅうをはなしません。
それはそうです、くっついていたのですから
とびあがったところではなれませんね。
こうなったらねこさんにできることはおおくありません。
とりあえず、やたらめっぽうとぶようにはしりまわりますが
じたいはよくなるどころか、わるくなります。
ぺたぺたのきれはしは、にくきゅうにくいこむようにへばりつき、
にくきゅうとにくきゅうのあいだにあるおけなみも、
ぺたぺたのえじきとなりました。
もうこのあんよはだめかもしれない、とかくごをきめたとき
しもべがようやくぼくをつかまえまして、あんよから
ぺたぺたのきれはしをとりました。
このときのぼくのあんよにはしったくつうを、
たとえそのわずかであってもいいあらわせることばは、
とうていみあたりません。
ぼくは、にくきゅうがさけたのだとおもいました。
くろおめめはまんまるで、おみみはぺったり、
おひげもぜんいんたちあがるしまつです。
さいわい、にくきゅうはさけてはいませんでしたが、
しばらくのあいだゆかのかんしょくがかわってしまって、
そのたびにくつうをおもいだすという、
つらいおめめにあったのです。
たいせつにはぐくんだにくきゅうのあいだとあいだのおけなみも
あれほうだいで、まんぞくいくまではえそろうのに
ひつようとなったちゅーるさんは、りょうおててあんよの
にくきゅうのかずではたりませんでした。
このような、にがにがしいきおくのあるぺたぺたのことですが、
このときのぼくはころんとさんになっていましたから、
ころころのきれはしをふむきけんはないとふんで
そのままゆっくりくつろいでいました。
ところがです。
あろうことかしもべは、しっぽっぽのうえにまで
ぺたぺたをころころしたのです。
しっぽっぽは、ぺたぺたにころころされたしゅんかんに
ぼくがあじわったのとおなじくつうをあじわい、
しっぽっぽのおけなみは荒れ放題となり、
しっぽっぽはたいそうしょんぼりしましたので、
ぼくはいそいでしっぽっぽをだきよせ、
ていねいになめてあげました。
しっぽっぽをはげますとき、ぼくはいつもそうしています。
ひっしにしっぽっぽをはげましているあいだに
しもべときたら、そしらぬかおでねむるしもべになってしまい、
それっきりおひさまがてらすまでしらんぷりしました。
ぼくはしもべを、ねむるしもべにならないようにしてあげる
ことができなかったのです。
しもべをのっとているなにものかは、
このようにねこさんの慈悲をこうみょうにはばむ
ちえもあるようです。
みなさまもなにとぞ
おきをつけください。